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ホーム  > 園長コラム  > また明日も遊びたくなる保育室を目指して

また明日も遊びたくなる保育室を目指して

園長  冨永 裕美
例年にない早い梅雨明けに一気に夏の訪れを感じる毎日ですね。子どもたちが楽しみにしていたプール開きも無事に行う事が出来、プールからは子どもたちの歓声が聴こえてきます。今年も感染防止を考慮し一度にプールに入る人数を減らす、交替でプール活動を行なうなど工夫しながら、夏ならではの遊びを十分に楽しんでいきたいと思います。こうして水遊びが出来る環境に感謝し、また安全に十分配慮して、子どもの成長にとって有意義な活動となるようにしていきたいと思っています。
さて先日聖隷こども園・保育園では各園の研究を発表し合う「第15回 聖隷保育学会」が開催されました。聖隷こども園めぐみでは「子どもたちが遊びこめる環境〜また明日も遊びたくなる保育室〜」と題し、昨年からの取り組みを発表しましたのでその一部を紹介させていただきます。こども園めぐみは自然豊かな環境に囲まれ戸外での遊びが活発に行われています。また、室内にも子どもエレベーターやボルダリング、広いホールなど特徴的な恵まれた環境があります。子どもたちにとってさらによりよい環境について考えたいと、今回は日々子どもたちが過ごす保育室に着目し研究を進めていきました。まず、今目の前にいる子どもたちはどんなことに興味を持ち、どんな遊びが好きなのか、発達段階を意識しながら観察し、子どもたちの様子や変化をエピソード記録にまとめ職員間で共有しました。子どもの姿や保育者の関わり、環境への働きかけなど職員間で対話を重ね、保育室の環境を考えていきました。昨年度の2歳児クラスの事例では、ブロックで作った車を走らせながら室内を走り回る子どもたちの姿をよく観察すると、玩具棚の上や、床の木目に沿って車を走らせていることに気が付きました。一見部屋の中を走り回っているように見える子どもの姿も、子どもをよく見ていくことで好きな場所を道路に見立てていることがわかります。そこで子どもたちの姿から自由に持ち運びができる簡単な道を描いた段ボールの道路を用意すると夢中になって遊び始める子どもたちの姿がありました。またカラーボックスを駐車場に見立て、車庫入れを楽しみながら片づけをし、いつでも好きな時に出して遊べる安心感から遊びながら片づけも楽しむ姿に変化していきました。また、おままごと遊びが好きな子どもたちの遊びの様子から見立て遊びがより楽しめるようなままごと遊びの具材を用意すると、空想の世界が広がり、ごっこ遊びが広がっていきました。また、紙コップ人形を用意すると、自分たちが日常遊んでいる事を人形を使って再現し夢中になって遊ぶ姿がありました。このように子どもたちが興味関心を持つことでなんだかおもしろそう、自分からやってみたいと主体的に関わることができることを改めて感じました。
講師の聖隷クリストファー大学の学科長補佐であり聖隷クリストファー小学校長の太田雅子氏の講評では「子どもたちは自分の体験からイメージを広げていく、その助けとして日々環境を準備することで遊びが展開されていく」「保育のプロフェッショナルとしてエピソードから子どもの行動を意味付けしていくことが大切である」「子どもは体験したことを物語として表現していく、それを共有共感することで明日も遊びたい、面白いと感じることができる」「自分が経験していることを次につなげることで行為主体性がはぐくまれている」等の言葉をいただきました。
子どもたちの一つひとつの行動には意味があり、保育者がそこにある子どもの思いを知り共感していくことがいかに大切であるか、研究を通して改めて学ぶことができました。保育者の思いが先立って環境を変えるのではなく、今子どもたちが夢中になって遊びこんでいる姿から、その遊びの楽しさを共感したり、注意深く様子を見守ったり、時に応じてことばにならない子どもの思いや願いを理解し受け止め、その思いを補い、手助けすることが子どもの遊びを支えると実感し、子ども理解を深めることに繋がりました。これからも子どもたちにとって園の生活が安心できる場所であり、興味関心を広げ心が動き出す「ワクワク、ドキドキ、明日もまた遊びたくなる環境」を考えていきたいと思います。
最後になりますが先日の清掃奉仕には保護者会の役員の皆様をはじめ、沢山の保護者の皆さんに参加していただき感謝申し上げます。園周囲の草取りや、園庭整備、プールの設置等ご協力いただき、子どもたちが過ごしていく空間があちらこちら、とてもきれいになりました。ありがとうございました。
季節の変わり目、また疲れから体調を崩しやすい時でもあります。生活リズムを整え、健康に過ごしていくことができるようにしていきましょう。