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【股関節疾患について】

よくみられる症状

一般的には、足の付け根から太ももに痛みを感じることが多いですが、時にはお尻や膝まで痛むことがあります。多くの場合、歩く・股関節を動かす時に痛みを感じますが、病気の進行によっては激しく動いた夜などは、何もしなくても疼くことがあります。
時に痛みは腰が原因として股関節の病気が見逃される場合もあるので、注意が必要です。


以下のチェックポイントにあたるときには、股関節の病気の可能性があります。

✅特に足の付け根に痛みを感じる
✅足の長さが左右で異なる
✅関節の動きが悪い
✅歩行時に足を引きずる
✅靴下が履きづらい

代表的な整形外科的股関節疾患

1.変形性股関節症
変形性股関節症(股関節症)は股関節にかかるストレスによってクッションである関節軟骨が傷んでしまう病気です。女性に患者さんが多く、さらに股関節の痛みが出現するのは40~50歳代が多いとされています。

2.特発性大腿骨頭壊死症
  大腿骨頭壊死症とは、厚生労働省の特定疾患に指定されている難病で、大腿骨頭の血行が障害され
骨頭が壊死してしまう病気です。男性ではアルコール多飲、女性では他の病気の治療でステロイド使
用歴を持たれる患者さんが多いとされていますが、それらを含め骨頭の血の流れが止まる理由はほ
とんどが原因不明(突発性)です。

3.関節リウマチ
  関節リウマチとは、免疫異常によって体の中の正常な組織を傷害する物質(自己抗体)が産生される
ことによって起こる病気で、全身のあらゆる関節が影響を受けます。治療の基本は内科的治療(薬物
治療)で、近年生物学的製剤の導入に伴って治療成績が向上していますが、股関節や膝関節など脚の
大関節に病気が及ぶと、痛みが出て歩行が困難となります。このような患者さんは人工股関節・膝関
節の手術が必要となります。当院ではリウマチ・膠原病科との連携を図りながら手術の有無を判断し
ます。

4.大腿骨頸部骨折
  大腿骨頸部骨折とは、大腿骨頚部から下方にかけて起こる骨折のことで、大腿骨頚部骨折(股関節の
関節内での骨折)と大腿骨転子部骨折(股関節の関節外での骨折)に大きく分けられます。大腿骨の
根本に近い部分の約90%が高齢者に発症します。その原因は、骨粗鬆症と高齢者に転倒が多いこと
が挙げられ2030年には約26万人に患者数が増加すると予想されています。

5.発育性股関節脱臼(先天性股関節脱臼)
  生後間もない乳児の股関節が外傷等の既往もないのに、股関節が脱臼していることがあります。
日本人は世界の先進国のなかでも発育性股関節脱臼(先天性股関節脱臼)の多い民族であると言われ
ています。かつては100人に2~3人の発生がありましたが、生活環境の向上と検診、早期治療の
普及によって減少し、現在では1~2人/1000人になっています


治療法

✅保存療法
  保存療法には、生活指導(体重コントロールや杖の使用など)、運動療法(筋力訓練やストレッチ、
水中運動など)、温熱療法、薬の服用などがあり、患者さんの全身状況や病気の状態をもとに、適す
る保存療法をまずおこなってみることは大切です。
ただし、手術をおこなわない保存療法だからといって必ずしも安全ではありません。運動療法にして
も、変形性関節症が進行している場合負荷の強い運動はかえって関節症を悪化させたり、薬の使用も
胃腸障害や腎臓障害・喘息発作などの副作用をひきおこす可能性があります。
保存療法をおこなっている間も、定期的に病院・医院でレントゲン検査など関節障害の進行性や治療
効果がどの程度あるのか、副作用はみられないかなど、診察をおこなうことが必要です。

✅人工股関節置換術(DAA: Direct Anterior Approach, AMIS: Anterior Minimally Invasive Surgery)
関節障害が進行し、保存療法をおこなっても十分な効果がなく、歩行や日常的な動作、仕事や社会活
動に支障が強い場合、人工股関節置換術が痛みを取り除き、歩く力を取り戻すきわめて有効な治療法
となります。
人工股関節全置換術は、股関節の損傷している部分を人工股関節(インプラント)に置き換える手術
です。人工股関節は、カップ、骨頭、ステムからできています。カップは金属、カップの内側にはめ
こむインサートは医療用プラスチック(超高分子量ポリエチレン)を用いることが多く、カップ全体
がプラスチックでできているものや金属のみでできているものもあります。ステムは骨頭を大腿骨
に固定する橋渡しをしており、金属でできています。

人工股関節の手術アプローチ(関節への入り方)には、前方(前から)側方(横から) 後方(後ろ
から)と大きく3 つの方法があります。
当科では、前方アプローチ(DAA)を用いて手術を行います。6cmから10cm程度の小さな創からお
尻や太ももの筋肉を切らずに筋肉と筋肉の間から関節へ入ることで、術後の痛みが少なく筋力の回
復も早いことが特徴です。このように皮膚切開が小さく、筋肉など身体への負担が少ない手術方法はMIS(minimally invasivesurgery:最小侵襲手術)と呼ばれています。
患者様の状態に応じて、AMISも行います。AMISは、関節を包む袋(関節包)の切開も最小限にし
て専用の器械で手術を行うことで、筋肉や神経をさらに痛めにくく、重大な術後合併症である脱臼(人工関節のボールが受け皿から外れてしまうこと)も起こしにくいことが特徴です。
術後のリハビリでは、手術の翌日には車いすに移り、立つ、歩行器で歩くというリハビリを開始し、遅くても1週間以内には杖歩行を開始し、多くの患者さんは2週間前後で階段の昇り降りもできるようになって自宅に退院することができます。


リハビリテーションについて

◎手術後のリハビリテーション
  手術後、1~2日目に療法士が病室にうかがい、痛みにおうじた動き方をお伝えします。
リハビリ室へ出室後は、体の状態にあわせて安全に歩く練習や足の運動を進めていきます。
靴下や靴の着脱、お風呂の入り方など日常生活で必要な動き方について練習をします。
リハビリでは、きれいに歩いていただくための動作練習にも力を入れています。


◎退院後の運動
  退院後は、ご自分の体力にあわせて無理のない範囲で歩くようにしてください。
また、入院中に学んだ力をつける運動と関節をやわらかくする運動を続けることが大切です。
退院時には、ご自宅でできる運動の方法をお伝えしています。


Q&A(よくある質問)

Q 手術をすると痛みはとれますか?
A 手術により、手術前にあった関節由来の痛みはとれ、関節の動きは改善します。

Q 手術後、いつから歩くことができますか?
A 早い方で手術後3日頃から歩く練習を行います。

Q 入院期間はどれくらいですか?
A 手術前の症状によりますが、2~3週間を目安としています。個人差があります。

Q 退院後、杖は必要ですか?
A 基本的に必要ありませんが、退院時の状況によっては一時的に使用していただくことがありま
す。

Q 退院後は、継続してリハビリをする必要がありますか?
A 基本的にご自宅での簡単な運動を続けていただいておりますが、ごくまれに外来でのリハビリ
が必要になることもあります。

Q 人工関節の寿命はありますか?
A 特にありません。順調な経過をたどられている方は、30年以上機能しております。
    ただし人工関節は器械ですので、人間の体に同化することはありません。ゆるみや摩耗などの
変化を確認するため、どんなに調子が良くても術後は年に1回程度の定期受診が必要となりま
す。

Q 人工関節の手術をすることで、身体障がい者手帳を受給できますか?
A 平成26年4月1日に身体障がい者障がい程度等級表の一部改正により、手術後の経過の安定
した時点での関節可動域や筋力等を総合的に判断して認定されることになりました。

Q 使えなくなる治療器具はありますか?
A マイクロ波を発する治療器具はやけどの危険があるため、使用禁止です。

Q 車の運転はできますか?
A 右の股関節を手術された方は、ブレーキングに時間がかかることがあるために十分な注意が
必要です。

Q 自転車は乗れますか?
A 乗れます。乗降時の動作方法や注意点をお伝えします。

Q 正座はできますか?
A できます。動作方法や注意点をお伝えしますが、膝など他の関節に問題のある方はその限りでは
ありません。

Q 重い荷物は持たないほうがいいのでしょうか?
A 買い物袋等は問題ありません。両足で力いっぱい踏ん張る程の重量物は持たないほうがいいと
されています。

Q スポーツはできますか?
A 衝撃のかかり過ぎないスポーツへの参加が推奨されています。アメリカの股関節学会では、ゴル
フ、水泳、ウォーキング、ハイキング、ボウリング、エアロバイク、サイクリング、ダブルステ
ニス、軽いエアロビクス、社交ダンスなどを推奨しており、激しいエアロビクス、野球、バスケ
ットボール、サッカーなどを推奨できないとしています。

Q 飛行機は乗れますか?また、手術をした証明書は発行してもらえますか?
A 乗れます。手術の証明書は、診断書として発行することはできますが、それによって空港保安所
での身体検査を免除されるものではありません。

引用文献「日本整形外科学会」;症状・病気をしらべる


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