チーム医療とのつながり
患者本位のチーム医療のちからで、
佐倉市をまるごと支える医療へ。
患者さまに寄り添い続け、
佐倉市を、まるごと支える医療へ。
総看護部長 清水 宏恵
「チーム医療」という言葉は今や医療現場で当たり前に使われていますが、私が大切にしたいのは「その中心には必ず患者さまがいる」という視点です。とことん患者さまの声に耳を傾け、「患者さまにとって何が最善か?」を共に考え、行動し、それぞれの専門性を活かしながら、共に寄り添い続けるチームでありたいと考えています。
当院は、他部署との垣根の低さが特徴のひとつで、職種や役職関係なく声がけやあいさつを交わす姿を見ていると、院内の良好な関係性がしっかり築かれていると感じます。看護学生や就職希望者が見学に来た際には、誰に声をかけても気軽に会話ができる雰囲気があり、医師を含め全職種が協力的で、チーム医療を支える“あたたかな空気”が醸し出されています。また、何かに困ったときは職種を超えて話し合う風土があり、この「関係性の良さ」がチームの連携をより強固なものにし、その結果患者さまへのアプローチの質まで高める力となっていると感じております。
佐倉市も全国の地方都市と同様、年々高齢化の波が顕著に現れています。そんな時代のうねりの中、私たちはより一層「地域になくてはならない病院」「地域に選ばれる病院」であり続けたいと強く願っています。そのためには、限られた医療人材を最大限活用しながら、若手の育成に注力し、地域医療を支える開業医の皆さまや在宅・介護施設との連携を深めていくことが重要になってきます。つまり、佐倉市全体で患者さまを支える体制を構築していく必要があるのです。もちろん、外来・入院・在宅・療養といったどのステージにおいても、私たちが“最後まで最善を尽くし支える”覚悟をもって対応していく気持ちは忘れません。私たちの思いや活動の先に、地域の皆さまから「なんだかあたたかでよさそうな病院だね」と思っていただけたなら、これほどうれしいことはありません。チーム医療を駆使し、“地域に根ざした医療”を目指していくことを、これからも丁寧にかつ着実に築いてまいります。
当院のチーム医療
腎センターで実現する“切れ目のない支援体制”
当院は前身の国立佐倉病院より腎医療を継承し、すべての各部署が連携し腎疾患に対して最善の腎医療が提供できるように2006年に腎センターとして設立されました。透析室は50床からスタートしましたが、2014年には101床まで増床し設備の充実に加え、チーム医療の体制も他施設ではなかなか見られないレベルで整えられています。
特徴的なのは、外来・病棟・透析の切れ目のない連携体制です。教育入院を受けた患者さまに対しては、退院後も看護外来で継続的なフォローを行い病棟スタッフや透析スタッフと密な情報交換をしながら、一貫した支援を行っています。また、透析中のリハビリ実施も当院の特徴の一つです。理学療法士が透析室に関わる体制は、それほど多くは見られません。
「透析に携わりたい」「腎臓医療を極めたい」と腎臓医療への関心を持つ医療者が当院を志望してくださることも多く、大変励みとなっています。高度な医療技術とともにチーム医療の力を学びたいという若い世代の思いに応えられる環境づくりが実現されております。
“さくらモデル”が象徴する骨粗鬆症リエゾンサービスのチーム力
2014年に骨粗鬆症リエゾンサービス委員会が設立され、翌年から運用が開始されました。看護師・薬剤師・管理栄養士・薬剤師・放射線技師・理学療法士などからなるリエゾンマネージャー(骨粗鬆症の診療におけるコーディネーターの役割を持つ有資格スタッフ)が中心となり骨粗鬆症の予防・治療の質を高めていく取り組みをしております。
取り組みの一つに“かかりつけ医”となるクリニックと連携しながら、一人ひとりの患者さまに対して、当院とクリニックが交互に診察に携わり、より高度できめ細かな骨粗鬆症治療を行っていることがあります。うれしいことに、私たちのこの取り組みは「さくらモデル」として知られるだけでなく、2019年には国際骨粗鬆症財団より国内で3施設目となるゴールド認定を受けることができました。定期的に患者さまの経過を地域の医師を含めた各医療機関の職員が共有し合う仕組みは、他にはない特徴です。地域とともに、患者さまの未来を守る新しい医療のかたちとして、今後も進化を続けてまいります。
がん医療支援センターの“がん治療一貫体制”と地域連携
当院は、健診センターでの予防や早期発見から、内視鏡センターによる早期治療、外科系診療科による手術療法、化学療法では外来通院に対応した化学療法治療室の整備、高精度照射が可能な放射線治療、緩和医療科での痛みをはじめとする心身の諸症状の緩和などがん治療の集学的治療が提供できる体制が整っています。患者さまが自分らしい人生を過ごすためのお手伝いをする身近な存在でありたいという思いから、それぞれの機能が集結し2023年に“がん医療支援センター”が誕生しました。中規模病院でここまでの体制があるのは珍しいことです。また、放射線治療や化学療法の認定看護師をはじめ、プロフェッショナルなスタッフが集まっているのも当センターの特徴といえます。院内ではキャンサーボード(症例検討)を実施し、がん患者さまに関わるすべての専門職があらゆる疾患情報を共有できるようにしております。また地域のクリニックに向けては「キャンサーレター」を定期発行したり、公開講座の開催などにより地域の方々へがん治療に関する情報発信をしたりと、佐倉市全体でのがん治療支援体制づくりに注力しています。治療だけでなく、予防から看取りまで、“人生を支える医療”を、チーム医療で従事する拠点として、がん医療支援センターは今後ますますの発展を目指しています。