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4月 わが街で健康に暮らす16 ワクチン接種は誰のため?



【特集】わが街で健康に暮らす16 ワクチン接種は誰のため?

超高齢社会になった今では、地域で暮らす一人一人が健康意識を持つ必要があります。このシリーズでは、毎回健康に関するキーワードを取り上げ、住んでいるこの場所で健康に暮らすための方法を、一緒に考えていきます。

予防医学としてのワクチン

ワクチン接種イメージイラスト

新型コロナウイルス感染症のワクチンは、日本でも2月中旬から接種が開始されました。医療従事者などからはじまり、高齢者や基礎疾患のある方などへ順次進められていく見込みです。この誌面が皆さんの手元に届くころには、接種が進んでいることでしょう。
今回は個人とコミュニティの観点から、ワクチンの利益と害について考えていきます。

ワクチンほど人類の死亡率低下に寄与した技術は存在しないが…

歴史的には、さまざまなワクチンの導入により感染症の発症が抑制されています。例えば、天然痘、麻疹、ジフテリア、ポリオ、風疹、ヒブ(Hib)感染症の年間発症はワクチン導入により99%以上減少しました。また同様に百日咳、破傷風、おたふくかぜは90%以上、A型・B型肝炎、水疱瘡 は80%以上減少しています。
これほど効果があるワクチンですが、いまだに「ワクチン不要説」や「ワクチン害悪説」などが存在するのは、ワクチンに害(副作用)があるのが一つの理由と考えられます。ワクチン接種で「痛い」「腫れた」「熱が出た」なども害の一つです。ただ、これらの害は、得られる利益より限りなく小さいと考えられるので、「痛いけど我慢する」という行動が選択されます。
しかし、すべてのワクチンが推奨されているわけではありません。実は「害が大きい」ワクチンも存在します。例えば狂犬病ワクチンは、現在日本では定期接種されていません。その理由は、日本では1956年以降、狂犬病の発症がない(輸入感染例を除く)からです。当然ですが、流行していない感染症を予防するためのワクチン接種による害は、許容できません。

ワクチンと地球のイラスト

ワクチンによる健康被害は救済される制度がある

ワクチンの効果は、大きく二つあると考えられます。一つは、接種を受けた個人の感染リスクを低下させる効果、もう一つはコミュニティにおける伝染リスクを低下させる効果です。コミュニティにおける接種率が下がれば、全体に伝染するリスクが高くなります。そのため、コミュニティにおけるワクチン接種率を上げることで、全体としては害よりも利益が高くなります。逆に言うと、コミュニティ全体としての利益が優先されるため、非常にまれで重篤な個人の害には「目をつぶる」ことになってしまいます。

コミュニティの繋がりイラスト

コミュニティ全体の利益のために個人に重篤な副作用が生じた場合、十分な補償が必要となるため、ワクチン接種には定期接種・任意接種に関わらず救済制度があります。早期の感染収束のためには、ワクチン接種率を上げることが重要です。そのため、十分な補償があれば、ワクチン接種は理性的な選択となるのではないでしょうか。

文責:総合診療内科 主任医長 本間 陽一郎

2021年4月号(冊子)

2021年4月号「白いまど」表紙画像

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