脳伷塞は、動脈が詰まり、その先に血液が行かなくなることで生じる病気です。脳伷塞は様々な理由で起こりますが、一般的に脳伷塞の1/4の方は原因が不明とされています。原因が不明の方の中には、卵円孔開存症といわれる小さな穴が心臓に存在したり、心房細動といわれる不整脈が隠れている事が原因の一つと言われています。脳卒中科では卵円孔化開存症を調べるために、経食道心エコー検査と言われる特殊な超音波検査を行っていますが、さらに心房細動をみつけるために、『埋め込み型心電図記録計』の埋め込みを行っているのでご紹介します。
心房細動は、年齢が上昇すると有病率が高くなる不整脈です。心房細動になると、脈が不正となり、脈が早くなったり、遅くなったりしますが、その影響で心不全(心臓が疲れてしまい、疲れやすくなったり、むくみが出たりします)が生じることがあります。また脈が不正になることで、心臓内に血の塊(血栓)をつくり、それが心臓の外に流れることで、脳伷塞などの原因となります。脳伷塞の予防には、抗凝固薬といわれる血液をさらさらにするお薬を使って、血栓ができないようにすることが有効です。しかし、心房細動は動悸などの自覚症状を認めることが少なく、出現したり消えたりすることがあり、多くの患者さんはその存在に気づきません。この特徴から、気づかないうちにある日突然脳伷塞を起こし、脳伷塞を起こした後は再び正常な脈となり、その後なかなか検出されないことが多くあります。
脳伷塞の予防には、原因によって違うお薬が選択されますので、心房細動をみつけることは、脳伷塞の予防のために非常に重要となります。現在、脳伷塞を起こし原因が特定できず、心房細動の存在が疑われた患者さんに対し、『埋め込み型心電図記録計』が保険適応となっています。埋め込みを行うと、数年間遠隔でのモニタリングが可能となり、心房細動の検出率が、通常の検査より10倍程度高くなることが知られています。私たち脳卒中科では、対象となる患者さんにこのような『埋め込み型心電図記録計』の埋め込みを提案し行っています。
文責:脳卒中科部長 本間 一成
文責:脳卒中科部長 本間 一成
経食道心エコー検査
埋め込み型心電図記録計
左:本間医師 右:荒武医師
地域の先生方・救急隊と連携し、患者さんと一緒に 治療・予防していくことを心がけています。
私たち脳卒中科はその名前通り、脳卒中を扱う科ですが、脳卒中とは、脳伷塞、脳出血、くも膜下出血の総称です。いずれもある瞬間に突然起こり、緊急性が高い疾患です。例えば脳伷塞の場合、発症から一分ごとに 190 万個の脳細胞が死んでしまうと言われており、当科ではいつでも適切な治療が提供できるようにしています。しかし、いくら速やかに治療が出来る体制を構築しても、患者さんが病院に早く来ていただかなければ、治療が行えません。このことから、救急隊・患者さんへの啓蒙の大切さが指摘されています。
また脳卒中は重い後遺症を残し、生活に介護が必要となってしまう大きな原因とされており、健康寿命延伸のためには、脳卒中を起こさないこと、即ち予防することが重要と言われています。脳卒中予防には適切な食事・適度な運動・普段の血圧管理が有用で、患者さん自身が行えることが数多くあります。
このように脳卒中の治療・予防は、急性期病院の医師だけで行うものではなく、開業医の先生・救急隊と連携し、患者さんと一緒に取り組んでいくことが大切です。地域の健康寿命を伸ばしていけるように皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
また脳卒中は重い後遺症を残し、生活に介護が必要となってしまう大きな原因とされており、健康寿命延伸のためには、脳卒中を起こさないこと、即ち予防することが重要と言われています。脳卒中予防には適切な食事・適度な運動・普段の血圧管理が有用で、患者さん自身が行えることが数多くあります。
このように脳卒中の治療・予防は、急性期病院の医師だけで行うものではなく、開業医の先生・救急隊と連携し、患者さんと一緒に取り組んでいくことが大切です。地域の健康寿命を伸ばしていけるように皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
脳伷塞や脳出血などの脳卒中によって脳が損傷を受けると、運動障害や感覚障害、バランス障害などの影響で歩行障害を引き起こす可能性があります。歩行障害の主な特徴としては、歩行時のふらつき、歩行速度の低下、足を引きずる、膝折れするといったことが挙げられます。歩行障害に対しては、発症後早期からリハビリテーションを開始することが重要であり、当院でも病気の状況に合わせながら早期からの歩行訓練を実施しています。
歩行補助器具のご紹介
対象者の歩行能力に応じて、伺や歩行器、下肢装具といった歩行補助具を使用し、歩行能力の向上を目指してリハビリテーションを進めていきます。
短下肢装具と長下肢装具
歩行補助具と歩行車(サークル型)
下肢装具には短下肢装具や長下肢装具など様々な種類がありますが、理学療法士が歩行能力の改善に合わせて歩行補助
具や訓練内容を検討し、安全かつ効果的なリハビリテーションの提供を心掛けています。また、退院後の生活を見据えた
訓練も取り入れ、多職種と連携して歩行補助具の選定や環境調整、介護サービスの提案なども実施しています。
写真・文責:理学療法士 和久田 雅史
具や訓練内容を検討し、安全かつ効果的なリハビリテーションの提供を心掛けています。また、退院後の生活を見据えた
訓練も取り入れ、多職種と連携して歩行補助具の選定や環境調整、介護サービスの提案なども実施しています。
写真・文責:理学療法士 和久田 雅史