9月 傷、怪我、見た目と機能と形成外科

2026.09.01

【特集】 傷、怪我、見た目と機能と形成外科

  • 形成外科ってどんな科?
 形成外科という診療科は、以前に比べると認知度は高まってきましたが、今でも整形外科と混同されることがあるように思います。形成外科は基本的には体表(皮膚表面)にかかわる外科で、「皮膚の外科」ともいえる診療科です。ほくろや皮膚がんなどの腫瘍、切り傷ややけどなどの外傷をはじめ、顔面骨骨折、乳房再建まで幅広い疾患や部位を扱っています。また、他の多くの診療科と連携しながら、見た目の改善や機能を補うという役割を担っており、「隙間を埋める診療科」と表現されることもあります。
  • 傷跡を目立たなくするために
今回は形成外科の領域で多くの方に関わるテーマの一つである、きれいに目立たない傷跡にするための取り組みを紹介します。例えば、腫瘍(皮膚のできもの)を手術で切除する場合、基本的に傷跡をきれいにするには皮膚のシワの方向に沿った切開を行う必要があります。皮膚のシワの方向は多少の個人差はあれど、体の場所によって決まっています。
そして皮膚を切って、できものを取った後は皮膚縫合が必要です。皮膚の深い層で傷を寄せる「真皮縫合」をまず行います。これを行うことで、皮膚表面にかかる緊張を緩和することができます。皮膚は切った後に開く性質があるので、この真皮縫合がないと、皮膚表面の傷が開こう開こうとして、傷跡は(a)肥厚性瘢痕や(b)ケロイドになりやすいため、真皮縫合をすることで術後の肥厚やケロイドを予防しているのです。その後の、表皮の縫合も適切な間隔で、ほどよい細さの縫合糸を用いて行い、糸の跡も残さず、なるべくきれいな傷を目指しています。
  • 転倒が病気に影響することも
 しかし、これだけできれいな傷になるわけではなく、ここからが重要かつ皆さんができることです。術後1週間程度で抜糸(糸を抜く)をすることになりますが、それだけにしていると傷が盛り上がったままだったり、傷の幅が広がってきたり、色がついたり(色素沈着)します。これらを予防するには抜糸後のテープ保護が大切で、数ヶ月程度を目安に行います。
形成外科では、手術だけでなく、術後のセルフケアまで含めて患者さんと一緒に取り組み、機能だけでなく見た目にも配慮した、より良い傷跡を目指しています。
形成外科では、手術だけでなく、術後のセルフケアまで含めて患者さんと一緒に取り組み、機能だけでなく見た目にも配慮した、より良い傷跡を目指しています。

【部門クローズアップ】 形成外科

患者さんの思いや気持ちに寄り添うこと

形成外科は身体に生じた外見的な変形や不具合を、外科的治療によって「見た目も機能も正常に近づける」専門診療科です。ケガや火傷、手術後の傷跡、皮膚腫瘍の切除、生まれつきの体表異常まで多岐にわたります。近年では、がん手術で失われた乳房や組織を元に戻す「再建外科」としての役割が非常に重要視されています。当科では乳腺外科など、がん切除手術と同時に、形成外科医がその場で再建手術を行う「一期的一次再建」や自然な形にこだわった自家組織による「二期的乳房再建」も可能です。先進的な医療機器や入院設備が整っているため、重症の皮膚潰瘍や大きな組織移植、頭蓋顎顔面の骨折といった、難易度の高い治療にも安全に対応できる強みを持っています。また、疾患や症例によっては、美容外科での治療という選択肢をご提案できる場合もあります。当院では美容外科も開設しており、保険診療・自費診療それぞれの特徴をご説明したうえで、患者さん一人ひとりの希望や状態に応じた治療法を一緒に考え、ご納得いただいたうえで治療を進めています。
文責:形成外科 部長 山口 智彦(写真前列右)

【シゴト図鑑EX】 皮膚・排泄ケア認定看護師

褥瘡の予防と回復を支える

皮膚・排泄ケア認定看護師は「WOCナース」とも呼ばれ、創傷(Wound)、ストーマ(Ostomy)、失禁(Continence)の3つの分野のケアを専門としています。
私は主に褥瘡に関わるケアを担当し、褥瘡の予防や、できてしまったキズの回復をサポートする役割を担っています。 褥瘡とは、長い時間同じ姿勢で過ごすことで体の一部が圧迫され、血のめぐりが悪くなってキズができた状態のことで、一般的には「床ずれ」とも呼ばれています。褥瘡の予防のために、皮膚状態を観察したり、マットレスを選んだり、体の向きを変える・姿勢を整えるなど、日々のケアを丁寧に行っています。
 また、褥瘡は体調・薬・栄養など多くの要素が関わるため、医師・看護師・薬剤師・栄養士などで「褥瘡対策チーム」をつくり連携しながら支援を進めています。その他、ストーマケアや排泄ケアにも関わっており看護外来も担当しています。関連するケアの相談を受けることも可能です。お気軽に看護師にお申し出ください。
文責:看護部(皮膚・排泄ケア特定認定看護師) 鈴木 幸子

【MIKATAヘルスナビ】臨床検査部

気になる検査のギモンQ&A ~採血編~

Q.食事を食べてきてしまったらどうなるの?
A.食後は血糖値や中性脂肪などの値が高くなります。特別な指示がない場合、影響を受ける項目はきまっているので診察時にお伝えいただければ問題ありません。
Q.採血してはいけない腕とは?
A.透析用のシャントを造設している腕や、過去にリンパ節切除をしている側の腕では採血ができません。採血時にお申し出下さい。
Q.採血した血液が黒くみえるのはなぜ?
A.採血室では身体中に酸素を運び終わった静脈血を採血しています。酸素をたくさん含んだ動脈血や日常的な怪我の際に目にする血液(毛細血管)よりも黒く見えやすいです。
Q.採血する本数が違うのはなぜ?
A.採血管には、検査項目に応じて「血液を早く固める薬」や「血液が固まらないようにする薬」といった添加剤が入っています。実施する検査の内容によって複数の採血管を使い分けています。また、検査項目によって診断時の1回だけ測定する項目、診察の度に知りたい項目、数か月に1回でよい項目があり、受診日によって採血本数が変わる場合もあります。
文責:臨床検査部(臨床検査技師) 後藤 千絵

No.550(2026年9月号) 

みどりの通信9月号[PDF:4.4MB]