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D.オピオイド投与中に眠気が出てきたとき

オピオイド投与中の眠気に対するアルゴリズム


治療オプション

眠気の原因となっている病態を除外してください。

高カルシウム血症、感染症、低ナトリウム血症、脳転移、ほかの薬剤、不眠、肝不全、肝転移がないシャントによる高アンモニア血症などが見逃されやすいが治療できることのある病態です。

夜間不眠であれば、短いBz(ゾルピデムなど)、内服できなければ(おだやかにいくなら)アタラックス、セニラン、(しっかりいくなら)サイレースなどで睡眠をはかると日中の眠気も減ることがあります。不眠の原因が疼痛なら、アンペック坐薬など鎮痛薬を寝前に投与すると良いこともあります。


疼痛のパターンを確認してください。

ベースの痛みが緩和されていて、1日数回の痛みが生じる場合はbreakthrough patternといって、癌患者の70%にみられます。ベースをあげていっても眠くなるだけのことが多いので、1日の安静時の痛みがとれていればベースは上げずに、数回強くなる痛みは頓用で対応します(=頓用をうまく使って満足度を上げるようにします)。

この場合、眠気が患者さんの不快であれば、ベースのオピオイド量を少し下げて、その代わりに、即効性の疼痛時指示(1日量の6分の1のオプソ・モルヒネ錠・オキノーム散→これらで眠くなってしまうようなら一番眠気の少ないフェンタニルをPCAやポンプで投与します。鎮痛は悪くなる可能性があります。)を使ったり、NSAIDs・アセトアミノフェンを積極的に使用したりします。
「I-A骨転移による痛み」を参照してください。



意識に影響しないほかの鎮痛手段があるかを検討してください。

禁忌がなければ、NSAIDs・アセトアミノフェンをオピオイドと併用してください。腎機能・胃潰瘍など定期的に使いにくい場合でも、回数を制限して「1日○回までは可」の頓用として出しておくと、患者さんが「眠くなりたくないけど、何か使いたい」ときの手段になります。

上腹部痛、肋骨を巻き込む胸郭の痛み、直腸の痛みでは、神経ブロックが選択になることが多いです。

骨転移では、放射線治療が有効です。

オピオイドでは、モルヒネ、オキシコドンよりもフェンタニルの眠気が少ないので、一部~全部をフェンタニル(フェントステープ)に置き換える方法があります。モルヒネ内服60mg=オキシコドン内服40mg=フェントステープ2mgです。鎮痛は悪くなるリスクがあります。


ベタナミン


処方例
ベタナミン50mg 0.5T(朝)で開始し、1日1~2Tまで増量

リタリンが処方できない状態にあり、ベタナミンはその代替薬です。(処方できる医師は限定されています。緩和ケアチームに依頼してください。)

倦怠感・食思不振

倦怠感・食思不振も伴うなら、ステロイドの選択肢があります。→「V-C倦怠感・食思不振」を参照してください。