てんかん・機能神経外科

メッセージ

てんかんのある方は、1000人に5~8人(日本全体で60万~100万人)といわれており、まれな病気ではありません。また、そのうちの約3割が薬剤抵抗性といわれ、内服薬だけでは発作のコントロールが良好でないことがあります。
当科では、外来での投薬加療から薬剤抵抗性の難治てんかんに対する手術加療まで、幅広いてんかん診療を行っています。
当院でのてんかん診療は、脳神経外科・小児科・精神科と連携し、治療・検査を行っています。
また、機能神経外科として、痙性麻痺に対して、痙性緩和目的の髄腔内バクロフェン(ITB)療法を行っています。
院長 山本 貴道
部長 山添 知宏

主な対象疾患

  • てんかん
  • 重症痙性麻痺

専門的な治療・活動の紹介

長時間脳波ビデオモニタリング

長時間脳ビデオ脳波モニタリングは
  1. 診断確定の評価
  2. 最適な内服治療の決定
  3. 発作頻度がどれくらいあるか
  4. 難治てんかんの術前評価
の目的で行う検査です。
頭皮脳波の電極を装着し、ベッド上で過ごしていただき、発作の状況を頭皮脳波とビデオで確認します。
基本的には入院で行う検査で、1-2泊もしくは4泊で行うことが多いです。

開頭てんかん焦点術

難治性てんかんに対して、長時間脳波検査・MRI・PET・神経心理評価等を行い、てんかん焦点切除が望ましい場合は、開頭での手術を行っています。
てんかん焦点切除術を考慮する場合には、その前に頭蓋内電極留置術を行い、てんかん発作の始まりが脳のどこからはじまるか詳しく検査してから、切除術を行う場合もあります。

迷走神経刺激療法

難治てんかんに対する緩和手術です。手術で頸部の迷走神経にコイル状の電極を巻き付け、左前胸部に埋め込むジェネレイターから刺激を頸部の刺激用コイルに送り、迷走神経を刺激させます。
一般的に、50%の患者さんで50%以上の発作減少がみられるといわれています。
LivaNova画像提供
迷走神経刺激療法(VNS)について
迷走神経刺激療法(VNS:Vagus Nerve Stimulation)は、お薬だけでは発作のコントロールが難しいてんかんの方を対象とした治療法のひとつです。
頸部の「迷走神経」に弱い電気刺激を与えることで、発作の回数や強さを和らげる効果が期待されます。
このような方に検討される治療です
VNSは、次のような方に検討されることがあります。
  • 複数の抗てんかん薬を使用しても、発作が十分に抑えられない方
  • てんかん手術が難しい、または手術を希望されない方
  • 発作の頻度や重さを少しでも減らしたいと考えている方
※すべての方に適応となる治療ではありません。主治医が総合的に判断します。
治療のしくみ
VNSでは、ペースメーカーに似た小さな装置を胸の皮下に埋め込み、そこから頸部の迷走神経へ電気刺激を送ります。
  • 刺激は自動的に、一定の間隔で行われます
  • 刺激の強さや回数は、外来で調整します
LivaNova画像提供
期待できる効果
VNSは、発作を完全になくす治療ではありませんが、
  • 発作の回数が減る
  • 発作が軽くなる
  • 回復までの時間が短くなる
といった効果が、時間をかけて徐々に現れることがあります。
治療の流れ
  1. 外来での評価・説明
発作の状況やこれまでの治療経過を確認します
  1. 手術
全身麻酔で行い、通常は数日程度の入院です
  1. 刺激の開始・調整
手術後、外来で刺激を開始し、体調を見ながら調整します
  1. 定期的なフォローアップ
発作の変化や副作用を確認しながら治療を継続します
日常生活について
  • 入浴や運動など、多くの日常生活は通常どおり可能です
  • MRI検査など、一部制限がある検査があります
  • 機器の管理や注意点については、医療スタッフが丁寧に説明します

当院でのVNS治療について

当院では、てんかん専門医が中心となり、患者さんお一人おひとりの状況に合わせて、十分な説明と相談のもとで治療を行っています。
VNSについて詳しく知りたい方、治療を検討されている方は、医療機関を通してお気軽にご相談ください。

定位的頭蓋内脳波検査(Stereo-electroencephalography; SEEG)

難治性てんかんで焦点性てんかんの方には、検査所見等から考慮して、定位的頭蓋内脳波(Stereo-electroencephalography; SEEG)検査を行っています。手術支援用ロボット(Rosa-One)を使用し、手術前画像をもとにより安全により正確に電極留置を行います。電極留置術後は、病棟でモニタリングを行い、てんかん発作起始を判断します。

髄腔内バクロフェン(ITB)療法

脳卒中・頭部外傷・脊髄疾患等による痙性麻痺の痙性緩和目的にITB療法を、当院リハビリテーション科と連携して行っています。
手術で脊髄の近く(脊柱管内)にカテーテルを留置し、腹部皮下に留置したポンプから持続的に微量なバクロフェンを髄腔内に投与する痙縮治療です。
植え込み術後、治療を継続するために定期的な外来受診での薬液補充が必要となります。

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