10月 より高いQOLの提供を目指して

2026.10.01

【特集】 より高いQOLの提供を目指して

整形外科では、患者さんの身体的な負担をできるだけ軽減し、より早い回復と社会復帰につなげるため、日々、進歩する治療技術を積極的に取り入れています。今回は、ロボット支援による人工関節手術と、低侵襲な脊椎内視鏡下手術をご紹介します。
  • ロボットが支える人工関節手術 ~関節外科~
人工関節手術は既に半世紀近い歴史があり、先人達が様々な工夫を加えて進化してきました。その結果、これまでに多くの患者さんのQOL(quality of life)向上に寄与してきた経緯があります。ただ一方、約3割の患者さんが手術の結果には満足していないというデータがあります。
この原因の一つが、これまでの人工関節手術が人体のいわゆる平均値を目指したものであったからと言われています。これは既製品の服を選んでも、オーダーメードの服に比べると着心地の良さに差があることと似ています。
当科では人工股関節・膝関節において、ロボティックアームMakoシステム(ストライカー社)を用いたロボット支援手術を行なっています。ロボットが単独で手術を行う訳ではありませんが、そのアシストにより周囲臓器の損傷を回避し、人工関節の部品であるインプラントの正確な設置が可能で、患者さんが本来持っている関節のバランスに近づける事ができます。これにより従来の人工関節手術よりも術後疼痛の軽減や、より快適な使用感の提供が可能となりました
(ロボティックアームMako システム使用による手術)
  • 低侵襲な脊椎内視鏡下手術 ~脊椎外科~
2026年10月より、脊椎内視鏡による手術を開始いたします。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで、腰痛やお尻、脚のしびれなどの症状のある方が対象となります。
脊椎内視鏡下手術は、従来の手術法と比べて皮膚の切開が小さ
く、周囲の正常な筋肉や骨へのダメージを最小限に抑えられるため、術後の痛みが少ないことが特徴です。これにより手術の翌日からリハビリが開始できたり、退院までの期間が従来の手術法よりも1週間程度短くできるといわれています。
脊椎疾患は高齢の方だけでなく、仕事や学業、育児、趣味やスポーツなど、幅広い世代の生活に影響を及ぼします。できるだけ身体への負担を抑え、早期の回復と社会生活への復帰を目指すことは、「治療後も自分らしい生活を続けたい」という世代を問わないニーズに応えるうえで重要です。
(脊椎内視鏡下手術のイメージ図)
一方、脊椎内視鏡下手術は高度な技術を要するため、十分なトレーニングを積んだ医師による適切な実施が重要です。また、すべての脊椎疾患が内視鏡手術の対象となるわけではありません。患者さん一人ひとりの病状や全身状態を踏まえ、専門医が適切な治療方法を検討します。
今後も地域の皆様に最善の医療を提供できるように努めて参ります。

【部門クローズアップ】 整形外科

幅広い専門性で地域を支える

当科では、地域の患者さんの幅広いニーズに応えるため、関節外科(スポーツ整形を含む)、脊椎外科、手外科、外傷外科、多職種連携を5本の柱として診療を行っています。
関節外科では、膝・肩の鏡視下手術やロボット支援による人工関節手術、脊椎外科では内視鏡・顕微鏡を用いた低侵襲手術から脊椎骨折、脊柱変形まで幅広く対応。手外科では、ばね指や手根管症候群から切断肢の再接着まで治療しています。外傷外科では、高齢者の脆弱性骨折から多発外傷、骨盤骨折などの重度外傷まで、緊急・早期手術に対応し、感染や皮膚欠損にも専門的な治療を行います。年間約1,700件の手術を行うほか、三次救急病院として重症外傷を包括的に診療。日本DMAT隊員として医師を派遣するなど、災害医療にも取り組み、東南海地震に備えた経験の蓄積にも努めています。

今後も、多職種や地域の医療機関と連携し、最善の医療を提供してまいります。
文責:整形外科 部長 冨永 亨

【シゴト図鑑EX】 骨粗鬆症マネージャーと外来看護師

骨を守るために、今できることをこつこつと

 整形外科外来では、骨粗しょう症について知っていただくための啓発活動と、治療を継続するための支援に取り組んでいます。
 啓発活動では、医師と骨粗鬆症マネジャーを中心に、骨のしくみや骨を強くするために必要な栄養素などをまとめたフリーペーパー「こつこつ新聞」を作成しています。これまでに6号を発行し、ご自由にお持ち帰りいただけるように整形外科外来の待合室に設置しています。また、骨粗しょう症や転倒予防に関する動画も作成し、待合室で放映するとともに、病院ホームページでも公開しています。
 さらに、多職種で構成する「二次骨折予防対策チーム」では、大腿骨頚部骨折の手術後に退院された患者さんを対象に、骨粗しょう症治療の継続状況や転倒・再骨折の有無などを定期的に確認し、療養生活を支援しています。
 これらの活動を通して、骨粗しょう症を知るきっかけづくりと、患者さんが安心して治療を続けられる環境づくりを進めています。
文責:看護部 外来 米田 千恵

【MIKATAヘルスナビ】リハビリテーション部

早期リハビリで暮らしを支える

当院は、救急外傷から骨折、関節・脊椎疾患、専門的な手の外科まで幅広く対応しており、手術や受傷翌日の超早期からリハビリを開始します。リハビリテーション部では、整形外科医師や看護師と連携し、専門の理学療法士(PT:Physical therapist)と作業療法士(OT:Occupationaltherapist)が早期の機能回復と社会復帰に向けてサポートしています。
【理学療法】
痛みに配慮した筋力練習、可動域練習や歩行練習を通じて、「立つ」「歩く」といった基本動作の再獲得を支援します。

【作業療法】
食事や着替え、入浴などの日常生活動作(ADL)の練習に加え、当院の強みである手の外科の手術後のリハビリや、仕事・家事への復帰に向けた応用動作練習を行います。
さらに、退院後もフォローが必要な方には「外来リハビリ」を提供しており、より高度な動作獲得など継続的なリハビリを実施し、入院から外来、地域生活まで途切れのない体制で、患者さんの暮らしを支えています。
文責:リハビリテーション部( 理学療法士) 伊藤 恭兵

No.551(2026年10月号) 

みどりの通信10月号[PDF:5.1MB]