2月 骨盤臓器脱 どうすればいいの?/婦人科
【特集】骨盤臓器脱 どうすればいいの?
骨盤臓器脱ってどんな病気?
骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋が出産や加齢で緩み、臓器が下がってくる女性特有の病気です。緩む場所によって膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤と診断されます。膀胱瘤が最も多く、下垂感(臓器が垂れ下がってくるような感覚)以外に排尿困難や尿漏れの症状が出現することがあります。
骨盤臓器脱の症状は肥満、便秘や重いものを持つことで悪化しやすくなります。
骨盤臓器脱の症状は肥満、便秘や重いものを持つことで悪化しやすくなります。
受診のタイミングは?
基本的に命にかかわる病気ではありません。「腟の中が膨らんでいる」「ピンポン玉みたいに触れる」と慌てる必要はありません。症状が軽い場合、違和感程度であれば骨盤底筋体操で悪化を防ぐことが可能です。「常に腟の外に触れる」「排尿しにくい」「こすれて出血する」などがあれば受診をおすすめします。ただし、排尿できない場合も腟の膨らんでいる部分を押し込むことで排尿できるため緊急で受診する必要はありません。
どんな治療があるの?
腟の外まで臓器が下垂している場合には手術が検討され、腹腔鏡手術または、ロボット支援下手術で行います。
当院で最も多く実施しているのは仙骨腟固定術という方法で、子宮体部を切除して腟と膀胱の間にメッシュを固定し、腰の骨の前面まで引き上げて固定します。お腹の傷は1㎝程度の穴が4~5ヶ所のみで、からだにかかる負担が少ないため回復が早く、早期社会復帰が可能です。腟からの手術操作がなく、性交渉にも支障はありません。再発率が最も低い方法といわれていますが、お腹の中に異物を留置することになるため、糖尿病や免疫力を低下させる薬を飲んでいる患者さんには適さない場合もあります。腟式子宮全摘術、腟断端挙上術、腟壁形成術、腟閉鎖術などメッシュを使用しない方法もあります。手術を希望されない場合や症状が軽い場合には、ペッサリーというリングを腟の中にいれて臓器が下がるのを防ぐ方法があります。
当院で最も多く実施しているのは仙骨腟固定術という方法で、子宮体部を切除して腟と膀胱の間にメッシュを固定し、腰の骨の前面まで引き上げて固定します。お腹の傷は1㎝程度の穴が4~5ヶ所のみで、からだにかかる負担が少ないため回復が早く、早期社会復帰が可能です。腟からの手術操作がなく、性交渉にも支障はありません。再発率が最も低い方法といわれていますが、お腹の中に異物を留置することになるため、糖尿病や免疫力を低下させる薬を飲んでいる患者さんには適さない場合もあります。腟式子宮全摘術、腟断端挙上術、腟壁形成術、腟閉鎖術などメッシュを使用しない方法もあります。手術を希望されない場合や症状が軽い場合には、ペッサリーというリングを腟の中にいれて臓器が下がるのを防ぐ方法があります。
予防方法はあるの?
骨盤底筋体操で骨盤臓器脱の予防や軽度の症状の改善、さらに体形の維持にも効果が期待できます。方法は、腟や肛門付近の筋肉を締めたり緩めたりを繰り返す運動です。効果を実感するまでには数週から数ヶ月と時間がかかりますが、立っていても、座っていても、寝ていてもできる運動なので毎日の日課として取り入れてみましょう。
文責:婦人科 主任医長 小林 光紗
文責:婦人科 主任医長 小林 光紗
【診療科・センター紹介】婦人科
良性疾患から悪性疾患まで婦人科疾患に幅広く対応します
婦人科は子宮と卵巣に関わる病気を取り扱います。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍に対して手術、抗がん剤、放射線などで治療を行います。月経困難や過多月経などの症状に対してはまず、鉄剤やホルモン剤などで薬物治療を行いますが、子宮筋腫などが原因の場合、それに対する手術療法も検討します。また、経腟分娩歴のある高齢者では骨盤臓器脱という病気になる方が多くみられ、保存的治療のほか、手術治療も行っています。
最近は良性・悪性疾患を問わず、手術治療にはからだにかかる負担が少ない手術(腹腔鏡手術やロボット支援下手術)を積極的に取り入れ診療にあたっています。
文責:婦人科 部長 小林 浩治(後列右から4番目)
最近は良性・悪性疾患を問わず、手術治療にはからだにかかる負担が少ない手術(腹腔鏡手術やロボット支援下手術)を積極的に取り入れ診療にあたっています。
文責:婦人科 部長 小林 浩治(後列右から4番目)