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【特集】わが街で健康に暮らす22 休むことで人は健康になるのか?~4月から「医師の働き方改革」が始まります~
超高齢社会になった今では、地域で暮らす一人一人が健康意識を持つ必要があります。このシリーズでは、毎回健康に関するキーワードを取り上げ、住んでいるこの場所で健康に暮らすための方法を、一緒に考えていきます。
健康になるための3要素
健康になるために必要なことを3つ挙げるとすると、まずは、食べること、そして運動です。食と運動については、このシリーズで幾度となく取り上げてきました。今回は今まで取り上げてこなかった最後の1つ「休むこと」について考えていきます。折しも働き方改革が進められる昨今、「休むこと」は健康に仕事を続けるために重要な位置を占めるようになってきています。
日本人は休むのが下手
まずは、日本における「休む」(=休暇)についての現状を把握してみましょう。厚生労働省のデータでは、日本では有給休暇の取得率が56.6%と政府の目標である70%を大きく下回っています(令和3年就労条件総合調査の概況,2021)。年々、日本での有給取得率は上昇しているものの、いまだに調査対象国の中ではダントツ最下位です(OECDgender data portal.2021)。そのほか、さまざまなデータからも日本人は世界的にみて「休暇を取ることが苦手である」と結論できます。
休むことは健康によいのか
「休む時間がない」と言って仕事をしている人も多いと思います。では「休暇を取らないと健康被害が出る」と言われれば、どうでしょうか。
フラミンガム研究というアメリカのボストンで行われた疫学調査では、長期にみると休暇が不足する人は、心臓病などの循環器疾患で死亡する可能性が高くなる傾向がみられています(Am J Eip.1992)。また別の研究では、休暇を頻繁に取った人は心臓病と診断される確率が29%低く、死亡率も17%低いことがわかっています(PsychosomaticMed.2000)。これらのデータでは収入や社会的地位などを考慮して解析しても同様の傾向がみられます。休暇を取ると長期的に心臓の疾患や死亡が減少するようです。これは、休暇がストレスを減らす機能があるのではないかと考えられています。
フラミンガム研究というアメリカのボストンで行われた疫学調査では、長期にみると休暇が不足する人は、心臓病などの循環器疾患で死亡する可能性が高くなる傾向がみられています(Am J Eip.1992)。また別の研究では、休暇を頻繁に取った人は心臓病と診断される確率が29%低く、死亡率も17%低いことがわかっています(PsychosomaticMed.2000)。これらのデータでは収入や社会的地位などを考慮して解析しても同様の傾向がみられます。休暇を取ると長期的に心臓の疾患や死亡が減少するようです。これは、休暇がストレスを減らす機能があるのではないかと考えられています。
「医師の働き方改革」が開始されます
休暇がストレスを軽減する機能があるとすると、休暇中にしっかり仕事から離れることが重要です。そのため、休暇中は「休暇である」ことを宣言できる環境が必要になります。休暇する環境が整うと休みを取っている罪悪感が軽減され、仕事から離れることができ、仕事の質の向上にも繋がる可能性があります。
奇しくも2024年4月より開始される「医師の働き方改革」でも、休暇取得の重要性が述べられています。今後、さらに質の高い医療を提供するために、うまく休暇を取得する能力が必要な時代に突入しています。
奇しくも2024年4月より開始される「医師の働き方改革」でも、休暇取得の重要性が述べられています。今後、さらに質の高い医療を提供するために、うまく休暇を取得する能力が必要な時代に突入しています。
文責:総合診療内科 主任医長 本間 陽一郎
2024年4月号(冊子)
- 表紙・特集
- 新任医師
アーカイブ
- 3月 がんに克つ!29 乳がんの治療と予防/循環器センター
- 2月 骨盤臓器脱 どうすればいいの?/婦人科
- 1月 ヘルニアセンター
- 12月 心臓リハビリテ ーションってなに?/循環器科
- 11月 がんに克つ!28 頭頸部がんってなに?/耳鼻咽喉科
- 10月 脳動脈瘤に対する新しい血管内治療(フローダイバーター治療)
- 9月 てんかんセンター
- 8月 小児・先天性心疾患のカテーテルアブレー ション/小児循環器科・成人先天性心疾患科
- 7月 アイセンター
- 6月 がんに克つ!27 GIST(消化管間質性腫瘍)
- 5月 小児外科で「ダビンチ」を用いたロボット支援下手術を導入/小児外科
- 4月 骨粗しょう症 -注射で治療ができるようになった-
- 3月 てんかんセンター/臨床検査技師
- 2月 スポーツ復帰に必要なアスレティックリハビリテーション/スポーツ整形外科
- 1月 僧帽弁閉鎖不全症に対する新しいカテーテル治療/循環器科
- 12月 がんに克つ!26 結腸がん /大腸肛門科
- 11月 リンパ浮腫(ふしゅ)ってなに? /形成外科 リンパ浮腫ケア外来
- 10月 一生よく見える目」を つくる! /眼科
- 9月 教えて!管理栄養士さん 知って納得!みんなの栄養Q&A
- 8月 がんに克つ!25 がん治療に 欠かせない 化学療法/化学療法科
- 7月 人生会議って何だろう
- 6月 振り返りましょう! 新型コロナウイルス 感染症(COVID-19)/救命救急センター/救急看護認定看護師
- 5月 症状からわかる こどもの病気(けが)―小児脳神経外科が扱う疾患―/小児脳神経外科
- 4月 聖隷浜松病院60周年の軌跡
- 3月 がんに克つ!24 膵臓がん
- 2月 創刊500号記念 復刻版
- 1月 外反母趾と、よこ扁平足/足の外科
- 12月 がんに克つ!23 がんになっても、将来子どもが欲しい/リプロダクションセンター
- 11月 新生児科/新生児集中ケア認定看護師
- 10月 乳幼児から高齢者まで、誰でも起こりうる病気「鼠径ヘルニア(脱腸)」/ヘルニアセンター
- 9月 がんに克つ!22 前立腺がん
- 8月 CKD(慢性腎臓病)を知っていますか?/腎臓内科
- 7月 口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)ってなに?/形成外科
- 6月 呼吸器外科があつかう悪性腫瘍/手術室看護師
- 5月 こどもと感染症/小児科
- 4月 わが街で健康に暮らす16 ワクチン接種は誰のため?
- 3月 意識を失った経験はないですか? /てんかんセンター/臨床検査技師
- 2月 がんに克つ!21 食道がん/内視鏡センター/消化器内視鏡技師
- 1月 呼吸器内科/慢性呼吸器疾患看護認定看護師
- 12月 がんに克つ!20 乳がん/乳腺科
- 11月 リウマチなんて怖くない/リウマチセンター/認定薬剤師
- 10月 総合診療内科/診療看護師
- 9月 がんに克つ!19 血液のがん/血液内科
- 8月 奇異性脳塞栓と卵円孔開存症(PFO)/小児循環器科
- 7月 眼科/視能訓練士
- 6月 がんに克つ!18 腎細胞がん/泌尿器科/がん化学療法看護認定看護師
- 5月 痛くないからだにやさしい新たな放射線治療を開始!/腫瘍放射線科
- 4月 わが街で健康に暮らす12 良い健康習慣は、周りの人に良い影響を与える
- 3月 歩きにくいのは腰の病気?/せぼねセンター/磁気共鳴(MR)専門技術者
- 2月 リハビリテーション科/摂食・嚥下障害認定看護師
- 1月 がんに克つ!14 甲状腺がん/耳鼻咽喉科
- 12月 "薬食同源" 上手にサプリメントを活用しましょう!/眼科
- 11月 温かいものは温かく 冷たいものは冷たく 適温でおいしい 病院食
- 10月 がんに克つ!13 子宮体がん/婦人科
- 9月 膠原病リウマチ内科/リウマチケア看護師
- 8月 がんに克つ!12 からだに優しい胃がん手術
- 7月 成人先天性心臓病外来/臨床検査技師(超音波検査士)
- 6月 上肢外傷外科/ハンドセラピスト
- 5月 2018年5月7日から再診の受付方法が変わります
- 4月 がんに克つ!11 脳腫瘍って「がん」ですか?