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11月 リンパ浮腫(ふしゅ)ってなに? /形成外科 リンパ浮腫ケア外来



【特集】リンパ浮腫(ふしゅ)ってなに?

リンパ浮腫は、リンパの流れが悪くなり、手や足などがむくむ病気です。多くは乳がんや子宮がん・卵巣がん・前立腺がんなどのがん治療で、リンパ節を切除した後になりますが(二次性リンパ浮腫)、そのような手術を受けたことがない人でも、リンパ浮腫になることがあります(原発性リンパ浮腫)。
リンパ浮腫は、がんの手術をした後1年以内に発症することもあれば、10年以上経ってから発症することもあるので油断はできません。また放置しておくと、徐々に手や足が重くなるだけでなく、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった炎症を頻回に起こすようになったり、皮膚が徐々に変性硬化して象皮症(ぞうひしょう)という状態になったり、ひいては命に関わることもあります。

リンパ浮腫発症

夕方になると手や足がなんとなく重く疲れやすい、などの症状で始まり、徐々に手や足のむくみがはっきりとしてきます。放置しておくと、重くて疲れやすい→運動をしなくなる→さらに重くなる、という悪循環に陥るため、悪くなる前に治療を開始する必要があります。
手や足のむくみが全てリンパ浮腫というわけではありません。心臓や腎臓が原因でむくむこともありますし、血液の流れや、関節の病気・肥満・薬が原因でむくむこともあります。リンパ浮腫以外が疑われる場合は、採血やレントゲン、CT、エコー検査などを行います。リンパ浮腫の最終的な診断はリンパシンチグラフィーという検査で行います。
リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれる治療が中心になります。弾性着衣(ストッキングやスリーブなど)による圧迫と、圧迫しながらの運動療法、そしてリンパのドレナージ(手でリンパを流す)を行います。それに加えて、スキンケアや生活指導も必要になります。自己流では効果があがらないので、専門のセラピストによる施術と指導が必要です。さらに効果をあげるために、状況によってはリンパ管静脈吻合術(ふんごうじゅつ)や、リンパ節移植術などの手術を行うこともあります。
リンパ浮腫は、以前は病気として十分に知られておらず、患者さんが誰にも相談できないまま悪化してしまうことが多い病気でした。最近は、治療できる病院も増えてきましたが、まだまだ数は少ないのが現状です。当科では、リンパ浮腫ケア外来を設け、多職種が協働して治療・ケアにあたり、長期的にサポートできるように取り組んでいます。
文責:形成外科 部長 雑賀 厚臣

形成外科 リンパ浮腫ケア外来

患者さんの思いや『その人らしさ』を大切にし、安心して生活を送れるよう共に目指します!

リンパ浮腫は一度発症すると完治は難しいと言われていますが、適切な治療やケア(複合的治療)を行うことで軽症の状態を維持したり、症状の安定化をはかったりすることができます。当院では形成外科医師と連携し、リンパ浮腫の専門資格を取得した理学療法士、作業療法士、看護師がサポートしています。
複合的治療では、浮腫や皮膚の状態をみて、患者さんに合ったスキンケア方法の提案やリンパドレナージ、圧迫療法、運動療法などを行います。
リンパドレナージでは全身のリンパの流れや、手術などで切除したリンパ節の部位、その他の合併症を考慮して、通常のマッサージとは違う手技を用いて、正常に機能しているリンパ節へリンパ液を流すように行います。また、リンパ浮腫治療の要である圧迫療法では、手足の周径や浮腫の状態に合わせて選定することはもちろんのこと、仕事や趣味、ファッション性なども含めて患者さんのライフスタイルに合わせて、より最適な弾性着衣を提案しています。
さらに、圧迫療法と併行して行うことで効果的である運動療法は、理学療法士、作業療法士の得意とする分野です。患者さんの身体機能や生活状況などに合わせて、無理なく続けられる運動を提案し、自分らしくケアを続けられるようにお手伝いしています。
看護師は、患者さん一人一人の身体と心の状態に合わせ、自身の持つ力・健康な力を活用し、医療的ケアのみならず心のサポートも行います。リンパ浮腫に対するさまざまな思いを共有し、患者さんと一緒にケアに取り組んでいます。

形成外科医師

文責:リハビリテーション部 渥美 奈緒(写真上)
        看護部 神原 千穂・坂下 千鶴

2022年11月号(冊子)

特集リンパ浮腫(ふしゅ)ってなに?
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