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8月 がんゲノム医療って何?/がんゲノム外来



【特集】がんゲノム医療って何?

遺伝子を見る医師のイラスト

最近、新聞やメディアで目にする“がんゲノム医療”というワード。生涯で2人に1人はがんにかかるといわれる現代において、気にならない方はいないと思います。ゲノムとは、ヒトのもつすべての遺伝情報のことです。がん治療では、遺伝子情報に基づく新しい治療の形が始まっています。

がんは遺伝子の病気

これまでのがん治療薬は、がん発生部位(臓器)別に選択されていました(肺がんなら肺がんの治療薬という感じです)。しかし研究の進歩により、がんは遺伝子の異常(変異)によって引き起こされ、喫煙や飲酒など生活習慣の要因が関連することがわかってきました。そして同じ種類の遺伝子変異であれば、違う臓器に使用される治療薬も効果が期待できることもわかってきたのです。

がんゲノム医療で 精密医療(プレシジョンメディシン) を提供

がんゲノム医療とは、遺伝子変異の情報に基づく医療をいいます。個人のがんのゲノム解析を行い、最適な治療法や薬剤の選択を行うことで、治療の効果を最大に引き出し副作用を最小にとどめるなど、ひとりひとりに最適な医療(精密医療)を提供できると期待されています。

新しい がん遺伝子検査

がん遺伝子パネル検査を受診できる場合を表した図

同じ臓器に発生しても、がん細胞に生じている遺伝子変異は患者さんごとに異なります。
すでに日常で行われているがん遺伝子検査は、特定の遺伝子で起こっている一部の変異しか調べることができません。次世代遺伝子検査である「がん遺伝子パネル検査」は、患者さんのがん組織や血液を用い、数十~数百、場合によってはすべての遺伝子変異を網羅的に解析します。そこで得られた遺伝子変異の情報を利用し、がんの診断や治療法の選択に役立てます。
 がんゲノム医療の要となる「がん遺伝子パネル検査」は、2019年6月から医療保険で行うことができます。現時点での対象は、標準治療が効かなくなった方、標準治療が決まっていないがんの方(稀少がん)、どこのがんであるのか確定できないがんの方(原発不明がん)となります。また、検査を受けることにはメリットばかりではなくデメリットも存在します。特に生まれながら持っているがんになりやすい体質(遺伝性腫瘍)という、知りたくないかもしれない情報が判明してしまうこともあります。

文責:婦人科 部長 安達 博

【診療科・センター紹介】がんゲノム外来

がんゲノム外来は、がん遺伝子パネル検査を通してがんゲノム医療の実践につなぐ、入り口としての意味をもつ外来です。
 当院では複数の科の医師、看護師、臨床検査技師、社会福祉士ら多職種による外来を設立しました。外来は、主治医からの紹介で受診していただき重要事項を丁寧に説明し、十分にご理解いただいた上で検査に進みます。得られた結果をがんゲノム医療の専門家集団によって十分に検討した上でわかりやすくご説明いたします。最終的な治療方針は、患者さんと主治医との相談で決定します。現段階では遺伝子変異に基づく治療薬投与が行われる患者さんは10~15%程度とされており、決して高い割合ではありません。今後がんの遺伝子情報の集積やそれに基づく新薬の開発が進めば治療薬が見つかる割合は高くなると期待されます。

婦人科メンバー写真

文責:婦人科 部長 安達 博(写真前列右から2番目)

2019年8月号(冊子)

2019年8月号「白いまど」表紙画像

  • 表紙・特集
    がんゲノム医療って何?
  • インフォメーション
  • 診療科・センター紹介
    がんゲノム外来
  • 診療を支えるスペシャリスト
    臨床検査技師(病理検査)

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