多様なセンター機能とチーム医療
医療機関には、医師・歯科医師をはじめ、看護師・薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師・理学療法士・社会福祉士・事務職など、さまざまな職種がいます。
「さまざまな医療従事者が、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者さんの状況に的確に対応した医療を提供すること」を“チーム医療”と言います。チーム医療がもたらす効果としては、
「さまざまな医療従事者が、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者さんの状況に的確に対応した医療を提供すること」を“チーム医療”と言います。チーム医療がもたらす効果としては、
①病気の早期発見や回復促進、重症化予防などの医療や生活の質の向上 ②医療の効率性の向上による医療従事者の負担の軽減 ③医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上 |
などがあります。(以上、厚生労働省「チーム医療の推進に関する検討会 報告書」を参考)
当院では、かねてより積極的にチーム医療を推進しており、数多くのチームが生まれています。そのうち、医師をリーダーとして公式な組織に位置づけられているものを「センター」、会議体やプロジェクトに近い形を「チーム」と呼んでいます。いずれの形態も複数の職種から構成されます。
センター
センターの紹介はこちらをご覧ください。
チーム
感染制御チーム(ICT)・抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
目 的 | 感染制御チーム 医療関連感染の防止、感染防止対策を強力かつ円滑に実行する。 抗菌薬適正使用支援チーム 抗菌薬の適正使用を支援し、治療効果の向上、副作用防止、耐性菌出現のリスクを軽減する。 |
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対 象 | 入院患者さん、外来患者さん、訪問者、医師、医療従事者、その他すべての職員、非常勤職員、ボランティアさらには院外関連企業の職員等 |
チームメンバー | 感染症担当医師、薬剤師、臨床検査技師、感染管理認定看護師、事務職員 |
活動内容 | 感染制御チーム 院内感染防止対策の実施状況の把握・指導・相談対応、サーベイランス等の情報を分析・評価し改善策を講じる、職員研修、マニュアル作成 抗菌薬適正使用支援チーム 患者ラウンド、抗菌薬使用に関する相談対応、抗菌薬使用量のモニタリング、職員研修、マニュアル作成 |
緩和ケアサポートチーム (PCST)
目 的 | 診断時から主治医、看護師(外来・病棟)とともに患者さん、ご家族の身体や心のさまざまなつらさを和らげ、患者さんの望まれる療養ができるように支援する。 |
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対 象 |
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チームメンバー | 医師(緩和医療科・精神科)、看護師(がん性疼痛看護認定看護師、緩和ケア認定看護師)、薬剤師(緩和薬物療法認定薬剤師を含む)、管理栄養士、リハビリ療法士、医療ソーシャルワーカー、退院支援専従看護師、公認心理師 |
活動内容 | 患者さんの痛みや息苦しさなどの身体のつらさ、不安や不眠など精神的つらさが早期に緩和されるように、主治医や担当看護師と相談のうえで薬剤調整やケアを専門的に行います。 上記の多職種チームメンバーでカンファレンスや回診を行って、患者さんの治療計画・ケアプランを検討します。 |
栄養サポートチーム(NST)
目 的 | 入院早期から栄養アセスメントにより栄養状態を把握して、低栄養など栄養管理が必要な患者さんに、適切な栄養投与(経口・経腸・静脈栄養)法を検討し、栄養補給を行い、栄養状態を改善する。 |
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対 象 | 入院中に低栄養状態でチームによる栄養介入が必要と判断された患者さん |
チームメンバー | 医師(総合診療科・リハビリテーション科・歯科)、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、歯科衛生士 |
活動内容 | 各病棟で定期的に行うNSTカンファレンスで栄養評価をし、今後の方向性(目標)を確認、治療方針を決定し、栄養介入を行います。 |
糖尿病サポートチーム
目 的 | 糖尿病の患者さんが継続して適切に治療に取り組んでいけるように療養生活のサポートを行い、血糖コントロールの悪化予防、合併症(神経障害、網膜症、腎症、動脈硬化)などの重症化を予防する。 |
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対 象 | 糖尿病の患者さん |
チームメンバー | 医師(内分泌内科・リハビリテーション科・歯科)、看護師(病棟・外来・慢性疾患看護専門看護師)、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、歯科衛生士、医療クラーク、入院医事課、外来医事課、資材課 |
活動内容 | 週に1回病棟でカンファレンスを行い、糖尿病教育入院中の患者さんの生活背景や病状などの情報を多職種で共有し、今後の方向性と治療方針を確認し、各専門職で連携し支援します。 月に1回話し合いの場を設け、糖尿病教育入院や外来糖尿病教室のスケジュール調整、外来での透析予防支援などの情報を共有しています。 糖尿病透析予防では、医師、管理栄養士、看護師が連携し、糖尿病性腎症による腎機能の悪化予防についての相談にのっています。 糖尿病足外来では、医師、看護師が足壊疽予防のためのフットケアを行っています。 |
褥瘡対策チーム
目 的 | 院内全体の褥瘡保有患者さんの治療及び褥瘡発生予防対策が円滑に行われるように褥瘡対策委員会と連携し、褥瘡に関する各種最新のガイドラインに則った予防・治療・啓発活動を行う。 |
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対 象 | 褥瘡保有患者さんと褥瘡発生リスクが高い患者さん |
チームメンバー | 褥瘡対策チーム 褥瘡対策専任医師(皮膚科・形成外科医師)、看護師(褥瘡対策専任看護師) 褥瘡対策委員会 医師(皮膚科・形成外科・総合診療内科医師)、看護師(褥瘡対策専任看護師、皮膚・排泄ケア特定認定看護師)、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、入院医事課、資材課 |
活動内容 | 院内褥瘡保有患者さんの共有(毎週)、褥瘡回診(月2回)を行い、治療及び指導を行う。 職員の褥瘡に関する知識・技術向上を目的とした学習会を年3回開催する。 褥瘡予防用品の選定を行う。 |
摂食嚥下チーム
目 的 | 誤嚥リスクがある摂食嚥下障害患者さんの安全な経口摂取確立支援 |
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対 象 | 各診療科から依頼があった摂食嚥下障害患者さん |
チームメンバー | 医師(リハビリ科・歯科)・看護師(摂食嚥下障害看護認定看護師)・言語聴覚士・管理栄養士・薬剤師・歯科衛生士 |
活動内容 | 摂食嚥下障害患者さんに対して、入院早期から嚥下評価を行います。多職種と協働しながら、摂食条件の設定や栄養経路方法の検討を行います。 |
呼吸サポートチーム(RST)
目 的 | 人工呼吸器管理や高流量の酸素投与を受ける患者さんに対する安全管理、人工呼吸器の早期離脱に向けたサポートを行う。 |
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対 象 | 主として人工呼吸器を装着した患者さん、高流量の酸素投与を受ける患者さん |
チームメンバー | 医師(呼吸器内科・歯科・救急科)、看護師(クリティカルケア認定看護師・感染管理認定看護師・慢性呼吸器疾患看護認定看護師)、理学療法士、臨床工学技士 |
活動内容 | 定期的に患者さんのベットサイドにRSTチームが訪問し安全対策の支援、人工呼吸器管理や高流量の酸素投与に対する治療・ケア・呼吸機能回復に向けての支援を行います。呼吸療法に関する院内マニュアルの整備や、学習会などによる職員教育、職員からの相談に対応しています。 |
認知症ケアチーム
目 的 | 入院加療に伴う認知症の悪化予防、認知機能に合わせた適切なケアを提供し、身体疾患の治療を円滑に受けられるよう支援します。 |
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対 象 | 各職場より認知機能低下、認知症のケアで相談があった患者さん |
チームメンバー | 医師(神経内科)、看護師(老人看護専門看護師)、作業療法士、医療福祉相談員 |
活動内容 | 患者さんの認知機能を評価し、援助方法を職場のスタッフと共に検討します。患者さんの言動の要因を探り、身体不快症状の緩和を図るなど、安全に治療が受けられ退院できるようサポートします。 |
せん妄ケアチーム
目 的 | せん妄の予防、せん妄の早期発見、重症化や遷延を予防し回復に向けたケアを適切に行い、患者の身体状態の悪化予防、ADLや患者・家族のQOLの向上 |
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対 象 | 各職場よりせん妄予防、せん妄ケアで相談があった患者 |
チームメンバー | 医師(緩和医療科、救急・集中治療科)、看護師(老人看護専門看護師、緩和ケア特定認定看護師、クリティカルケア特定認定看護師、脳卒中看護特定認定看護師、診療看護師)、 作業療法士、薬剤師 |
活動内容 | 入院時より、せん妄発症のリスクがある患者さんへの対応が行えるように院内での仕組み作りをしています。 また、せん妄になった患者さんへは身体的な原因や誘因を探り、痛みや苦痛が最小限になるようなケアの方法や、必要な薬物療法を多職種と検討して、病棟看護師とともに重症化の回避やせん妄の遷延を予防し、回復に向けた支援を行います。 |
排尿ケアチーム
目 的 | 尿道留置カテーテルの早期抜去による尿路感染の防止とQOLの向上 |
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対 象 | 下部尿路障害(尿閉・排尿困難・頻尿・尿失禁など)がある患者さん |
チームメンバー | 医師(泌尿器科・リハビリテーション科)、看護師(脳卒中看護特定認定看護師・脳卒中リハビリテーション看護認定看護師・クリティカルケア特定認定看護師・排尿ケア専任看護師)、理学療法士、作業療法士 |
活動内容 | 排尿ケアチームでは「排尿管理方法を問わず自力で排尿管理が完結できること」を目指して活動をしています。下部尿路の局所的な問題ではなく、運動機能や認知機能、患者の排泄習慣や価値観などの社会・文化的要因を含め、多職種と連携し包括的なケアをしています。当院は使い捨て型親水性コーティングカテーテルを導入し、従来の滅菌での導尿動作を簡易化して自己導尿をしている患者さんが手技を習得しやすくなるような工夫をしています。これまでの排泄ケアを見直す良い機会となると共に、多職種で適切なケアを実施することで患者の尊厳を守り、ADLの維持・増進に繋がることを目指しています。毎週カンファレンスを開催し、排尿状態や問題点を多職種のメンバーで評価し、治療方針を決定しています。 |