1月 もしものときに知っておきたい 眼窩骨折/眼形成眼窩外科/アイセンター医療秘書
【特集】もしものときに知っておきたい 眼窩骨折
眼窩とは眼球の入っている顔面骨のくぼみのことで、前方以外は骨で囲まれており、その骨が折れるのが「眼窩骨折」です。なかでも眼窩の底を構成する骨はとても薄いため、目の周りや額の外傷で骨折しやすく、これを「眼窩底骨折」といいます。交通外傷や転倒のほか、ラグビーやサッカー、ボクシングなどの肉体的接触を伴うスポーツで発生します。
症状
眼窩底骨折では、眼の動きを担う重要な神経や筋肉、血管などが障害されやすく、眼を上下左右に動かしにくくなります。そのため、複視(両目でものを見たときに二重に見える)を生じます。そのほかには血のまじった鼻水が出たり、眼球が奥に凹みます。
検査
CTやMRIといった画像検査で、骨折の部位や程度、神経や筋肉の損傷状況、出血の程度を詳しく調べます。
治療
複視などの症状は時間とともに徐々に改善することもありますが、発症時から強い複視のために日常生活に支障がある場合や、数週間経っても眼の動きが完全に戻らず、痛みも持続する場合は手術を行います。手術では骨が欠けたところを、ご自身の肋軟骨や硬膜、あるいはチタンメッシュやテフロン、ポリエチレンなどの人工物で塞ぎ、眼球を動かす筋肉や神経が正常に働くように修復します。 眼窩底骨折の手術には最適なタイミングがあります。骨折の状況、眼球陥没の程度、神経症状などを正しく把握した上で、保存療法で改善を待つか、手術を行うかを判断することが重要です。
文責:アイセンター・眼形成眼窩外科 細川 亮
文責:アイセンター・眼形成眼窩外科 細川 亮
【診療科・センター紹介】眼形成眼窩外科
専門性を生かした診療をすべての患者さんに
当科は、目の周りの疾患(眼瞼、眼窩、涙道疾患)を専門とする日本において数少ない診療科です。眼科や形成外科などの専門知識・技術を生かした診療を行っています。眼瞼の疾患には、眼瞼下垂(まぶたが下がった状態)や眼瞼内反(さかまつげ)、眼瞼腫瘍(まぶたのできもの)などがあります。眼窩の疾患には、眼窩腫瘍(眼球の周りのできもの)、甲状腺眼症(バセドウ病に伴う目の病気)などがあります。眼窩骨折についても診療体制の充実を図り、以前より待ち日数も短く診察や手術を受けていただけます。涙道の疾患には、涙道閉塞(涙の排水管がつまった状態)、涙嚢炎(涙道閉塞によって炎症を起した状態)などがあります。
このほかにも目の周りにはさまざまな疾患が生じます。目の症状でお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
文責:アイセンター・眼形成眼窩外科 細川 亮(写真前列中央)
このほかにも目の周りにはさまざまな疾患が生じます。目の症状でお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
文責:アイセンター・眼形成眼窩外科 細川 亮(写真前列中央)
【診療を支えるスペシャリスト】アイセンター医療秘書
安心を提供し、診療を支えます
医療秘書の業務は主に診察介助と窓口業務があります。診察室では患者さんへの各種ご案内や次回診察時の指示入力、眼科・眼形成眼窩外科で行われる年間約3,200件の手術に必要な書類の手配など、視能訓練士と共に医師の診療をサポートしています。窓口業務では受付や再診予約をお取りする際、混雑状況に合わせ柔軟に業務を振り分けて待ち時間削減に努めています。また、診察室での患者さんの状況を把握した上で、検査・治療・手術などのご案内は患者さんお一人お一人に合わせて行います。
アイセンターにはご高齢の方や書面の見えにくい方もたくさん来院されます。皆さまが安心して診療を受けていただけるよう対応いたしますので、いつでも遠慮なくお声かけください。
文責:アイセンター・眼科検査室
文責:アイセンター・眼科検査室
2025年1月号(冊子)
- 表紙・特集
- 年頭のご挨拶、インフォメーション
- 診療科・センター紹介
- 診療を支えるスペシャリスト