透析センター
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挨拶
2025年1月より聖隷富士病院の人工透析センターに赴任することになりました長嶋 純と申します。
私はこれまで九州の有名な腎不全外科医の先生のもとで血液透析を基本として非常に多くの生体腎移植・腹膜透析患者様の治療に携わってきました。
そこでは患者様の年齢および期待できる生命予後・生活スタイル・嗜好・今後の人生計画〔ライフプラン〕をアクセス外科医的視点で総合的に判断して腎代替療法のモダリティーを決定していくといった日本ではまだあまりなじみのない手法を用いることで苦痛の少ない結果的に患者満足度の非常に高い腎不全治療を提供することを学んできました。
4年前に妻の実家に近いここ富士市にきて初めて100床クラスの透析クリニックに勤務することになり、その患者数の多さに圧倒されつつも私が感じたことは患者様が皆一様に厳格な食事制限を徹底されていること、定期薬が非常に多いこと、そしてドライウエイトがどんどん下がっていることでした。これはそのクリニックに限った話ではなく多くの透析クリニックでも同様の現象が認められます。ここではそれの何が問題かについては割愛しますが、少なくとも言えることは患者様にとって続けていくのが辛い治療となっている可能性が高いということです。
これを血液透析に限った話、だから腹膜透析・腎移植を推進していくべきだというのは理解できるしそうすべきだと思います。しかし、現実的に96%の患者様が血液透析をされている中でもっと自由な食事・少ない定期薬・健康的なドライウエイトの維持が実現できないだろうかと考えた結果、高効率・高血流量の血液透析をベースに食事制限を撤廃した自由食を推奨するいわゆる「しっかり食べてしっかり透析」を治療理念とした、何でも食べられる透析クリニック(通称:食べれるクリニック)を目指してやってまいりました。
ここ聖隷富士病院でも基本的にはこの考えは変わりませんが、さらに充実した設備、整った入院環境など武器にプロの透析専門医として皆様に満足してもらえる透析治療を提供できればと考えております。
透析センター センター長 長嶋 純
当院の透析治療の特徴
✅飲食フリー(何でも食べられます)
まず毎月の採血データから現在の栄養状態を数値化(GNRI)します。
その値を最も重要視して治療計画を立てていきます。それを踏まえた上で限界まで効率化した透析条件を個々に設定することで、当院ではほとんどの患者様が厳しい食事制限、飲水制限から解放され、家族と同じ食卓を囲むことが可能となっております。
✅豊富な水使用量
先ほどお話しした限界まで効率化した透析条件を個々に設定することに通じるのですが、当院のある富士市は富士山麗の莫大な地下水を水源にもつ水資源大国です。その水質は超軟水と透析用原水としてこれ以上ない条件がそろっています。
当院では総透析液流量を1人あたり最大700ml/minに設定したオンラインHDF(前希釈、後希釈)を行っております。
また日機装の最新コンソールを使用しリアルタイムBVモニタリング、PRRモニタリングによるDW設定、除水速度設定を行っております。現在テスト中ですがAIによる患者様個々に最適なプログラム除水も近い将来実装する予定となっております。
✅徹底したトレーニングを受けた熟練者(エキスパートカニュレーター)による穿刺とモニタリング
当院の穿刺者は血管アクセスについて知識、身体所見について徹底的にトレーニングされており穿刺の度に血管アクセスの状態をモニタリングいたします。これにより異常の早期発見のみならず安全な運用(ミスのない、ダメージの少ない穿刺、止血)を高いレベルで実現しております。
✅ライフプランアプローチによる適切な腎不全治療
適切な患者に適切なタイミングと適切な理由で適切なアクセスを実現することを目標に血液透析のみならず腹膜透析、在宅血液透析の推進、生体腎移植、献腎移植登録の推進を行っております。
✅院内でのシャント(血管アクセス)治療、造設を行っております
血管アクセスを良好に保つ事は透析のクオリティを改善し、それはそのまま透析患者様の寿命を改善させます。院内で治療可能な体制を整えましたので、現在症例数を徐々に増やしております。院内での治療は時間的、肉体的な負担を大幅に軽減できる可能性があります。
24時間365日対応
当院では、24時間365日、通院されている透析患者さんからのお問い合わせに対応しております。休日・夜間においても、体調にご不安がございましたら、スタッフと直接電話連絡をすることができます。状況により必要があればすぐに診療を行うことも可能です。
どうぞお気軽にご連絡ください。
また、人工透析の主なトラブルとして「シャントトラブル」があります。
当院では、突然シャントが閉塞してしまったなどのトラブル時にも、お待たせすることなく迅速に対応することができます。状況によっては、シャント治療後に透析を実施することも可能であり、ご希望があれば入院することもできます。
高速Wi-Fiのご案内
♦当院では透析の患者さんに、より快適にお過ごしいただけるよう透析室のみ高速Wi-Fiを完備しています。
♦お手持ちのスマートフォン、タブレット端末、パソコン等を使って無料でインターネットに接続できます。
♦ID、パスワード、ご利用可能場所につきましては当院スタッフまでお尋ねください。
フットケア
透析患者様は免疫力の低下や血管の石灰化、動脈硬化などによって血管が詰まったり、傷が治りにくかったりするので、小さな傷ができた場合でも、悪化し潰瘍から壊疽、最終的には足の切断にまで至ることも少なくありません。
当院では足のトラブルを未然に防ぐため、患者様の状態に合わせた間隔で観察やケアを行うだけでなく、患者様自身が足の手入れをできるようセルフケア指導にも力を入れています。
また、フットケアの観点から医師にドライウェイト設定や除水量について助言することもできます。
フットケア看護師 2名在籍
フットケア件数 45~50件/月
透析リハビリテーション
当院では透析中にADL維持・向上を目的とした運動療法を行い 患者様の筋力低下防止に努めています
透析患者様は、週3回4時間透析をしており、年に換算すると約1ヶ月間臥床していることになります。そのため運動機能の低下が起こりやすく、日常生活動作や生活の質が低下する可能性があります。
実際に当院で透析リハビリテーションを実施した結果、患者様の身体機能が向上しました。また自信や生きがいとなり、楽しみながら透析治療を受けられるようになった患者様もいらっしゃいました。
体調に配慮しながら、安全にリハビリテーションが実施できるように医師や看護師、臨床工学技士、理学療法士など多職種が関わり実施しています。
運動の方法は有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)があります。
エルゴメーターを使用した有酸素運動
レジスタンス運動
腹膜透析
腹膜透析とは
腹膜透析は血液透析と並ぶ透析治療の一つです。お腹の中にある腹膜という組織は胃や腸などの内臓を覆う薄い膜です。
腹膜の表面には毛細血管がはりめぐらされており、お腹の中を透析液で満たすと、腹膜の毛細血管を介して血液中の余分な水分や老廃物が透析液へとにじみ出てきます。余分な水分や老廃物を含む透析液を、カテーテルを通して体の外へと排出することで血液透析を行います。
腹膜透析の種類
■自動腹膜透析
APDは、自動腹膜灌流装置(サイクラー)と呼ばれる器械を使って、家庭で就寝中に自動的に透析を行う方法です。就寝前に透析液バッグと回路を器械にセットするだけで、朝までに透析が自動的に行われます。
■連続携行式腹膜透析
1日4回のバッグ交換が必要で、1回の交換時間は30分です。通院せずに自分のスケジュールに合わせて、24時間連続して透析を行うことが可能です。
無料送迎サービス
当院では、ご自身での通院が困難な患者様に対し、ご自宅までの無料送迎サービスを提供しています。
福祉車両も備わっているため、歩行や車への乗降が難しい方でもご利用することができます。
<福祉車両タイプ例>
○車椅子のまま、乗車できます
○サイドリフトアップ仕様もあります
夜間透析
一般的には日中の時間帯に透析治療を受ける患者様が多いですが、夜間に透析を受ける患者様もいらっしゃいます。
夜間透析のメリット・デメリットを知り、夜間透析を透析治療の選択肢の一つとして活用しましょう。
夜間透析とは
夜間透析とは夜の時間帯に行う透析で、17時以降に開始し、21時以降に終了する透析と定義されています。
月・水・金 ※空床有り
透析開始時刻:17時~18時頃
透析終了時刻:21時~22時頃
メリット
✅夜の時間を有効活用できる
当院では高速インターネット環境が整っているため、映画やドラマの鑑賞・PC作業・ネットゲーム等、透析治療を受けながら夜間の時間を有効的に使えます。透析導入前と近い生活を行うことができ、QOL向上にもつながります。
✅日中の仕事や学業と両立できる
透析治療のために日中の仕事や学校を休んだり、遅刻・早退、時短勤務を余儀なくされたりするという悩みは深刻です。日中は仕事や学業に専念したい方に理想的な選択肢となります。当院の患者さんも仕事をしながら透析治療に通われている方が多くいらっしゃいます。
デメリット
✅公共交通機関や自家用車といったアクセス手段が必要
夜間透析は送迎サービスを行っておらず、病院へのアクセス手段の確保が必要です。夜間透析が終わる時間帯は、公共交通機関が無くなっていたり、数が減ってしていたりする場合があります。このため、車を含めた公共交通機関以外のアクセス手段を確保することが必要になります。状況に応じて相談・対応は可能です。
旅行透析・臨時透析
仕事やプライベートで遠方に行く必要がある場合など
普段透析を受けているクリニック以外の透析医療機関で、臨時的に受ける血液透析を「旅行透析・臨時透析」といいます。
当院での旅行透析・臨時透析をご希望の方は、電話にてご予約をお願いいたします。
<お伺いする内容>
・お名前、生年月日
・電話番号(携帯番号)※日中のご連絡が可能な電話番号をお伝えください
・ご希望の透析日・時間
・現在、血液透析治療で通院している医療機関名、電話番号
<当日ご持参いただくもの>
・マイナンバーカードまたは健康保険証・特定疾病療養受領証、障害者医療費受給者証
・診療情報提供書
・ご自身のパジャマやタオル、また透析中に必要な内服薬や止血ベルト、テレビ用イヤホンやヘッドホン
〈お会計〉
後日振込用紙をご自宅に郵送いたします。
お手元に届きましたら、指定口座にご入金をお願いいたします。
問い合わせ
透析センター
TEL:0545-52-0780(病院代表)
月曜~金曜日8:30~17:00(祝日・年末年始(12月29日~1月3日)を除く)