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心の成長の土台となるもの

園長  冨永 裕美
まぶしい程の日差しが照り付け、本格的な夏の訪れを感じます。交代で入っているプールからも子どもたちの歓声が聞こえてきます。
一時期落ち着いてきているように感じていた新型コロナウイルス感染症の感染が再び拡大に転じ、静岡県内でも「医療逼迫警報」が発令されるなど緊張感が高まっています。また同時に手足口病やRSウイルス等様々な感染症の流行が懸念されていると聞きます。園内の衛生管理、子どもたち・職員の体調管理等徹底して行っていきたいと思います。また水分補給や、室内の温度調節、活動時間や活動内容を検討しながら熱中症対策にも配慮し、コロナ禍の夏を過ごしていきたいと思います。保護者の皆様におかれましても、引き続き感染予防へのご理解・ご協力をお願いいたします。
さて、今回の園だよりでは先日行われた年長クラスのお泊まり保育について紹介します。お泊り保育は、親の元を離れ、身の回りのこと等、自らで取り組み心身の自立を促し、また、友達や保育者と生活を共にし、関わりを深めながら協力することの楽しさや大切さを学ぶ、そして家族と離れて過ごすことによって改めて家族の大切さを感じる等のねらいを持って行っています。浜松市内でも新型コロナ感染が再拡大してきている中ということで、1日目の活動内容を変更しいつも過ごしているメンバーだけで活動できるようにし、無事に開催することが出来たこと、周囲の方々のご協力もあり感謝しています。大型バスに乗って出かけた浜松学園の体育館での活動では様々なゲームを楽しみました。中でもグループ対抗で行った綱引きはとても盛り上がりました。チームで作戦を考えたり、応援しあったりしていましたが、勝負に負け、悔しくて泣けてしまうなど様々な子どもたちの姿がありました。友だちに声をかけられたり、保育者に想いを聴いてもらったりする中で気持ちを立て直し、再度挑戦し始める姿には年長ならではの成長を感じました。園に戻ってからは、夕食のカレー作り、園庭で行ったキャンドルサービス、プールにお湯をためたお風呂、どれも楽しい経験でした。お泊り保育では家族から預かっていた手紙を子どもたちに渡しています。一人でじっくり読んだり、保育者に呼んでもらったりしましたが、その時の子どもたちの表情がとても印象的でした。ニコニコ頷きながら聞いている子や、思わず泣き出してしまう子など様々でした。どの手紙からもご家族の子どもへの溢れる愛情を感じそのことが子どもたちにも、しっかりと伝わっていることを感じました。自分は愛されている、大切な存在であると実感できる日々が子どもたちの心の成長の土台となっていることを改めて感じました。様々な経験が子どもたちの自信となり、一人ひとりの成長につながっているように感じます。子どもたちが家庭で、そして園で沢山の愛情を受け、安心して過ごし、自己発揮できるよう見守っていきたいと思います。
最後に、先日東京大学教授の遠藤利彦氏(教育心理学者)から、「乳幼児期におけるアタッチメントの大切さを考える」といった講義を聴きましたので、一部紹介したいと思います。
「近年、心理学や教育学の領域では、人の生涯発達を支える礎として、幼少期における子どもと養育者とのアタッチメントの重要性がクローズアップされています。子どもは容易に怖がったり、不安がる存在で、泣きながら身近な誰かにくっつこうとします。くっつくことで安全感・安心感に浸ろうとします。このくっつきをアタッチメントと言い、一日に何回も繰り返されるあたりまえのことが、いかに確実に安定して経験できるかが、生涯にわたる心身の健康のカギになります。また、アタッチメントとスキンシップは似ているようで全く違うものです。肌が触れ合うことで気持ちがいい、楽しくて仕方なくてもっと遊んでほしいとくっつくというスキンシップに対して、恐い、不安、あるいは子どもの感情が崩れた時に、特定の大人にくっつくことで安心し気持ちを立て直すことができるそのくっつきがアタッチメントです。身近にいる大人は「安全の避難所」としての役割と「安心の基地」としての役割があります。何かあった時には絶対に受け止めてもらえる「安全の避難所」で子どもは気持ちを立て直し、「安心の基地」を拠点に自分から何かやってみたいと思い立つ、その時には絶対に応援してくれるという安心感、この「安心感の輪」を思い切り、また円滑に回れるように支えてあげたいものです。」
子どもたちの人生の土台作りとなる乳幼児期を、家庭と園とで支えていきましょう。