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【膝関節疾患について】

膝関節のしくみ

膝関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)と前方にある膝蓋骨(おさらの骨)で構成されています。人体の中で最も大きな関節で、歩行や階段、立ち座りなどの日常生活動作に非常に重要な役割を持っています。

以下のチェックポイントにあたるときには、膝関節の病気の可能性があります。

✅O脚である(まっすぐ立つと左右の膝の間があいている)
✅まっすぐに伸ばせない
✅曲がりにくい、正座ができない
✅歩き始めに痛むが、しばらくすると楽になる
✅立ち上がるときに痛い
✅曲げ伸ばしすると、ギシギシ音がする

代表的な整形外科的膝関節疾患

1. 変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、主な症状は膝の痛みと水がたまることです。 初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。

2. 骨壊死症
骨壊死症は、血液の供給が妨げられることで骨の一部が死んでしまった状態です。 骨壊死は、けがが原因で起こることもあれば、自然に起こることもあります。 典型的な症状としては、痛み、関節可動域の制限、足の引きずり(脚に発生した場合)などがあります。

3. 関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫異常によって体の中の正常な組織を傷害する物質(自己抗体)が産生されることによって起こる病気で、全身のあらゆる関節が影響を受けます。治療の基本は内科的治療(薬物治療)で、近年生物学的製剤の導入に伴って治療成績が向上していますが、股関節や膝関節など脚の大関節に病気が及ぶと、痛みが出て歩行が困難となります。このような患者さんは人工股関節・膝関節の手術が必要となります。当院ではリウマチ・膠原病科との連携を図りながら手術の有無を判断します。

4. 半月板損傷
半月板損傷とは、半月板は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の間にある軟骨組織です。内側と外側に一つずつ存在し、関節にかかる体重を分散させ、関節の位置を安定させる役割を担っています。日常生活やスポーツなどで負荷がかかり、傷がついた状態を「半月板損傷」と呼びます。

5. 靭帯損傷
靱帯損傷とは、膝関節を安定化させる靱帯として、内側には内側側副靱帯、外側には外側側副靱帯、膝関節脛骨の前方から大腿骨側に向かう前十字靱帯、脛骨の後方から大腿骨側に向かう後十字靱帯があります。これらの靱帯が膝関節にかかる外力によって損傷し、症状を呈してくる疾患です。受ける外力が大きくなると単独の靱帯損傷ではなく、複数の靱帯に損傷をきたしてくることもあります。

6. 膝蓋骨の亜脱臼
膝蓋骨脱臼とは膝にあるお皿の骨(膝蓋骨)が外れることをいい、亜脱臼とはお皿が外れそうになる状態をいいます。 脱臼すると膝が腫れて強い痛みを感じます。 亜脱臼は歩くと膝の内側が痛くなる、膝がぬけるような不安感、ガクッとなる(膝くずれ)などの症状がありますが、ほとんど無症状のことが多いです。


変形性膝関節症の治療法

✅保存療法
  保存療法では「生活指導」を基本として、「運動療法」「薬物療法」を組み合わせて行います。
(生活指導)
運動の指導イメージ
膝の痛みのため体を動かさず運動不足になると、膝を支える筋力が低下し、体重増加を招きます。その結果、膝への負担が増え、痛みが増すという悪循環をきたします。保存療法の基本として、まずは運動、 減量や食事を中心に生活指導を行います。
(運動療法)
運動療法は膝関節周囲の筋力を強化し、膝関節への負担を軽減するために行います。
SLR運動(脚あげ体操)など、太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)の訓練が中心になります

✅薬物療法
変形性膝関節症の薬物療法には、「内服薬」「外用薬」「関節内注射」があります。
内服薬としては、痛みや炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、解熱鎮痛剤、強力な鎮痛
薬であるオピオイドなどが用いられます。
外用薬には、皮膚から薬の成分[非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)など]が吸収されて効果を発
揮する塗り薬や貼り薬(湿布薬)があります。
関節内注射では、関節機能改善剤や、炎症を抑える作用が強いステロイドが用いられます。
 関節障害が進行し、保存療法をおこなっても十分な効果がなく、歩行や日常的な動作、仕事や社会活
動に支障が強い場合、人工股関節置換術が痛みを取り除き、歩く力を取り戻すきわめて有効な治療法
となります。

✅手術療法
保存療法を行っても十分な効果が得られず、日常生活に支障をきたす場合には、手術療法を行います。

・人工膝関節手術(TKA・UKA)
 人工膝関節置換術は、その名の通り膝の関節を人工の物に取り替えてしまう手術で、変形性膝関節症
や関節リウマチなどで膝の変形が進行し、注射や内服、リハビリといった保存療法で十分な効果が得られなくなった場合に検討されます。
変形の度合いや症状、膝の機能に応じて、関節全体を入れ替える全置換術(TKA)と、傷んでいる
片側のみを入れ替える片側置換術(UKA)のどちらかを選択して行います。
「人工関節に取り替える」と聞くと少し怖い気もしますが、TKA・UKAともに痛みに対する治療効果
が非常に高いことが知られており、正座やしゃがみ込みなどに一部制限は出るものの、術後もほとん
ど通常通りの日常生活を送ることができます。

・関節鏡手術
関節の変形が軽度で、半月板の損傷や関節の内側を覆う膜(滑膜)の炎症が痛みの主な原因となっている場合に行う手術です。関節鏡(内視鏡)を関節内に入れて内部の様子をモニターで見ながら、軟骨片を取り除いたり、痛んでいる半月板や炎症性の滑膜を部分的に切除したりします。

・高位脛骨骨切り術
すねの骨(脛骨)の一部を切ってO脚を矯正することで、膝の内側の関節面に集中していた体重の負担を膝全体にバランスよくかかるようにする手術です。自分の膝関節を温存することができ、治療後は日常生活動作やスポーツも可能になりますが、骨切り部分が接合するまでには時間がかかります。


リハビリテーションについて

◎手術後のリハビリテーション
  手術後、1~2日目に療法士が病室にうかがい、痛みにおうじた動き方をお伝えします。
リハビリ室へ出室後は、体の状態にあわせて安全に歩く練習や足の運動を進めていきます。
靴下や靴の着脱、お風呂の入り方など日常生活で必要な動き方について練習をします。
リハビリでは、きれいに歩いていただくための動作練習にも力を入れています。

◎退院後の運動
  退院後は、ご自分の体力にあわせて無理のない範囲で歩くようにしてください。
また、入院中に学んだ力をつける運動と関節をやわらかくする運動を続けることが大切です。
退院時には、ご自宅でできる運動の方法をお伝えしています。


Q&A(よくある質問)

Q 手術をすると痛みはとれますか?
A 手術により、手術前にあった関節由来の痛みはとれ、関節の動きは改善します。

Q 手術後、いつから歩くことができますか?
A 早い方で手術後3日頃から歩く練習を行います。

Q 入院期間はどれくらいですか?
A 手術前の症状によりますが、2~3週間を目安としています。個人差があります。

Q 退院後、杖は必要ですか?
A 基本的に必要ありませんが、退院時の状況によっては一時的に使用していただくことがありま
す。

Q 退院後は、継続してリハビリをする必要がありますか?
A 基本的にご自宅での簡単な運動を続けていただいておりますが、ごくまれに外来でのリハビリ
が必要になることもあります。

Q 人工関節の寿命はありますか?
A 特にありません。順調な経過をたどられている方は、30年以上機能しております。
    ただし人工関節は器械ですので、人間の体に同化することはありません。ゆるみや摩耗などの
変化を確認するため、どんなに調子が良くても術後は年に1回程度の定期受診が必要となりま
す。

Q 人工関節の手術をすることで、身体障がい者手帳を受給できますか?
A 平成26年4月1日に身体障がい者障がい程度等級表の一部改正により、手術後の経過の安定
した時点での関節可動域や筋力等を総合的に判断して認定されることになりました。

Q 使えなくなる治療器具はありますか?
A マイクロ波を発する治療器具はやけどの危険があるため、使用禁止です。

Q 車の運転はできますか?
A 右の股関節を手術された方は、ブレーキングに時間がかかることがあるために十分な注意が
必要です。

Q 自転車は乗れますか?
A 乗れます。乗降時の動作方法や注意点をお伝えします。

Q 正座はできますか?
A できます。動作方法や注意点をお伝えしますが、膝など他の関節に問題のある方はその限りでは
ありません。

Q 重い荷物は持たないほうがいいのでしょうか?
A 買い物袋等は問題ありません。両足で力いっぱい踏ん張る程の重量物は持たないほうがいいと
されています。

Q スポーツはできますか?
A 衝撃のかかり過ぎないスポーツへの参加が推奨されています。アメリカの股関節学会では、ゴル
フ、水泳、ウォーキング、ハイキング、ボウリング、エアロバイク、サイクリング、ダブルステ
ニス、軽いエアロビクス、社交ダンスなどを推奨しており、激しいエアロビクス、野球、バスケ
ットボール、サッカーなどを推奨できないとしています。

Q 飛行機は乗れますか?また、手術をした証明書は発行してもらえますか?
A 乗れます。手術の証明書は、診断書として発行することはできますが、それによって空港保安所
での身体検査を免除されるものではありません。

引用文献「日本整形外科学会」;症状・病気をしらべる


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