10月 がんに克つ!33 食道がんの手術について/内視鏡センター/臨床工学室
【特集】がんに克つ!33 食道がんの手術について
食道がんってなに?
食道はのど(咽頭)と胃の間をつなぐ管状の臓器で、くび・むね・おなかと3つの領域を通過します。食道がんは食道の粘膜にできる悪性の腫瘍で、飲酒と喫煙が発生の危険を高めるとされています。食道がんは早期のうちには症状がでにくく、進行して見つかることが多いため、比較的“たちの悪い”がんと考えられています。食道の周囲には、リンパ液が流れるリンパ組織(リンパ管・リンパ節)が豊富であり、リンパ節への転移の頻度が高いとされています。
治療法は?
食道がんが、早期に見つかれば内視鏡(胃カメラ)による切除の対象となることがあります。しかし少し進行して発見された場合は、手術・放射線治療・抗がん剤治療を組み合わせた治療が必要となり、体への負担が大きい治療となります。
食道がんの手術
食道がんに対する手術は、がんのできた部位、進行度によって内容を決定します。比較的多い胸部中部の食道にできた進行がんの場合は、手術の前に2~3ヶ月間、抗がん剤治療を行って、がんのサイズや伸展の程度を小さくしてから手術を行います。手術ではがんを取り除く“切除”と、食べ物の通り道を作り直す“再建”を行います。くび・むね・おなかを切開してがんを含む胸部食道から胃の一部を切除します。この時に、転移の頻度が多い領域のリンパ節を一緒に切除します(リンパ節郭清)。以前はむねやおなかを大きく切り開いて手術を行っていましたが、最近では小さな穴からカメラや器具を挿入して行う胸腔鏡手術、腹腔鏡手術を行っています。再建では胃を細長く食道のような管状にして残った頚部食道まで吊り上げてつなぎ合わせます。
この手術は10時間ほどの時間を必要とする大きな手術で、さまざまな合併症の懸念があります。合併症には肺炎や、食道と胃のつなぎ目の縫合不全、声帯の動きに関わる神経の麻痺による声のかすれ・誤嚥(反回神経麻痺)などが考えられます。そのため、胸腔鏡を用いて傷を小さくしたり、手術中に声帯の運動をモニタリングしたり、特殊な赤外線カメラを用いてつなぎ目の血液の流れを確認するなど、新しい技術を積極的に取り入れて、この手術による体への負担を減らす工夫をしています。
11月8日(土)に市民公開講座「みんなで健康ゼミ」を開催します。食道がんについて専門の医師がわかりやすく解説します。ぜひお越しください。
文責:上部消化管外科 部長 戸松 真琴
文責:上部消化管外科 部長 戸松 真琴
市民公開講座 みんなで健康ゼミ
食事のつかえ、それ、年のせいじゃないかも?
11月8日(土)に開催する市民公開講座「みんなで健康ゼミ」のテーマは「学ぼう!食道がん」です。専門の医師が食道がんの治療や手術について解説します。
ぜひお越しください。
会場にお越しいただくほか、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使ってご自宅等から視聴(ライブ配信・見逃し配信)いただけます。
11月8日(土)に開催する市民公開講座「みんなで健康ゼミ」のテーマは「学ぼう!食道がん」です。専門の医師が食道がんの治療や手術について解説します。
ぜひお越しください。
会場にお越しいただくほか、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使ってご自宅等から視聴(ライブ配信・見逃し配信)いただけます。
【診療科・センター紹介】内視鏡センター
安全で正確かつ苦痛のない内視鏡検査を
内視鏡センターは消化管(食道・胃・腸)や胆道・膵臓などの消化器の病気、肺や気管・気管支などの呼吸器の病気、前立腺や膀胱などの泌尿器の病気について、内視鏡を使った診断・治療を行っています。
内視鏡機器の技術の進歩に伴い、消化器のがんはこれまでより早期の段階で診断し、より負担の少ない治療が可能になっています。特に食道・胃腸のがんは早期診断によって、お腹を切らずに内視鏡による手術でがんを治癒できます。また、膵臓や肺の腫瘍も超音波を備えた内視鏡検査(EUS)によって、低侵襲で安全な組織採取と正確な診断が可能になりました。内視鏡センターでは、医師、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師が連携して、安全で正確かつ苦痛のない内視鏡検査を心がけています。
文責:内視鏡センター長 芳澤 社(写真前列左から2番目)
内視鏡機器の技術の進歩に伴い、消化器のがんはこれまでより早期の段階で診断し、より負担の少ない治療が可能になっています。特に食道・胃腸のがんは早期診断によって、お腹を切らずに内視鏡による手術でがんを治癒できます。また、膵臓や肺の腫瘍も超音波を備えた内視鏡検査(EUS)によって、低侵襲で安全な組織採取と正確な診断が可能になりました。内視鏡センターでは、医師、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師が連携して、安全で正確かつ苦痛のない内視鏡検査を心がけています。
文責:内視鏡センター長 芳澤 社(写真前列左から2番目)
【診療を支えるスペシャリスト】臨床工学技士
消化器系の手術を陰で支える「医療機器の達人」
執刀医の陰で高度な医療機器を操る「臨床工学技士」は、手術室で重要な役割を果たしています。上部消化管外科の食道がん手術では、声を守る神経モニター装置を操作し、医師と共に声帯の神経を守ります。ICGという検査薬とカメラ装置で、臓器の血流をリアルタイムで「見える化」し、術後のトラブル防止に努めています。
また、緊急手術では手術映像を正確に記録できるように、365日24時間、腹腔鏡カメラや術野カメラの保守点検を行っています。臨床工学技士は、医学と工学の知識をもとに医療機器の管理・操作を通じて、高度な医療と医療の安全を陰で支える「縁の下の力持ち」であることに誇りをもち、毎日励んでいます。
文責:臨床工学室 三浦 竜郎(写真前列右から2番目)、鈴木 克尚(写真後列右から3番目)
文責:臨床工学室 三浦 竜郎(写真前列右から2番目)、鈴木 克尚(写真後列右から3番目)
2025年10月号(冊子)
- 表紙・特集
がんに克つ!33 食道がんの手術について - インフォメーション
- 診療科・センター紹介
内視鏡センター - 診療を支えるスペシャリスト
臨床工学技士