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労働安全衛生法では健康診断に関して、どのような罰則規定を設けていますか?


労働安全衛生法は、「安全および衛生」に関して事業者が果たすべき最低の条件を示した法律です。条文に違反しますと、違反した本人とともに事業者にも罰則規定(両罰規定)が与えられます。罰則には懲役または罰金があり、罰則規定のない条文もあります。これらの罰則の重さは、労働安全衛生法における各法的項目の重要度を反映していると考えられます。
健康診断の条文関係は、労働安全衛生法第66条に定められ、法第66条は、第66条5項目、第66条の2~9の8項目、総計13項目からなっています。これらの項目のうち罰則規定のある項目は、下記の表に示すように、生活習慣改善のための一般健康診断、有害業務従事者の特殊健康診断、酸など取扱者への歯科健康診断、緊急時の臨時の健康診断などの実施義務に加え、一般健康診断結果の記録義務、健康診断結果の通知義務が含まれています。罰則規定のない項目には、労働者の健診受診義務、自発的健康診断、健康診断結果への意見聴取(義務)、健康診断結果の事後指置(義務)、健康指導など、義務的面接指導、法的要件以外の面接指導などが含まれています。罰則規定はなくても、事業者の安全配慮義務は問われ、民事訴訟の対象となって、損害賠償を争われる結果となっています。
表3 健康診断の罰則
罰金50万円以下、両罰規定 罰則規定がない
第66条第1項 一般健康診断
第66条第2項 特殊健康診断
第66条第3項 歯科健康診断
第66条第4項 臨時の健康診断 労働者の健康診断受診義務
第66条第5項 自発的健康診断
第66条の2
第66条の3 一般健康診断結果の記録 健康診断結果への意見聴取
第66条の4 健康診断結果の事後措置
第66条の5
第66条の6 健康診断結果の通知
第66条の7 保健指導等
第66条の8・9 面接指導等
このように、事業者にとって健康診断の実施は、法令を順守するとともに労働者も健康診断の受診義務を担っています。事業者は健康診断結果を利用して、労働力の全体的・個別的変化傾向の把握や的確な職場配置への配慮を行い、良質な労働力の確保に結びつけていくことが大切です。
一方、労働者は健康診断結果から自己の健康状態や加齢による影響を把握して、生活習慣の改善を図ることができます。しかし、事後措置は罰則規定のない項目となっていますので、重要性が見逃される傾向がありますが、健康診断を有効なものにするためには確実な実施が必要です。