11月 がんに克つ!31 膀胱がん/泌尿器科/排尿ケアチーム
【特集】がんに克つ!31 膀胱がん
膀胱がんってなに?
膀胱は尿を溜めて出す役割をもつ袋状の臓器で、膀胱内は尿路上皮という粘膜で覆われていて、膀胱がんはこの粘膜に発生します。膀胱がんの70%は粘膜内にとどまる表在性(根の浅い)ですが、進行すると膀胱の筋層やさらに壁を越えて広がったり、リンパ節や他の臓器に転移する場合もあります。かかる割合は人口10万人あたり18人ほどで、男女比は3対1と男性に多く、65歳以上の高齢層に多く見られます。また、喫煙者は非喫煙者の2~5倍の発生率といわれています。
どんな症状がでるの?
肉眼的血尿(目で見て赤い尿)がよくみられる症状で、痛みを伴わないことが特徴といわれていますが、排尿時の痛みや頻尿など膀胱炎に似た症状がみられることもあるため、膀胱炎や血尿を繰り返す時は詳しい検査が必要です。
どのように発見(診断)するの?
まずは尿検査で血尿の程度や尿中のがん細胞の有無を調べます。 次に腹部超音波検査で膀胱内に腫瘍が無いかを確認し、疑いがある場合は尿道からカメラを挿入する膀胱鏡検査を行い、膀胱内を観察して腫瘍のサイズや数、場所などを確認します。さらにMRIでがんの深達度(根の深さ)やCTでリンパ節や臓器への転移が無いかも確認します。
超音波検査
膀胱鏡検査
どんな治療をするの?
治療法はがんの進行度(ステージ)によって異なり、表在性の膀胱がんは内視鏡手術で治療しますが、再発時(約50%)には再手術を行います。また再発や進展を防ぐために薬(抗がん剤やBCG:弱毒化した結核菌)を注入する治療も行います。一方、浸潤性(根の深い)膀胱がんは内視鏡手術では完全に切除できないため膀胱全摘術が必要となり、尿路変向術(排尿路を作る手術)も同時に行います。手術が難しい場合は、放射線治療と化学療法を併用したり、全身に転移がある場合はがん免疫療法を行ったりしますが、いずれの治療も合併症や副作用が出現する可能性があるため、担当医から十分に説明を受けてから治療を開始しましょう。
文責:泌尿器科 部長 米田 達明
文責:泌尿器科 部長 米田 達明
市民公開講座 みんなで健康ゼミ
11月16日(土)に、市民公開講座「みんなで健康ゼミ」を開催します。
今回のテーマは「学ぼう!膀胱のがん」。
尿トラブルで悩んでいませんか。膀胱がんが隠れているかもしれません。
会場にお越しいただくほか、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使ってご自宅等から視聴(ライブ配信・見逃し配信)いただけます。ぜひご参加ください。
今回のテーマは「学ぼう!膀胱のがん」。
尿トラブルで悩んでいませんか。膀胱がんが隠れているかもしれません。
会場にお越しいただくほか、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使ってご自宅等から視聴(ライブ配信・見逃し配信)いただけます。ぜひご参加ください。
【診療科・センター紹介】泌尿器科
尿路や性器の症状はご相談ください!
泌尿器科は尿路や性器の悪性腫瘍に対して手術、放射線、薬物療法を積極的に行っています。手術では、2016年10月にダビンチを用いたロボット支援手術を導入してから現在までに530名以上の方が受けられ、重篤な合併症もみられず治療成績は良好で、件数も年々増加しています。また今年から筋層浸潤性膀胱がんに対するロボット支援手術も開始予定です。前立腺がんでは放射線治療を腫瘍放射線科と連携して行い、標準分割照射(計40回)からサイバーナイフを用いた定位照射(計5回)にシフトしたことで、患者さんのニーズがさらに高まっています。また、転移のある腎がんや尿路上皮がん(腎盂/尿管がん、膀胱がん)に対する薬物療法は全身化学療法に加え、がん免疫療法を積極的に行っています。これからも最新の技術や治療法を取り入れ、患者さんの希望やライフスタイルを考慮した最適な治療を提供していきます。泌尿器系疾患でお困りの方、治療についてお聞きになりたいことがありましたら、お気軽にご相談ください。
文責:泌尿器科 部長 米田 達明(写真前列中央)
文責:泌尿器科 部長 米田 達明(写真前列中央)
【診療を支えるスペシャリスト】排尿ケアチーム
排尿障害の原因を探りケアを提案
排尿ケアチームでは、排尿困難や頻尿・失禁などの排尿障害の患者さんが自分で排尿管理ができることを目標に、病棟看護師やリハビリ医師・スタッフと協働してさまざまな排尿管理方法を提案しています。
排尿障害の原因には泌尿器の問題だけでなく、運動機能、認知機能、心理的要因、環境要因、排泄習慣や価値観などさまざまな要因があります。排尿日誌を元に排尿障害の原因を探り、膀胱エコーを用いた残尿チェックを行うことで、腎機能障害や尿路感染を予防しながら排尿ケア方法を検討しています。泌尿器科医師と相談しながら薬物療法を提案したり、リハビリ担当者とトイレ介助方法を検討したり、時には自己導尿の指導をするなど、患者さんのQOL(生活の質)を尊重しながら幅広い排泄の支援をしています。
文責:看護部 鈴木 千佳代(写真前列左)
文責:看護部 鈴木 千佳代(写真前列左)
2024年11月号(冊子)
- 表紙・特集
- インフォメーション
- 診療科・センター紹介
- 診療を支えるスペシャリスト