第1章 生命の発現から人体の成り立ちまで
A. 始原宇宙の物質離合集散から
原始大気には還元性分子が充満: 有機物質の発現の祖元素: C, H, O, N, P, Fe, Caの離合集散により分子誕生
B. 地球の歴史は有機物の合成と分解に特徴づけられている
- 炭酸ガスと水による合成:アルキル化合物6CO2+6H2O⇄C6H12O6+6O2:炭酸同化作用
(⇄の→は植物、←は動物) - 炭酸ガスとアンモニアによる合成CO2+2NH4⇄CO(NH3)2+H2O:窒素同化作用
(⇄の→は植物、←は動物) - 三大栄養素の合成
a) 炭水化物 (CH2O)6 CHO
b) 脂質 n(CH2)-COOH
c) たんぱく質 n(CH2)-CH-COOH NH3
C. 細胞の誕生
細胞膜の褶曲・陥凹による表面積増大と機能付与とそれに伴う核物質の濃縮と被包化
D. 多細胞個体の発現と植物細胞と動物細胞の分極化
植物細胞は大地と天空への伸張するのに対し、
動物細胞は空間を切り取って内界を作り細胞増加を試みる
動物細胞は空間を切り取って内界を作り細胞増加を試みる
E. 多細胞個体の原則
植物機能 | 腹側陥入によって生じた腸管の派生組織の展開よる摂取-消化-排泄の機能構造 |
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動物機能 | 背部陥入によって生じた神経管の派生組織の展開による情報の感受-統合-運動の機能構造 |
F. 植物過程: 腸管系の進化
G. 動物過程: 神経管の進化
素情報からの認識(五蘊:色、受、想、行、識)と行動過程
a) 内臓生命:自律神経系
b) 渉外生
a) 内臓生命:自律神経系
b) 渉外生
H. 胎児組織から諸種の間葉組織の展開
I. 人体の”五臓六腑”への成立
1. 消化管 | 機械的,化学的消化の世界 |
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2. 肺 | O2獲得とCO2排泄を目する換気/潅流の世界 |
3. 肝 | 外界素材の内内界化の装置 |
4. 膵 | 三大栄養素の化学消化と糖質調節 |
5. 造血器 | 避腸的消化の担当細胞の一大母地 |
6. 心・血管 | 体内循環の搏動源と定常流化と四通八達のネットワーク |
7. 泌尿器 | 濾過と再吸収による体液調節 |
8. 生殖器 | 生殖細胞の産生とチャンス・モラトリアム |
9. 内分泌系 | 血流を利用しての細胞間伝達フィードバック |
10. 神経系 | 神経線維による遠隔情報伝達を通しての内外界での知覚と運動 |
11. 運動系 | 重力に抗する個体骨格と潤滑随意運動 |
12. 被覆系 | 外界との機械的、感覚的、免疫的界面保護 |
X.Bichatの統一的生体観
19世紀初頭活躍のフランス・リヨンの医師
生命とは死に抗する諸器官の統合である
La vie est l’ensemble des organs, que resistent à la mort.
La vie est l’ensemble des organs, que resistent à la mort.
個体体制とゲノム(遺伝子)
- ゲノムの生存のための装置としての細胞の出現
- 環境との関係でより多くの細胞が共存出来る装置としての個体体制
- 所与形質であるゲノムを縦糸、環境との切磋琢磨してでき上がって来た獲得体制を横糸に編み上げた織物である布地こそ生命実存の本質
- ゲノムから個体体制成立の進化の各段階は前段階の各構成要素の経験を絶した画期的創作である。
- 限定空間内包型の動物個体は進展拡大型の植物個体と異なり死骸を前提として成立している。生命の”かけがえなさ”の本質がここに内包されている。