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ホーム > 特色・取り組み  >  関節センター  >  肩関節の病気と治療

肩関節の病気と治療


当センターでは、腱板断裂や反復性肩関節脱臼、投球障害肩などのスポーツ障害、変形性肩関節症といった慢性疾患以外にも、上腕骨頚部骨折などの外傷に対して、近隣の整形外科医の皆様、千葉大学整形外科教室と連携しながら治療を行っております。

腱板断裂

腱板とは上腕骨頭を肩甲骨窩に保持するために必要な筋肉の総称であり、この腱板が収縮することで骨頭は臼蓋に引き付けられ、肩関節の自由な運動が可能となります。損傷の原因は強い衝撃が腱板にかかることで生じるもの、肩関節のリズムが崩れ徐々に損傷されるものが考えられます。腱板の上腕骨頭に付着している部分は血流が乏しく再生しにくい部分であるため、損傷の度合いが進むと上腕骨側の付着部付近で断裂を起こします。
特に夜間痛、肩の可動域(動く範囲)が狭くなる、力が入りにくくなる、痛い側の肩が下がる、肩を動かすと音がするなどの症状が多いです。多くの場合腱板損傷による炎症や断裂の結果、肩関節の動作のリズムが崩れ、疼痛や腱板の損傷が更に悪くなり、また動きが悪くなるという負の連鎖が起こります。

治療

 腱板断裂の最初の治療は疼痛改善のため内服薬や注射などを行いますが、炎症の原因を治療しなければ一時的な改善でしかありません。そのため治療の中心となるのは、悪い肩のリズムを改善することになります。地道なことですが、肩の筋肉の動かし方の練習を継続することで肩の痛みが改善されます。仮に断裂があっても残っている筋肉の使い方によって可動域の制限や疼痛などの症状が改善されます。このリハビリテーションは肩、特に肩甲骨の動きを修正することが目的となるため自分ひとりではなかなかできません。そのため運動の改善を理学療法士・作業療法士の指導の下、継続的に行う必要があります。
 「腱板が切れているのにそれを治さないでいいのだろうか?」と思われる方が多いと思いますが大丈夫です。肩の痛みがあり、腱板断裂が確認された患者さんの反対側の肩には約4割に腱板断裂が認められたとの報告があり、腱板断裂をおこしていても必ず痛くなったり動きが悪くなったりする訳ではありません。当センターではまずリハビリテーション、注射や内服による疼痛コントロールを行います。それでも肩の疼痛が改善しない場合に切れてしまった腱板を継ぎ合わせる手術を行っています。
 当センターでは主に関節鏡を用いて腱板断裂を縫合する鏡視下腱板修復術を主に行っております。術後3~4週間外転装具を着用して縫合した腱板に緊張をかけないようにしております。術後翌日から理学療法士、作業療法士によって首や肩の筋肉の緊張をほぐし、肩関節を動かす訓練を行います。自分で肩を動かし始める時期は断裂部の状態に応じて決まりますが術後3~5週してから徐々に始めていきます。軽作業が可能になるのは術後2か月位から、本格的な職場復帰に関しては術後3か月位からになります。また腱板断裂部が広範囲に及ぶ場合にはリバースショルダーと呼ばれる人工関節置換術を行う場合もあります。


肩甲骨の動きを修正する訓練(モデルは職員)



肩関節脱臼

肩関節は人体で最も広い可動域を持つ関節である半面、最も脱臼しやすい関節です。脱臼することで関節を覆っている骨、筋肉、関節包、靭帯、関節唇など肩関節を安定させている組織が壊れてしまい、不安定になります。安定性を失う一番の原因は関節唇の剥離に伴う靭帯の緩みです。関節唇が肩甲骨窩から剥がれることによって不安定となり、再脱臼しやすい状態になります。肩関節は前下方に脱臼することが多く、脱臼時に損傷する部位として前下方部が最も多いといわれております。脱臼を整復した後、関節部を安静に保つことで壊れた組織はある程度修復されますが、以前よりも脱臼しやすい状態になることがあります。これが『脱臼が癖になる』と言われる由縁です。

治療

装具を付けての訓練(モデルは職員)

肩関節を脱臼した後不安定となってしまった場合、壊れてしまった肩関節の修復が必要です。当センターでは主に関節鏡を用いた修復術を実施しております。リハビリテーションのスケジュールは、術後3~4週間縫合した関節包に緊張をかけないよう外転装具を着用します。術後翌日より理学療法士、作業療法士によって首や肩、肘の筋肉の緊張をほぐしたり、装具をつけた状態の日常生活動作の訓練を行います。自分で肩を動かし始める時期は損傷部の状態に応じて術後3~5週から徐々に始めていきます。ある程度の作業や筋力トレーニングが可能になるのは術後3か月位から、本格的な力仕事や試合の復帰に関しては術後半年位からになります。



上腕関節唇損傷

 投球動作やアタックなど反復動作によって上腕二頭筋長頭腱に力がかかり、付着部で剥がれてしまうものを指します。この障害はウェイトリフティングのように上腕二頭筋に強い負荷がかかる競技やアメフト、ラグビーなどのタックルや転倒によって強い牽引力が加わっても生じます。

治療

肩関節の可動域を広げる訓練(モデルは職員)

投球やアタックによって生じている疼痛の場合、まずリハビリテーションによって筋肉のバランスの改善、ストレッチによる可動域の改善、フォームの矯正を行います。剥離の程度が大きく、症状が強い場合には関節鏡を用いて剥がれた付着部を修復します。
 手術の所見に拠りますが1~2週間装具固定を行い、徐々にリハビリテーションで肩関節の可動域を広げていきます。日常生活動作では4~6週くらいには支障なく行えるようになります。スポーツへの復帰は損傷の程度や症状の改善の具合で判断することになりますが、術後3~6か月での復帰を目標にします。



疼痛性肩関節制動症、肩関節拘縮(いわゆる五十肩)

 五十肩とは中高年期に生じる肩関節およびその周囲の痛みの事を指します。この疾患は江戸時代の書物(俚言集覧)に『凡、人五十歳ばかりの時、手腕、関節痛む事あり、程過ぎれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕、五十肩ともいう。また、長命病という。』と記載されており古くから知られておりました。最近では石灰沈着性腱板炎や変形性肩関節症、腱板断裂などはっきりとした痛みや可動域制限の原因があるものを除いたものを『いわゆる五十肩』と言います。病態としては肩関節の潤滑油の役割を果たしている滑液包が軽微な外傷(普通の日常生活動作を長年行ってきたこと)によって炎症を起こし、結果癒着を起こし、肩が痛くて動かなくなるものと考えられています。自然に治ってくるもの知られていますが、長期成績では20~60%位何らかの疼痛や可動域制限が残ると報告されており、必ずしも元通りになるものではないものと考えられています。

治療

肩関節の可動域を広げる訓練(モデルは職員)

『自然によくなるものであり、痛い肩は動かせば治る』と考えられ、無理やり動かす治療がされていた時期がありますが(現在も行われているところもあるようですが)これは大きな間違いです。徐々に痛みが悪化してくるため無理な運動は行わずまず安静、安楽肢位や日常生活での留意点の指導、内服や注射による鎮痛が第一になります。痛みが落ち着いてきたら徐々に肩の運動を開始します。これまでの痛みの影響で肩甲骨の位置が変わってしまっている事が多いので、肩甲骨の位置の修正から行う場合が多いです。痛みに応じて徐々に肩関節の動きを上げていくことで多くの場合よくなります。発症してからよくなるまでの期間は個人差があり、6カ月から2年くらいと言われています。
 肩関節可動域制限が残ってしまい、リハビリテーションを行っても改善しない場合には手術によって拘縮の治療を行います。当センターでは検査を行い、患者さんの日常生活レベルを相談した上で必要に応じて関節鏡を用いて拘縮の原因となっている関節包を切り離す治療を行っております。術後のリハビリテーションは、術翌日より頚部、肩の筋緊張をほぐす治療を行い、他動的に肩関節可動域訓練を開始します。その後痛みに応じて肩関節の自動運動を開始します。目安としては1~2週間の内には肩関節の自動運動を積極的に行って手術によって得られた肩関節の可動域を保ちます。



変形性肩関節症

変形性肩関節症とは、脱臼や骨折などの外傷または加齢などにより肩関節の軟骨がすり減っていく疾患です。軟骨の量が減ると骨同士がこすれあうことになり徐々に変形や疼痛をきたします。膝関節や股関節に比べると発生頻度は少ないですが、肩関節に痛みを生じる原因の一つです。上腕骨頭のみ変形を来す変形性肩関節症も知られており、この原因は外傷や長年治療のためステロイドを内服していることで起こる上腕骨頭壊死のケースが多いですが、原因不明のものもあります。これらの関節の変形が疼痛や可動域制限に繫がり、日常生活に大きな支障をきたす場合手術を行います。

治療

骨同士の衝突によって起こる刺激によって関節内炎症が起こります。この炎症を抑えるために痛み止めの内服やヒアルロン酸の注射を行います。痛みの軽減を行いながらリハビリテーションにより日常生活動作の改善を図ります。
 炎症が強い場合、原因となっている滑膜の切除など関節内の掃除を関節鏡で行うことで疼痛の軽減が図ります。
 関節破壊が進行し疼痛や可動域制限を伴う場合には人工関節置換術を行います。



2015年度 肩関節 肘関節手術件数

関節鏡視下腱板修復術64例
関節鏡視下バンカート法5例
肩鎖関節脱臼制動術(関節鏡下)2例
トータルショルダー・人工骨頭置換術5例
リバースショルダー10例
上腕骨骨折観血的手術23例
肘関節鏡2例

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