6月 透析治療を知ることで自分らしい選択ができるように/腎臓内科

2026.06.01

【特集】 透析治療を知ることで自分らしい選択ができるように

  • 慢性腎臓病を知る
慢性腎臓病は、糖尿病や高血圧、糸球体腎炎などを背景に、尿にたんぱくが出たり、腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。進行すると、体の中に老廃物や余分な水分がたまり、「末期腎不全」と呼ばれる状態になります。この段階では治療を行わないと、命に関わることがあります。病気の進行は、薬物療法や食事療法によってある程度ゆるやかにすることができます。しかし、加齢などの影響もあり、腎機能の低下を完全に止めることは難しいのが現状です。
  • ご自分らしい選択ができるように
腎機能がさらに低下し、食欲不振やむくみ、息苦しさなどの「尿毒症」の症状が現れた場合には、「腎代替療法」と呼ばれる治療が必要になります。具体的には、血液透析、腹膜透析、腎移植といった方法があり、それぞれに特徴があります。ご自身の生活や希望に合った治療法を選ぶことが大切です。
血液透析
病院もしくはクリニックで、脱血用・返血用に2本の針を刺し、1回約4時間、週3回のベッド上安静が必要な通院透析と、自宅で行う在宅血液透析もあります。
腹膜透析
透析用カテーテルの先端を腹腔内に留置し、透析液を1日に約4回出し入れします。1回の出し入れには30~60分程度
かかり、患者もしくは家族が在宅で行う持続携行式腹膜透析と機器を使用した自動腹膜透析があります。
腎移植
ドナー(腎臓提供者)の2つある腎臓のうちの1つを摘出し、全身麻酔下でレシピエント(末期腎不全患者)の右下の下腹部に移植します。手術時間は一般的には3~4時間程度です。
  • 「腎代替療法」は準備が大事
透析治療を始めるには、あらかじめ専用の血管(バスキュラーアクセス)を作る手術や、さまざまな検査が必要となり、準備に時間がかかることがあります。そのため、症状が出てから慌てるのではなく、腎機能が低下してきた段階から、主治医と今後の治療や準備について話し合っておくことが重要です。
一方で、年齢や体力、認知機能などを考慮し、透析を行わずに経過をみる「保存的腎臓療法」を選択される方もいます。この場合は、症状を和らげる治療(緩和ケア)を中心に行います。
 
治療の選択にあたっては、多くの方が迷いや不安を感じます。ご本人だけでなく、ご家族もいっしょに透析や治療について理解を深めることが、納得のいく選択につながります。気になることがありましたらご遠慮なく、医療スタッフにご相談ください。

【部門クローズアップ】 腎臓内科

信頼される腎臓病の診療を目指して

腎臓病の診療は、血尿や蛋白尿に対する腎生検による組織診断、糸球体腎炎やネフローゼ症候群などに対するステロイドや免疫抑制剤による治療、慢性腎臓病に対する保存的な薬物治療や食事療法の指導、末期腎不全に対する透析導入や維持透析の管理など、長期にわたり継続的な診療を必要とする場合が多くなります。長い経過のなかでは腎臓病以外の病気を発症することもあり、腎臓病に関することのみならず、一般的な健康や病気に関して、気になる症状や疑問・質問がありましたら、気軽に相談をしてください。必要に応じて適切な専門科に相談することもできる診療を心がけています。
文責:腎臓内科 部長 杉浦 剛(すぎうら たけし)

【シゴト図鑑EX】 透析室 看護師

大切な足を守るフットケア

当院の透析室には44床のベッドがあり、月・水・金は午前・午後・夜間の3クール、火・木・土は午前の1クールで、外来・入院合わせて約90名の患者さんに透析を行っています。
透析患者さんは、腎臓病や糖尿病の影響により足の病気が起こりやすいことが知られています。腎臓病などのない方と比べて、足の病気のリスクは数百倍に高まるといわれており、その主な原因は、血管の硬化や血流の低下です。また、透析患者さんの足のトラブルは、乾燥によるひび割れなどの小さな傷から始まることが多いものの、重症化すると切
断が必要となり、日常生活に支障を来したり、場合によっては生命に関わることもあります。
当院の透析室では、透析時に足を守る取り組みを行い、患者さん一人ひとりの生活の質の維持に努めています。具体的には、それぞれの足の状態や生活状況に応じた観察、フットケアおよびアドバイスを実施しています。足の傷や血流に異常が認められた場合には、早期に腎臓内科医へ相談し、必要に応じて他科受診へつなぐことで、患者さんの大切な足
を守る支援を行っています。
文責:透析室 看護師  山村 愛

【MIKATAヘルスナビ】栄養課 

栄養管理で支える透析療法

透析療法の合併症を予防し、長く元気に日常生活を送るためには、適切な食事療法の継続が欠かせません。透析患者さんの食事では、エネルギーやたんぱく質を適切に摂取することに加え、塩分・水分・カリウム・リンの管理が重要となります。
一方で、食事は毎日の楽しみのひとつでもあります。そのため、無理なく続けられる食事管理を行うことが大切です。当院では管理栄養士が週3 回透析に通院される患者さんを対象に、透析時間を利用してベッドサイドを訪問しています。(写真)
日々の食事内容を丁寧にお伺いして、体重や検査データをもとに栄養評価を行い、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせて、献立の工夫や季節ごとの食材の注意点など、具体的な栄養指導を行っています。
患者さんが安心して透析療法を継続し、より良い生活を送ることができるよう、継続的な栄養サポートを提供してまいります。
文責:栄養課 管理栄養士 冨田 加奈恵

No.547(2026年6月号) 

みどりの通信6月号[PDF:4.4MB]