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疾患と治療方法 ~胆石症とその治療について~

胆汁・胆嚢(たんのう)について

(図1)胆嚢(たんのう)

胆汁は脂肪の消化などに役立つ消化液です。
肝臓で作られて肝臓内の細い胆管に流れ出し、この胆管は川が集まって太くなるように合流して肝臓の外で総胆管になります。

最終的に総胆管は膵臓の中を通過して、十二指腸まで通じ、胆汁を十二指腸に出します。胃を出た先が十二指腸なので、ここで食物と混ざります。

胆嚢(たんのう)は肝臓の裏面に張り付いていて、胆嚢管という細い管で総胆管とつながった袋です(図1)。

普段は胆汁を貯留しておき、食事すると収縮して、中の胆汁を総胆管に絞り出し、
消化を助けます。特に脂肪分を食べると(その消化に役立つので)よく収縮します。

胆石症について

胆汁の成分であるビリルビンとコレステロールが、何らかの理由で固形になって胆石ができます。
多くの胆石は胆嚢(たんのう)内にできて、胆嚢(たんのう)結石と呼ばれます。胆管内に結石があれば胆管結石と言います。

胆石の診断について

(図2)腹部エコー検査(超音波検査)の画像

胆嚢(たんのう)結石よりもっと細かい胆砂、胆泥と呼ばれるものもあります。

胆嚢(たんのう)結石・胆砂・胆泥は腹部エコー検査(超音波検査)でよく見え、
発見されることが多いでしょう。ただし、エコーは体格や臓器の形によって死角が
あり、人によってはよく見えないこともあります。(図2)


(図3)CT検査の画像

CT検査でも多くの胆嚢(たんのう)結石が診断できます(図3)。
CTには死角が無いのですが、CTに写らず分からない種類の胆石もあります。

(図4)MRI検査の画像

MRI検査では胆石は液体(胆汁)の中の固形物として写ります(図4)。
ポリープなど他のものと判別しにくい場合もあり、エコーやCTと合わせて診断に使われることが多い検査です。

胆嚢(たんのう)結石の症状

胆嚢(たんのう)結石を持っていても特に症状が出ない人も多く、検査で偶然見つかり無症候胆石と呼ばれます。


● 胆石疝痛発作(たんせきせんつうほっさ)

胆嚢(たんのう)結石の起こしやすい症状は右上腹部の急な痛みです。

食事、特に油の多い食事を食べると、胆嚢(たんのう)が収縮して胆汁を押し出そうとしますが、
この時、胆嚢(たんのう)結石が胆嚢(たんのう)の出口にはまり込んで胆汁が出られないことがあります(胆石嵌頓(かんとん))。
すると収縮できずパンパンに張った胆嚢(たんのう)が痛みを発します。
夕食後起こることが比較的多く、就寝後に痛みで目が覚めるなどもよくある症状です。

1〜2時間で収縮が治まり、出口を塞いだ結石も外れると痛みは消失します(胆石疝痛発作)。
自然には痛みが治まらない状態でも、病院で胆嚢(たんのう)の収縮を和らげる投薬をすることで
嵌頓(かんとん)した胆石がはずれて治まることも多いです。
(特に胆嚢(たんのう)結石を持っていることが分かっている方は)右上腹部の強い痛みが出現したら、すぐに病院を受診しましょう。

● 急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)

胆石疝痛発作を起こした時に、短時間で出口の胆嚢結石が外れれば良いのですが、
長時間胆嚢の出口が塞がって張ったままでいると胆嚢に炎症が起こり、急性胆嚢炎という状態になります。

急性胆嚢炎は痛みがひどいだけで無く、内部で細菌が増殖し、更に悪くなって敗血症を起こしたり、胆嚢(たんのう)壁が
壊死(いわば腐ってしまうこと)して破れ、腹膜炎を起こすなど、生命の危機を起こします。早急に治療を開始する必要があります。

胆嚢(たんのう)結石の治療

一部の溶けやすい胆嚢結石は内服薬による胆石溶解療法を試みることがあります。

しかしながら、胆石穿通発作などの症状を起こすことがあるならば手術による治療をお勧めします。

症状が出なくなるのはもちろん、胆嚢炎を起こす心配も無くなります。胆嚢結石は胆嚢の働きと胆汁成分の関係によりできたものなので、その生成の場である胆嚢を結石とともに切除する手術を行います。

多くの場合、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。何かの理由で腹腔鏡手術を避けた方がいい場合には、以前から行われている開腹しての胆嚢摘出術を行います。

● 開腹胆嚢摘出術

右上腹部を切開し、直接見て触りながら胆嚢を切除する、従来からの手術です。
腹腔鏡下手術で開始しても安全な手術のために途中で開腹に変更する場合もあります。

(図5)腹腔鏡下胆嚢摘出術

● 腹腔鏡下胆嚢摘出術

お腹に4カ所の小さい創(15mm〜5mm)をつくり、二酸化炭素でお腹を
膨らませてスペースを作り、腹腔鏡という内視鏡を入れてテレビ画面で見ながら
長い器具(鉗子(かんし))を用いて体外から手術操作をします。(図5)

急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)の治療

急性胆嚢炎は早く治療を開始することが大事です。

そもそも胆石疝痛発作(たんせきせんつうほっさ)が起きても、病院で胆嚢の収縮を和らげる投薬をすることで胆嚢炎になる前に治められることがあります。
右上腹部の強い痛みが出現したら、すぐに病院を受診しましょう。

急性胆嚢炎が起きてしまった場合、根本的な治療は炎症の起きている胆嚢を切除することです。
胆嚢炎が起きてから2~3日以内に手術できると治療全体を短期間で行うことができるのですが、日にちが経ってしまうと胆嚢が硬くなるなど、手術が難しくなります。

病院に来たときには既に胆嚢炎が進んで手術が難しい状態や、全身状態が悪いなど急な手術が危険である場合、まずは急性胆嚢炎を治める治療をします。
抗生剤点滴を行い、体外から胆嚢までチューブを刺入して胆汁を体外に逃がす処置をします。胆嚢炎が治まれば食事を再開でき、根本的な胆嚢・胆石を切除する手術は後日安全に行います。

総胆管結石症について

総胆管に胆石があると胆嚢結石とは異なる問題を起こします(図6)。

結石が総胆管の出口に詰まることにより、胆汁が十二指腸へ流出できなくなります。胆汁の成分であるビリルビンは黄色で、消化液に出て最終的には大便の黄色〜茶色の素に成るものです。
胆汁が出られなくなるとビリルビンが血液中に貯まって皮膚や白眼が黄色く成ったり、尿の黄色が濃くなったりします。これが黄疸です。

さらに胆管内で細菌が増殖すると胆管炎を起こします。胆管の出口が詰まった状態では細菌は肝臓から血液に入り込み、敗血症を起こします。閉塞性化膿性胆管炎といい、短い時間のうちに重篤な状態になりやすい危険な病気です。
このように胆管結石は危険な病状を引き起こすため、症状が出ないうちでも早く治療をします。

総胆管結石症の治療について

総胆管の出口は十二指腸にあります(十二指腸乳頭)。胃を出た先が十二指腸なので、内視鏡で十二指腸まで進み、出口から総胆管内へ器具やチューブを入れる検査・治療(内視鏡的逆行性胆管・膵管造影)が多くの場合行われ、消化器内科で施行します。
多くの総胆管結石は胆嚢で形成されて総胆管へ流れ落ちたものです。従って、原因となる胆嚢結石の治療として胆嚢摘出手術を追加することが標準です。

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