3月 突発性難聴に対する高気圧酸素療法/耳鼻咽喉科/臨床工学技士
【特集】突発性難聴に対する高気圧酸素療法
どんな病気?
ある日突然、何の前触れもなく片方の耳が聞こえなくなり、ひどい場合は激しい回転性のめまいを伴う原因不明の病気です。子どもから高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性があり、特に働き盛りの40~60歳代に多いとされています。2001年の厚生労働省の調査では、おおよそ全国で年間3万5千人(人口100万人に対し275人)が発症すると言われています。
治療方法と治療効果は?
治療の基本は飲み薬や点滴によるステロイド投与になります。その他、血管拡張剤、循環改善剤、ビタミン剤なども併用します。軽症の方以外は点滴治療と安静のために入院治療をお勧めしています。
約1/3の方は聴力が正常に戻り、約1/3の方は部分回復しますが、残念ながら約1/3の方は改善せず、治りにくい病気として知られています。4週間程度放置すると改善が得られにくくなるため、発症2週間以内になるべく早く耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を行ったうえで治療を開始することが重要です。
約1/3の方は聴力が正常に戻り、約1/3の方は部分回復しますが、残念ながら約1/3の方は改善せず、治りにくい病気として知られています。4週間程度放置すると改善が得られにくくなるため、発症2週間以内になるべく早く耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を行ったうえで治療を開始することが重要です。
高気圧酸素療法とは?
気圧を高めた酸素カプセルの中で100%の酸素を吸入することで、障害のある部分に高濃度の酸素をとどける治療です。当院では治療効果を高めるためにステロイド治療と併せて高気圧酸素療法を行う同時併用治療を2025年1月から開始しました。他施設でステロイド治療を受けられた方で、治療開始から4週間以内の場合は高気圧酸素療法を行うことができます。
突発性難聴の治療費用は?
突発性難聴は静岡県が特定疾患(難病)に指定しているため、県内に住民票がある方は申請後1年間に限り自己負担が軽減されます。特に高気圧酸素療法は高額ですので、治療を受ける際には特定疾患医療費助成の申請をお勧めします。ただし、申請しない場合でも、通常の保険診療の高額療養費制度を利用いただくことが可能です。
文責:耳鼻咽喉科 部長 岡村 純
文責:耳鼻咽喉科 部長 岡村 純
【診療科・センター紹介】耳鼻咽喉科
一般的に耳鼻咽喉科は、耳(中耳炎・難聴・めまい・顔面神経麻痺)、鼻(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎)、のど(扁桃炎・声帯ポリープ)のよく知られている病気を中心に治療にあたりますが、当院のような総合病院では、鎖骨から上の領域の「頭頸部外科」としての役割も重要です。特に甲状腺や口の中を含めた頭頸部領域(咽頭・喉頭・鼻副鼻腔・顎下腺・耳下腺など)の良性腫瘍や悪性腫瘍(舌がん・喉頭がん・下咽頭がんなど)の治療を得意としており、さまざまな職種のスタッフと連携を取りながらチーム医療を行っています。最新の技術や知識を常に取り入れ、頭頸部の病気で悩まれている患者さんはもちろん、近隣の病院や診療所の先生方のためにも日々努力していく次第です。
文責:耳鼻咽喉科 部長 岡村 純(写真中央)
文責:耳鼻咽喉科 部長 岡村 純(写真中央)
【診療を支えるスペシャリスト】臨床工学技士
高気圧酸素療法を支えるスペシャリスト
臨床工学技士の主な業務は、病院で使用する医療機器を保守点検し、医師の指示で操作することです。2025年1月に開始した高気圧酸素療法で使用する専用装置も臨床工学技士が管理・操作します。高気圧酸素療法とは、高圧の酸素環境下で酸素を吸入することで血液中の酸素量を通常の10~20倍に増やし、突発性難聴などの治療に応用するものです。
高気圧酸素カプセルに入り、治療中はテレビを見たり、リラックスしてお休みいただけます。耳が詰まる感覚があるときは、唾を飲み込んだり
軽くあくびをすると解消できます。私たち臨床工学技士が医療機器のスペシャリストとして治療に立ち会い、安全な治療をご提供しますので、安心して治療をお受けください。
文責:臨床工学室 高柳 綾子(写真左)
軽くあくびをすると解消できます。私たち臨床工学技士が医療機器のスペシャリストとして治療に立ち会い、安全な治療をご提供しますので、安心して治療をお受けください。
文責:臨床工学室 高柳 綾子(写真左)
2025年3月号(冊子)
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