8月 転倒の原因と脳神経内科/脳神経内科

2026.08.01

【特集】 転倒の原因と脳神経内科

転倒をくり返すときは、神経の病気が隠れていることがあります

  • 転倒は「年のせい」だけではありません
 転倒は、段差やはき物などの環境の問題だけでなく、脳や脊髄、末梢神経、筋肉、自律神経の病気で起こることがあります。パーキンソン病では歩き出しにくさや小刻み歩行、方向転換時の不安定さがみられます。小脳や脊髄の病気ではふらつきや足のつっぱり、末梢神経障害や筋疾患では、しびれ、つま先の上がりにくさ、脚の力の入りにくさが転倒につながります。自律神経の働きが低下すると、立ち上がったときに血圧が下がり、めまいや失神から転倒につながることがあります。
  • 転び方も大切な手がかりです
 原因を考えるうえでは、「いつ、どこで、どう転んだか」が大切です。歩き始めや方向転換で転びやすい、狭い場所で足がすくむ、暗い場所でふらつく、つま先が引っかかる、立ち上がった直後に気分が悪くなる、などの特徴は原因を見つける手がかりになります。
●転倒が病気に影響することも
 転倒すると、打撲や骨折だけでなく、外出や運動が減って筋力が低下し、転びやすくなる悪循環に陥ることがあります。頭を打ったあとに、慢性硬膜下血腫などで歩きにくさや物忘れが急に進んでしまうこともあります。また、頭部外傷は将来的な認知症やパーキンソン病などのリスクと関連することも報告されています。すべての方に起こるものではありませんが、転倒予防と、頭を打った後の変化に早く気づくこと
がとても大切です。
  • 早めの相談が予防につながります
脳神経内科では、「転びやすい」という症状から、脳、脊髄、末梢神経、筋肉、自律神経など、幅広い原因を考えて診察します。問診や神経学的診察に加え、必要に応じて検査を行い、原因を調べます。薬の調整、リハビリ、杖や歩行器の使用、住環境の見直しなどにより、転倒を減らせることがあります。「最近つまずきやすい」「歩き方が変わった」と感じたら、早めにご相談ください。

【部門クローズアップ】 脳神経内科

症状から原因を考え、適切な診療へつなげます

脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経・筋肉の病気を内科的に診療する専門科です。頭痛、しびれ、めまい、物忘れ、歩きにくさ、手足の動かしにくさなど、日常生活に関わる症状に対応しています。症状や経過を詳しく確認し、神経学的診察を中心に、画像検査や生理検査などを組み合わせて原因を評価します。当科では、脳卒中科と日常診療においても一体的に診療し、脳卒中などの急性期疾患から、パーキンソン病、頭痛、神経免疫疾患、末梢神経や筋肉の病気まで幅広く対応しています。また、精神科が担う認知症疾患医療センターや、脳神経外科が中心となるベテルてんかんセンターと連携し、内科的な視点から認知症やてんかんの診療にも関わっています。地域の医療機関とも連携し、専門的評価や治療方針の提示を通じて、患者さんの背景に応じた診療に努めています。気になる症状がありましたら、紹介状をお持ちになってご相談ください。
文責:脳神経内科 医長 武内 智康(写真右)
 

【シゴト図鑑EX】 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

脳卒中診療を支える認定看護師

脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称で、意識障害や手足の麻痺、言語障害などを引き起こす病気です。発症後はすぐに病院で治療を行う必要があります。当院は「一次脳卒中センターコア施設*」に認定されており、24時間365日体制で脳卒中診療に対応しています。血栓を溶かすrt-PA静注療法や、カテーテルを用いて血栓を取り除く機械的血栓回収療法などの専門的な治療を迅速に提供しています。私は、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師として、病棟看護師と連携しながら患者さんの症状を継続的に観察し、変化があった時には速やかに医師に報告し、適切な治療につなげています。また、患者さん一人ひとりに適したリハビリテーションができるように支援するほか、1回開催している多職種カンファレンスでは、中心的な役割を担い、それぞれの専門職が考える最善のケアをまとめ、それを提供できるように努めています。
(*) 日本脳卒中学会による認定
文責:看護部(脳卒中リハビリテーション看護認定看護師) 齋藤 花菜子

【MIKATAヘルスナビ】CE室

もしもの不整脈への備え

■ 着用型除細動器(WCD)とは?
心臓の不整脈による突然の発作から患者さんの命を守るめの「着るAED」です。
ベストのように装着し、心臓のリズムを24 時間見守る医療機器です。
聖隷三方原病院公式インスタグラムで、WCDの着用イメージ動画をご覧いただけます。
■ 対象となる方は
  • ICD(植込み型除細動器)が必要かどうかを経過観察している方
  • 心機能の回復のために治療中の方や、回復の時期にある方
■ 当院の提供・サポート体制
WCD は、全国的にも導入施設が限られている専門性の高い医療機器で、当院も多くの患者さんに使用いただいています。臨床工学技士は、患者さんが装着しているWCD の遠隔モニタリングを行い、装着状況や心電図データを継続的に確認し、見守っています。また、多職種と密接に連携し、サポートしています。
文責:CE 室(臨床工学技士) 宮下 祐司

No.548(2026年8月号) 

みどりの通信8月号[PDF:3.5MB]