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脳神経外科


「利用者中心」の理念のもとに、最良の医療の提供をこころがけています


部長:稲永 親憲

当科は、静岡県西部から愛知県東部の患者さんを中心に治療しています。手術件数は県内トップクラスで、他施設で治療が困難な疾患でも良好な成績を上げています。
治療方針はインフォームドコンセントからさらに進めてシェアードディシジョン、つまり治療方針決定の過程を医師と患者が共有できるよう、可能な限り丁寧な説明を行い、外科治療、脳血管内治療、放射線治療の中から、患者さんにとって最も望ましい治療を選択します。
患者さんがご自身の病気、治療についてご理解をして治療を受けていただくことが大切と考えており、セカンドオピニオンを希望される場合には、他施設で説明を聞いていただくことも可能です。


特色ある診療

多彩な疾患に対応可能

脳神経外科で治療する疾患は脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)や頭部の外傷が一般的ですが、当院の脳神経外科では脳腫瘍、小児脳神経外科疾患、てんかん、脊髄脊椎疾患の各分野の専門家が、幅広い疾患に対応しています。
詳細は診療実績をご参照ください。

手術室内CT

2015年に現在の手術室が完成し、隣接する2つの手術室で同時並行して使用が可能な移動式CTを導入しました。開頭術をはじめとした頭部に関わる手術を行った際は、集中治療室へ帰る前にほぼ全例に手術室内で頭部CTを撮影しています。これは手術が終了した時点で、予想外の出血などの合併症が生じていないか、また手術の目的が達成できているかを迅速に評価し、治療の安全性を維持するためです。

術中ナビゲーション・CTシステム

2003年から脳神経外科の手術支援装置である「術中ナビゲーションシステム」を導入しています。手術前に作成した各患者さんの画像をもとに、手術中に脳のどこを手術しているのか、病変はどこまであるのかなどを細かい範囲かつリアルタイムに把握するものです。これにより脳の切開を必要最小限に抑え、脳の重要な機能部位を温存するのに役立ててきました。また、脳の手術中に、脳を保護している脳脊髄液が減少したり、病変を取り除くことで脳は容易に変形します。このため手術前の画像との「ずれ」を補正する必要がでてきます。2017年に更新したナビゲーションシステムでは、手術の進行に伴い変化した脳の撮影データを再取り込みし、自動で患部の位置と画像の位置を合わせる、自動レジストレーション機能が搭載されています。手術中の位置情報の把握が飛躍的に向上し、一層の安全性と正確性が確保されています。

脳神経モニタリング

脳疾患の手術は病変を取り除くことと同時に、脳の正常な機能をいかに温存させるかが重要です。特に運動(手足の動き)、視覚、聴覚、言語、排泄(膀胱や直腸機能)など生活に直結する機能を温存するために手術中には手術に関わる各神経を刺激し機能が維持できているかリアルタイムにモニタリングを行っています。特に脳腫瘍やてんかんなどで言語機能に関わる部位に病変がある場合には「覚醒下手術」を行うことで機能維持を図ります。

4K内視鏡手術システム

当科では「神経内視鏡」を使用した手術を積極的に行っています。対象疾患は小児の水頭症、脳出血、脳腫瘍などです。従来の手術方法にくらべて皮膚や脳を切開する範囲が減少するとともに、脳神経外科で一般的な顕微鏡を使用した手術よりもより深い部位の病変に対する治療が可能になります。また内視鏡も常に進化しており、現在使用している内視鏡は4Kシステムです。高精細な画像のため、血管や神経の判別がしやすく、より安全で精緻な内視鏡手術が可能となっています。内視鏡を用いた手術を行うかは各患者さんの病状にあわせて判断させていただきます。

4K-3D外視鏡システム

2023年3月に外視鏡(ORBEYE)が導入されました。外視鏡は、フルハイビジョンで4Kの大型モニターに術野を映して手術を行う道具です。以前は顕微鏡を用いて手術を行っていましたが、顕微鏡は術者と助手の2人が接眼レンズを覗いて手術を行っているため、手術室にいる術者と助手以外は、3Dでモニターを観察することができませんでした。一方、外視鏡はモニターを見ながら手術を行うため、手術室にいる全員が術者と同じ画面を共有できるという特徴があります。医師や看護師を含めた手術室のスタッフ教育にも役に立っています。患者さんにとっては、無理な体勢での手術が不要となる場合があり、術後の疼痛が軽減される可能性があります。また、外視鏡は、カメラが小さいため自由度が高くなり、顕微鏡よりも皮膚切開する範囲が小さくなる可能性もあり、低侵襲な手術が期待できます。さらに、内視鏡との併用がスムーズという利点があり、より患者さんの負担が軽くなる器械です。

主な対象疾患

脳腫瘍

原発性脳腫瘍

当院の脳神経外科では、積極的に診断治療を行っている分野の一つです。頭蓋骨の中にできる腫瘍を「脳腫瘍」と呼び、非常に多くの種類がありますが、大きく良性の脳腫瘍と悪性の脳腫瘍の二つに分けて考えることができます。
・良性脳腫瘍
それ自体で命に関わることはまれですが、腫瘍が大きくなることで正常な脳や神経を圧迫し、機能を低下させてしまいます。そのため正常な脳や神経の機能を温存するために腫瘍を摘出したり、放射線治療で縮小させる必要があります。
(例)髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫など
・悪性脳腫瘍
それ自体で命に関わる脳腫瘍です。
(例)神経膠腫、脳悪性リンパ腫など

各疾患で手術方法は変わりますが、どの場合でも脳や神経の正常な機能を低下させないように手術前のMRIやCT、脳血管撮影などの詳細な画像評価や、手術中のナビゲーションシステムを用いた解剖の把握、神経機能のモニタリングなど安全性と確実性を高める工夫をしています。また、手術中に患者さんに眼を覚ましていただき、主に言語機能の温存がされているかを確認する「覚醒下手術」も必要に応じて行っています。

・神経膠腫(グリオーマ)
手術によるできるかぎりの摘出と放射線治療および抗癌剤治療を組み合わせて治療する必要があります。
2021年に脳腫瘍の診断基準が改訂されました。2021年以前は、摘出した脳腫瘍を顕微鏡で観察して詳しい診断を行っていましたが、2021年からは脳腫瘍の遺伝子を解析することを追加して神経膠腫の詳しい診断を行うのが国際基準となりました。当院では、国立病院機構大阪医療センターに事務局がおかれている関西中枢神経分子診断ネットワークで遺伝子の解析を行っています。この遺伝子診断によって、腫瘍の性質、悪性度、治療効果など推測できることもあり、重要な検査となっています。
・脳悪性リンパ腫
手術は診断をつけるためだけの生検術(病変をわずかに採取するのみ)にとどまり、治療の主体は抗癌剤治療になります。
転移性脳腫瘍

肺癌や乳癌を代表とする脳以外の部位に発生した癌細胞が、血液の流れなどによって脳内に移動(転移)し、脳で腫瘍を形成したものです。腫瘍が形成される脳の場所によって症状が異なります。時には無症状で発見されたり、脳内で多発することもあります。病変が一カ所で大きいものや麻痺や言語障害などの症状を有する場合には手術による摘出を考慮します。病変が小さいものや数カ所にある場合には放射線治療、特に定位放射線治療が主体となります。定位放射線治療は腫瘍に対して多方向からピンポイントに放射線を集中させる方法で、周囲の正常な脳への放射線照射量を極力減らすことができます。当院には多方向からshaped beam連続照射が可能な定位放射線照射装置(TrueBeam)があり、良好な成績が得られています。加えて、2020年5月よりサイバーナイフM6が追加導入され、一層腫瘍の形状が複雑な症例に対しても対応できるようになりました。
詳細はサイバーナイフをご覧ください。

頭部外傷

小児から高齢者まで頭部の外傷に関しては脳神経外科が診療します。頭部外傷の重症度は軽症から重症まで症例によって様々ですが、特に急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫、脳挫傷などは緊急で開頭術を必要とする疾患です。救急搬送件数が非常に多く、手術室も24時間稼動可能である当院ではこのような疾患に対して迅速に対応可能です。これらの疾患は過去においては交通外傷などの重症外傷が多くをしめていましたが、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を内服されている脳および心疾患を有する高齢者の増加に伴い、高齢者の転倒でも発症する事が多くなってきています。
一方、慢性硬膜下血腫は高齢者をはじめ、軽微な外傷から1月程度経過してから麻痺などの症状が出現して発症するものです。手術は頭に小さな孔をあける穿頭術で行い、症状が改善されれば数日で退院が可能です。

主な疾患: 慢性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷

機能的脳神経外科

脳神経外科で診療を行う機能的脳神経外科は片側顔面痙攣と三叉神経痛です。いずれも頭の中の微細な血管が顔を動かす神経(顔面神経)や顔面の感覚に関わる神経(三叉神経)を圧迫することで症状が出現します。顔面神経に関してはボトックス治療(ボツリヌス菌毒素の局所注射)が、三叉神経痛には内服治療をまずは勧めますが、治療に反応しない場合や早期の根治を望む場合には手術を選択します。手術は耳の後ろを小さく開頭し、神経を圧迫している血管を外して来る微小血管減圧術です。

主な疾患:片側顔面痙攣、三叉神経痛、てんかん

てんかんについてはてんかんセンターをご覧ください。

小児脳神経外科

小児の脳疾患に関する外科治療については小児脳神経外科をご覧ください。

脳卒中

脳卒中科の外科治療については脳卒中センターをご覧ください。

医師紹介/実績紹介

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