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呼吸器内科


呼吸器は「全身疾患の鏡」全人的な診療を心がけます


呼吸器内科部長:橋本 大

呼吸器内科では、「咳」「痰」「息切れ」などの症状がでる「肺と気管支」の病気を中心に診療しています。
「肺は全身疾患の鏡である」“The Lung as a mirror of Systemic Disease”という名言があります。肺の病気には多くの種類があり、さまざまな全身性疾患が反映されているという意味です。肺炎、気管支喘息、肺気腫/COPD、間質性肺炎、肺がんなど、皆さんが罹りやすい呼吸器疾患の診断・治療に病診連携を強化して取り組んでいます。

特色ある診療

気管支鏡検査

呼吸器疾患の診断において、内視鏡検査(気管支鏡検査)は必要不可欠な検査法のひとつです。気管支鏡は直径3~6mm程度の細くて柔らかい管で、口からのどを通して挿入し、気管や気管支の状態を観察したり、組織や細胞を採ったり(生検)します。
当科では年間300~400件の検査を実施しています。
気管支鏡による生検にはさまざまな方法がありますが、当院では検査の精度を向上させるために超音波を併用した方法※1を多くの場合に用いています。またクライオ生検※2を静岡県内で最初に導入し、間質性肺疾患に対する精査を他施設から依頼いただくことも増えています。
検診やかかりつけ医で胸部レントゲンの異常を指摘された場合には、当科を紹介受診いただければ迅速に精査させていただきます。
※1 超音波を併用した方法
ガイドシース併用気管支内超音波断層法(EBUS-GS法)と、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA法)があります。
※2 クライオ生検(凍結生検)
クライオ生検とは、炭酸ガスによって冷却したプローブをあてることで気管支内の組織を凍結し、採取する技術です。
これまでの方法では、内視鏡で気管支から肺にピンセットのような道具を入れて組織を採取していました(鉗子生検)。鉗子生検では一度に採取できる組織量が限られており、組織が小さいため病理診断が困難な場合もあります。
クライオ生検は、鉗子生検に比べて大きな組織の採取が可能なうえ、採取した組織の挫滅が少ないため、診断の精度も向上します。

右心カテーテル検査

肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送るための血管である"肺動脈"の血圧(肺動脈圧)が高くなることで、心臓と肺の機能障害をもたらす予後不良な進行性の疾患群です。その診断に必要な右心カテーテル検査を、2021年度から当科でも開始しました。

肺炎治療の地域医療連携

肺炎は日本における死因の第5位を占めており、高齢化に伴う患者数や死亡数の増加が問題となっています。
肺炎の患者さんを支える仕組みとして「浜松肺炎地域連携パス」があります。これは、当院での急性期治療のあとは連携施設での慢性期治療・療養につなげ、病院のみでなく、地域全体で支えることを目指します。
こちらもご覧ください

主な対象疾患

主な対象疾患 診療内容
肺がん 気管支鏡検査などで診断し、呼吸器内科・呼吸器外科・腫瘍放射線科が合同で適切な治療方針を決定します。当科は、抗がん剤による薬物療法や緩和医療を主に担当します。
肺がんに対する薬物療法は、近年飛躍的に進歩しています。従来からの抗がん剤に加えて、内服の特効薬である分子標的治療薬や、免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法もあり、それらの治療を適切に施行することが最も重要であると言われています。
個々の患者さんにどのような抗がん剤が適しているかを検討し、最適な治療が提供できるように努めています。
肺炎 肺炎は健康な人でも発症することがありますが、飲み込みの悪い患者さんは誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。また、肺の基礎疾患を有している患者さんの場合には重症化することもあり、迅速な治療が必要です。適切な抗菌薬を投与することで、なるべく短期間で退院できるように治療しています。
高齢者が肺炎になると、もとの生活に戻るまでに長期間かかることも珍しくありません。そのため肺炎治療だけでなく看護、介護、リハビリを含めたチームでサポートを行っています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)・気管支ぜん息 COPDは、長期にわたる喫煙で肺が壊れる病気です。息苦しさ・咳・痰が主症状ですが、診断・治療を受けていない方が非常に多いと言われています。気管支ぜん息はアレルギー性の呼吸器疾患であり、いずれも肺機能検査や呼気一酸化窒素濃度測定で診断することができます。
COPDと気管支ぜん息は合併することもあります。吸入薬が治療の中心となるために、薬剤師と連携した適切な吸入方法の指導にも力を入れています。
息苦しさを軽くすることやぜん息の発作を予防することで、患者さんが少しでも快適な日常生活を送れるように治療しています。
間質性肺疾患 間質性肺疾患は比較的稀な疾患ですが、特発性間質性肺炎(原因不明の間質性肺炎)、膠原病など全身性疾患に伴う間質性肺炎、過敏性肺臓炎、薬剤性肺炎など、さまざまな間質性肺疾患に関して積極的な診療を行っています。
急性期から慢性期まで幅広く対応し、多職種と連携した治療を実践しています。

主な検査

呼気一酸化窒素濃度測定

気管支ぜん息の診断には、従来から肺機能検査が用いられてきました。肺機能検査では「気道の狭さ」を評価することができますが、呼気一酸化窒素濃度測定は、病態の主体である「気道の炎症」を数値で評価することが可能です。息をはく検査であり、非常に簡便です。
咳が主症状である咳ぜん息の患者さんでは、肺機能検査で異常を認めないことが多く、呼気一酸化窒素濃度を測定することで適切に診断・治療を開始することができます。

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