グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 子どもの世界を共に感じる喜び

子どもの世界を共に感じる喜び

園長  冨永 裕美
あじさいの花が綺麗に色づき始め、梅雨入りの気配を感じるようになってきました。季節の変わり目、また新しい生活からの疲れも出やすい時です。園でも急な発熱や嘔吐・下痢を伴う感染症のお子さんが少し出てきています。お子さんの体調の変化に十分留意しながら過ごしていきましょう。園でもコロナ対策に加え、様々な感染症対策、熱中症対策等に配慮していきたいと思います。ご家庭でも生活リズムを整え、体調の悪い時には無理をしないようご協力をお願いいたします。
さて、先月は交替でクラス懇談会を開催致しましたが多くの保護者の皆様にご参加いただきありがとうございました。園での子どもたちの様子や、この1年大切にしていきたいことなどを担任からお伝えしたり、保護者の皆様同士でお話し出来るようにグループに分かれてお話しする時間も作っていきました。短い時間ではありましたが、お子さんの家庭での姿や、成長の喜び、子育ての中での悩みなども聴くことができました。他の保護者の方からの言葉に励まされたり、参考にしたいヒントが見つかったりされたこともあったようでうれしく思います。そして何より、子どもたちがご家庭の中でたっぷりの愛情を注がれ大切に育てられていることを実感し、家庭が子どもたちの心の安定の土台となって、園の生活に繋がっていることを改めて感じました。大切なお子さんをお預かりしている園として、これからも保護者の皆様とお子さんの様子を共有し合えるよう園からの発信にも力を入れていきたいと思います。
新しいクラスでの生活も2ヶ月が過ぎ、安心して過ごせるようになってきた子どもたちは毎日、室内や戸外での遊びを楽しんでいます。
先日園庭で遊ぶ幼児クラスの子どもたちを見に行くと「園長先生、見て」とそっと握っていた手のひらを広げて見せてくれる女の子がいました。手のひらには小さなダンゴムシが一匹もぞもぞと動いています。するとその子は「このダンゴムシ足を怪我しているんだよ。」と話してくれました。「えっ、そうなんだね」という私の言葉に「見てみて、足が1本だけ白いでしょ。ここを怪我してるんだよ」と教えてくれました。その子が言う通り小さな小さなダンゴムシの足の一本だけ色が違っていました。こんな発見をしていることに私はとても驚きました。子どもたちの興味関心は一人ひとり様々です。年齢や発達によっても違ってきますが、自分の好きなことを見つけ集中してじっくり遊ぶ中で、「これは何だろう」「どうしてだろう」「やってみたい」といった気持ちが生まれてきます。そして、心が動かされた事や現象に対して子どもは見たり、触れたり、試したり具体的な体験を通して物事の理解を深めていきます。こうした、子どもが主体的に行う経験を園の生活の中では大切にしていきたいと考えています。この後、一緒に遊んでいた子どもたちも加わって、「怪我をしているダンゴムシが踏まれないような場所を見つけてあげるんだ」と非常階段の下の草陰にそのダンゴムシそっと放してあげていました。
このように毎日繰り広げられている子どもたちの世界は魅力的なことでいっぱいです。それは大人から見れば見過ごしてしまうような些細なことかもしれません。しかしそこに関わる大人が子どもの思いを受け止め、丁寧に応答していく事が、学びの基礎となり、子どもの生きる力を育てていくことにつながっていくと考えています。保育者は子どもたちの学びを支える環境を整え、遊びを見守りながら、子どもたちの心が動いた場面を捉えて共感していきたいと思っています。「見てみて」と子どもたちの心が思わず動き出すようなワクワクした毎日にしていきたいですね。忙しい毎日の中ですがほんの一時手を止め、視線を合わせ、子どもの見ている世界を是非一緒に感じてみてください。子どもの世界を共に感じる喜びはきっとかけがえのないものとなる事でしょう。