子どもを真ん中にして
園長 冨永 裕美
新緑の木々、色とりどりの花壇の花々、晴れ渡った空には鯉のぼりも気持ちよく泳いで子どもたちを楽しませてくれています。早いもので新年度が始まり、1 か月が過ぎました。子どもたちも新しい環境に少しずつ慣れてきているようでうれしく思っています。担任の先生に抱っこされると安心して遊びだしたり、保育室の中にお気に入りの場所が見つかったり、好きなおもちゃができたりして泣き声から笑顔へと変わってきています。一人ひとりの子どもたちにとって園が安心出来る場所になっていけるように私たち保育者は子どもたちと丁寧に関わっていきたいと思っています。また保護者の皆様にとっても、新しい環境の中で過ごすお子さんの様子を心配されていたことと思います。そのような中、先日は保護者会総会・クラス懇談会にたくさんの方にご参加いただきありがとうございました。クラス懇談会では短い時間でしたが、担任の先生と保護者の皆さんとが顔をあわせ、お子さんの様子や日頃感じていることなどをお話ししていただく機会になったように思います。「他のお母さんか
らのアドバイスを早速取り入れてみると子どもがすごく喜んで食べてくれました。」「忙しい中で色々大変ですが皆さん同じなんだなと安心しました。」などの声も届きうれしく思っています。子どもを真ん中に園と家庭とが協力し、それぞれに求められている役割を果たして行くことが子どもたちの育ちを支えていくことにつながっていくのではないでしょうか。職員も時差出勤をしていますのでなかなかお会いできないこともあるとは思いますが、送迎の際等にはできるだけ声をかけさせていただいたり、コドモンでの配信や掲示物等を使い、お子さんの様子を出来るだけお伝えしていきたいと思っています。ぜひご家庭での様子等も教えていただき、家庭と園とでお子さんの姿を共有し、成長を共に喜び合っていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
話しは変わりますが先日、玉川大学教育学部教授 大豆生田啓友氏による講演「子どもが中心の〝共主体“の保育~子ども・保育者・保護者がワクワクする保育へ~」を聴く機会がありました。その中で、こども家庭庁から幼児期までのこどもの育ちに関わる基本的なビジョン(初めの 100 か月の育ちのビジョン)が閣議決定され、すべての国民に向け示されたことについての話がありました。初めの 100 か月とは、妊娠期からおおむね小学校1 年生の時期をさしています。こども園めぐみで過ごす時期がまさにこの時期になりますね。この時期は子どもの生涯にわたるウェルビーイング、心と体の幸せにとって極めて重要だということがこのビジョンでも示されています。子ども時代の幸せの記憶は大人になっても残っている、そのひとの脳の中に、体の中にずっと残っていくというのです。例えば大好きな絵本を読んでもらった記憶であったり、一緒に遊んだ記憶だったり、お話をうれしそうに聴いてもらった記憶だったり、幸せな瞬間は毎日の中にたくさんあふれているのかもしれませんね。そしてその幸せな記憶は、身近な大人、親御さんや保育者、地域の方々とのアタッチメントを通して安心の土台が築かれ、挑戦する気持ちが生まれ、豊かな遊びと体験を通して培われていくものであります。子どもたちの興味関心に見合った体験や環境を準備し、見守ったり一緒に楽しんだり、失敗したときにはアタッチメントを通して子どもたちはまた安心して、また次の挑戦をする気持ちが生まれていきます。そして、子どもがウェルビーイング幸せと感じるためには、そこに関わる私たち大人もまたウェルビーイングでなければならないでしょう。子どもを真ん中にしながら、保護者の皆さんも、私たち保育者も、地域の方々も共に主体となりワクワクするような毎日を作っていきたいですね。
5 月のさわやかな風の中、これからは園庭や遊歩道、まな広場など戸外で過ごすことが増え、戸外遊びがますます楽しくなっていくことでしょう。子どもたちは開放的な中で自然と触れ合い、草花を摘んだり、虫を見つけたり、おいかけっこをしたり、砂場遊びをしたりとのびのびと過ごしています。豊かな実体験を通して様々なことに興味関心が広がっていくことを願い、園での生活を大切にすごしていきたいと思います。