12月 定期的に歯医者に行こう/腎センター/JHAT(ジェイハット)
【特集】定期的に歯医者に行こう-虫歯菌と腎臓の意外な関係-
健康診断で「蛋白尿」や「血尿」を指摘され、IgA腎症と診断された方、あるいはその可能性を伝えられた方は少なくないのではないでしょうか。
IgA腎症は蛋白尿や血尿があっても自覚症状がなく、健診ではじめてみつかることが多い病気です。放っておくと10年~20年の経過で慢性腎臓病が進行し透析が必要になることがあります。(特にeGFRが60mL/min未満の方は腎機能が低下してきていますので注意が必要です。)原因はまだ完全には解明されていませんが、私たち腎臓内科が近年注目しているのが、口の中の細菌、特に虫歯菌との関係です。
IgA腎症は蛋白尿や血尿があっても自覚症状がなく、健診ではじめてみつかることが多い病気です。放っておくと10年~20年の経過で慢性腎臓病が進行し透析が必要になることがあります。(特にeGFRが60mL/min未満の方は腎機能が低下してきていますので注意が必要です。)原因はまだ完全には解明されていませんが、私たち腎臓内科が近年注目しているのが、口の中の細菌、特に虫歯菌との関係です。
虫歯菌が腎臓に関係?
虫歯の原因菌であるミュータンス菌の中には、コラーゲンに強く結合できる“悪玉”タイプが存在します。
私たちの研究では、IgA腎症患者さんは健康な方に比べ、この悪玉菌を口の中に保有している割合が高く、さらに保有者ほど「蛋白尿」が多い傾向があることが分かりました。
この悪玉菌は扁桃にも潜み、免疫を異常に刺激する可能性があります。動物実験でもこの菌を投与すると、IgA腎症に似た腎炎を発症することが確認されています。つまり、口の健康が腎臓病の発症や進行に影響している可能性があるのです。
私たちの研究では、IgA腎症患者さんは健康な方に比べ、この悪玉菌を口の中に保有している割合が高く、さらに保有者ほど「蛋白尿」が多い傾向があることが分かりました。
この悪玉菌は扁桃にも潜み、免疫を異常に刺激する可能性があります。動物実験でもこの菌を投与すると、IgA腎症に似た腎炎を発症することが確認されています。つまり、口の健康が腎臓病の発症や進行に影響している可能性があるのです。
12年以上の研究と医科歯科連携
腎臓内科ではIgA腎症の診療と研究に特に力を入れており、歯科医師と連携し、12年以上にわたって研究を継続しています。その結果、虫歯の数や悪玉菌の存在が病気に関連している可能性を示すデータを蓄積してきました。
口の健康は全身の健康につながる
糖尿病と歯周病が互いに悪化させ合うことが知られているように、口の健康が全身の健康と密接に関わっていることはIgA腎症に限りません。透析患者さんも虫歯が多いことが研究で分かってきており、定期的な歯科受診や丁寧な歯磨きといった口腔ケアは、将来の腎臓病予防や病気の進行抑制につながる可能性があります。
まとめ
- 悪玉虫歯菌がIgA腎症に関与する可能性があります
- 口腔ケアは腎臓病や他の病気の予防に有効である可能性があります
- eGFRが60未満、血尿・蛋白尿のある方は腎臓内科を受診してください
- 年1回の健診と定期的な歯科受診を習慣にしましょう
文責:腎臓内科 部長 三﨑 太郎
【診療科・センター紹介】腎センター

多職種が協力して患者さんと向き合っています
腎センターでは、慢性腎臓病(CKD)の進行予防から透析導入・維持透析まで幅広く対応しています。腎臓病は長くつきあう必要がある病気のため、一人ひとりに合わせた全身管理を重視しています。医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師・管理栄養士など多職種が協力し、腎性貧血やカルシウム・リン管理を含む薬剤指導や栄養指導を行い、治療を継続しながら健やかな生活を送れるように支援しています。当センターは浜松地区で初めて透析を開始してから50年以上の歴史を持ち、現在は57台のベッドで同時透析が可能です。患者さんの生活の質を大切にし、安全で質の高い医療の提供に努めています。
文責:腎センター長 三﨑 太郎(写真前列左から4番目)
文責:腎センター長 三﨑 太郎(写真前列左から4番目)
【診療を支えるスペシャリスト】JHAT(ジェイハット)
災害時透析医療を支えるスペシャリスト

日本災害時透析医療協働支援チーム「JHAT(ジェイハット)」は、災害発生時に透析医療を継続可能にするために組織された医療チームです。当
院の3名の臨床工学技士がJHATに在籍しています。近年は地震以外に、集中豪雨による水害やこれらに起因する大規模停電、長期の断水など、透析医療を脅かすさまざまな災害が発生しています。
院の3名の臨床工学技士がJHATに在籍しています。近年は地震以外に、集中豪雨による水害やこれらに起因する大規模停電、長期の断水など、透析医療を脅かすさまざまな災害が発生しています。

しかし、たとえライフラインが途絶しても患者さんにとって血液透析を休むことはできません。我々JHAT隊員は、災害時に透析医療関連団体と連携して透析医療を支援します。被災地での活動が主な役割ですが、院内でも災害時対応に関する研修を行うことで、当院が被災した場合でも十分な対応ができるように日頃から備えています。
文責:臨床工学室 中島 俊一(写真中央)
文責:臨床工学室 中島 俊一(写真中央)
2025年12月号(冊子)

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