看護相談室

  • 看護相談室
退院後も住み慣れたお家で
安全・安心に暮らしていただくために

Q

どのような看護ができますか?

A

看護相談室の看護師は、「病気や検査・治療について知りたい」「入浴、移動、食事など、退院後の生活が心配」「介護保険のこと、訪問看護のことを知りたい」「ベットや車椅子など、介護用品を購入・レンタルしたい」など、医療・看護・介護・福祉に関する相談に対応します。

ここに注目!

看護相談室の看護師は、院内多職種と地域関係者と連携協働しながら、患者と家族が住み慣れた地域で安全・安心・安寧に暮らせるよう療養上の問題解決を支援します。

職場の特徴

看護相談室では、患者さんが退院後も住み慣れたお家で安全・安心に暮らすことができるよう、ご家族、退院支援看護師・病棟看護師・外来看護師、在宅療養を担う地域関係者と連携しながら療養環境の調整を行います

看護相談室が大切にしている看護

  • 患者さんの思いに寄り添うこと
  • 患者さんとご家族の選択を支持すること
  • 住み慣れたお家で患者さまができるだけ長く暮らせるよう療養環境を調整すること
  • 在宅療養を担う地域関係者と一緒に療養上の問題解決に取り組むこと

看護体制(実際のPNS場面)

退院支援看護師が何やら困った顔をしています
看護相談室の看護師が退院支援看護師に声を掛けました
【患者さん】
もう家に帰る。お前達の世話にはならん。
一体、何が心配なんだ。
【ご家族(娘さん)】
父の世話は母には無理。
日中、何かあったらどうするの。私達は、家より施設のほうが安心です。
【退院支援看護師 Aさん】
どうしよう…。どうしたら良いの。
退院調整をどう進めたら良いのか…。私、分からなくなっちゃった。トホホホホ
【看護相談室 看護師Bさん】
Aさん、元気ないわね。どうしたの。
【退院支援看護師 Aさん】
初発の心不全で入院した患者さんの退院調整で困ってます。
【看護相談室 看護師Bさん】
退院調整の何に困っているのかな。
今の病状とこれまでの調整状況を教えて。
【退院支援看護師 Aさん】
心不全症状は点滴治療で改善して、先生から「いつでも退院OK」と言われている70歳の男性です。
自宅退院が希望で妻と長女夫婦の四人暮らし。
患者さんへの心不全指導、妻への栄養指導は終わってます。
3日前にサテライトで介護保険を申請しました。
患者さんは、移動とお薬の管理に見守りが必要です。
面談後、患者さんと娘さんで意見が分かれてしまって…。
【担当看護師】
お薬はバッチリ飲めてます。
【看護相談室 看護師Bさん】
心不全の症状は安定。患者さんは住み慣れたお家に帰ることを希望している。
Aさんは患者さんの思いに寄り添いながら退院調整を進めてきたのよね。
ところで困り事は何かな。
【退院支援看護師 Aさん】
患者さんの思いに寄り添いたいけど娘さんに「施設のほうが安心」って言われると、
患者さんの思いを尊重して大丈夫かなって不安になって…。
この後、患者さんと家族の選択をどのように支援したら良いのか分からなくなっちゃたんです。
【看護相談室 看護師Bさん】
Aさんの困り事は療養場所の意思決定支援でいいかな。
【退院支援看護師 Aさん】
ハイ。そうです。
【看護相談室 看護師Bさん】
Aさんは“聖隷三方原病院尊厳の木”を知ってる?
尊厳の木の実は意思決定支援のプロセス。幹を支える根は倫理原則と看護業務に求められる倫理的概念の中に深く根付いていることを表しています。
尊厳の木には患者さんの意思決定支援で重要な考え方、プロセスを支援する方法が記されているのよ。
“尊厳の木”を使って一緒に考えてみましょう!
【看護相談室 看護師Bさん】
意思決定支援のプロセスは、
「情報整理と課題抽出」→「患者さん・ご家族と医療者で共通目標の設定」→「選択肢の検討と結果の予測」の順に進んでゆきます。
【退院支援看護師 Aさん】
“尊厳の木”を使って考えていくんですか。私にそんなことできるのかな。
【看護相談室 看護師Bさん】
患者さんが自分にとって最も良い療養場所を選択し、その場所で長く暮らせるよう療養環境を調整する、を目指しましょう。
まずは、考えられる療養場所の選択肢とそれを選択した場合の結果(メリットとデメリット)を考えてみましょう。家と施設以外の選択肢についても考えておく必要があるのよ。
【退院支援看護師 Aさん】
自宅のメリットは、家を目指して頑張ってきた患者さんの希望に沿えること。
デメリットは、心不全増悪の重要な症状に気づかず、悪化してしまう可能性があること。
家族の介護負担、娘さんが納得していないことです。
【患者さん】
血圧と体重は毎日測って記録するよ。
【看護相談室 看護師Bさん】
施設入所の場合はどうかな。
多様な選択肢を出しあうことが重要よ。
【退院支援看護師 Aさん】
施設入所のメリットは、食事や風呂の心配がない。
体調管理を職員にお願いできれば症状を見逃す危険が少ないことと、娘さんが安心すること、妻の介護負担が減ること。
デメリットは患者さんの思いに寄り添えない。
経済的な負担と、たくさんの施設の中から患者さんに合った施設を探すのに時間がかかること。
【ご家族(娘さん)】
家より施設のほうが安心。
【看護相談室 看護師Bさん】
意思決定支援では、選択肢の検討とそれを選択した場合の結果を予測し、選択のメリットを最大限に活かす方法とデメリットを最小限にする方法の検討が必要です。
誰が、何時、何をするのかを具体的に話し合い、一人で抱え込まないようにして、チームで問題解決に取り組む体制を整えていくことも重要です。
患者さんが希望する場所でできるだけ長く暮らすためには、体調管理、心不全症状悪化時の対応、介護負担、経済的負担についての問題解決が必要そうね。ところで、患者さんは療養上の問題をどのように認識しているのかな。
今後の生活で大切にしたいこと、人生の最終段階で希望する医療・ケアについて患者さんの考えを聞いておくとことも療養場所の意思決定支援では重要なのよ。
【退院支援看護師 Aさん】
心不全指導を患者さんと一緒に振り返り、療養上の困り事とその解決策を確認して、今後の生活で大切にしたいことを聞いてみます。
患者さんと家族には、介護保険制度を利用した環境調整についての情報を提供して、施設に関する相談窓口として医療相談室を案内していきます。
一人で抱え込まず、Bさん、ケアマネさん、医療相談員さん等、相談しながら支援していくことが分かり安心しました。
【看護相談室 看護師Bさん】
Aさんの笑顔が復活したみたいで私も嬉しいわ。
今後も困ったら相談してね。