グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 診療科  > 心臓血管外科

心臓血管外科

診療科責任者

浅野 満  心臓血管外科 部長

浅野 満
心臓血管外科 部長

概要または責任者からの一言

当院は静岡県西部地区のドクターヘリ基地であり高度救命救急センターであるため、重症心血管疾患に対応できるように2006年に開設されました。当院の使命を果たすため、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂といった緊急疾患に可能な限り迅速に対応できるようにしています。同時に地域医療への貢献も重視しております。当院の医療圏は交通の便が非常に悪く、ご高齢の患者さんでも車なしで生活できない方がたくさんいるため、早期にADLが回復し、社会生活に復帰できるよう低侵襲手術にも取り組んでおり、地域のニーズに合う心臓血管外科を目指しています。

機器・設備

当院では2017年にハイブリッド手術室が完成しました。現在はEVAR、TEVARなどのステントグラフト治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)、また末梢血管治療はハイブリッド手術室で施行しております。透視装置として最新のSiemens ARTIS pheno、また同時にハイブリッド室専用のエコー機器としてSiemens ACUSON SC2000 primeを導入しております。この組み合わせはフュージョン機能という、透視画面とエコー画面の同期が可能であり、将来的に需要が増すと思われるStructural heart disease に対する低侵襲治療に対応可能です。
当科の術後はsurgical ICU(8床)で管理しますが、その他にもemergent ICU 8床、Pediatric ICU 6床、CCU8床を有しており、様々な緊急重症疾患、循環器疾患に対応しています。

治療方針

大動脈弁疾患に対する外科治療

当科では、大動脈弁狭窄症に対する治療として標準的(外科的)大動脈弁置換術(SAVR)、低侵襲(小切開)大動脈弁置換術(MICS AVR)、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を施行しています。この中から患者さんの年齢や生活状況、またご本人の希望を考慮し最も適した治療を提供しています。
大動脈弁閉鎖不全症に対する治療としてはSAVRやMICS AVRを施行しており、年齢、病態など考慮し、有益と考えられた場合には大動脈弁形成術や大動脈弁温存基部置換術(大動脈基部病変を合併している場合)を施行しています。

僧帽弁疾患に対する外科治療

僧帽弁閉鎖不全症に対しては僧帽弁形成術を標準術式としております。MAZE手術や三尖弁輪形成術を併施する場合、胸骨正中切開を標準としております。僧帽弁単独手術(左心耳閉鎖も含む)では右小開胸による低侵襲心臓手術(MICS)での僧帽弁形成術を積極的に行っています。MICSは10cm弱の小開胸による心臓手術で術後の回復が早く、胸骨正中切開で生じる上肢の運動制限や生活の制限を避けられるため有用と考えております。
 その他、僧帽弁狭窄症に対しては乳頭筋温存僧帽弁置換術を施行しており、僧帽弁輪石灰化(MAC)を伴った僧帽弁疾患に対する乳頭筋温存僧帽弁置換術は当科で特に力を入れています。

虚血性心疾患に対する外科治療

当科では虚血性心疾患に対する外科治療として冠動脈バイパス術を施行しています。冠動脈バイパス術は心臓を停止させず、人工心肺を用いない心拍動下冠動脈バイパス術を標準術式としており、び慢性冠動脈狭窄病変に対してはonlay patch法を取り入れております。また心室中隔穿孔や乳頭筋断裂に伴う急性僧帽弁閉鎖不全症等の心筋梗塞合併疾患、また虚血性心筋症にも対応しています。

大動脈疾患に対する外科治療

当科では胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を標準術式としておりますが、ご高齢の方や併存疾患が多い場合にはステントグラフト治療を行っております。
急性大動脈解離に対する人工血管置換術では病態の他、年齢や全身状態によって人工血管による置換範囲を決めますが、70歳未満である場合には弓部大動脈全置換術+オープンステント内挿術を施行しております。
当院はドクターヘリを有する高度救命救急センターであるため、急性大動脈解離については可能な限り受け入れるように心がけております。緊急の受け入れについてはマンパワーの問題が生じる場合がありますが、体制構築も含めて更に地域に貢献できるよう努めております。

末梢血管に対する治療

下肢閉塞性動脈硬化症による末梢動脈の狭窄、閉塞性病変に対しては血管内治療が主流となりつつあります。しかしながら関節可動部の病変に対しては、血管内治療は困難であり、バイパス術や内膜摘除術などの外科的治療を行っております。多発性血管病変や重症下肢虚血症例に対しては血管内治療と外科治療を組み合わせたハイブリッド治療は非常に有効であると考えております。また当院には形成外科やWOC(Wound Ostomy Continence、皮膚排泄看護認定士)と共に重症下肢虚血のフットケアも行っております。
下肢静脈瘤手術はストリッピング手術、高周波静脈焼灼術を施行しています。治療はどちらの治療法でも1泊2日入院としています。また両下肢の病変を有する場合にも原則は一回入院で一方の下肢治療としております。手術麻酔は大腿神経ブロック、皮膚切開部の局所麻酔、伏在静脈周囲への低濃度大量浸潤局所麻酔(TLA)としております。

ステントグラフト治療

胸部大動脈ステントグラフト内挿術(Thoracic Endovascular Aneurysm Repair; TEVAR)
胸部大動脈瘤ステントグラフト留置術(TEVAR)では基本的には、腋窩-腋窩動脈バイパスのみを伴う1-debranching TEVARまでにしschoolており、2分枝以上の再建が必要な場合には人工血管置換術を第1選択として考えております。
腹部大動脈ステントグラフト内挿術(Endovascular Aneurysm Repair; EVAR)
ご高齢の腹部大動脈瘤患者さんに対してはEVARを第一選択としております。2018年からIBEを導入し、両側腸骨動脈瘤併存症例でもより安全にステントグラフト治療が可能となっています。

経カテーテル的大動脈弁留置術 (Transcatheter Aortic Valve Implantation; TAVI)

鼠径部からカテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓の大動脈弁に植え込む治療法です。低侵襲(開胸、体外循環、心停止がない)のため、患者さんの身体への負担が少なく入院期間も短くすみます。高齢、全身状態不良などの理由で外科的手術が受けられない患者さんに対して新しい選択肢となります。大動脈弁狭窄症に対する適応があり、大動脈弁閉鎖不全症患者さんには適応がありません。また今のところ透析患者さんには適応となっていません。
当院では大動脈弁狭窄症患者さんの治療方針についてはハートチームで話し合い、患者さんの治療適応決定から退院先までを総合的に話し合って決めています。

診療実績

2018年の年間手術件数は222例 (心臓胸部大血管疾患111例、腹部大動脈疾患21例、末梢血管その他の症例、その他90例)でした。
後天性心大血管疾患手術の内訳としては冠動脈バイパス術43例、弁膜症手術32例、胸部大動脈瘤手術31例となっています。当科の年間100~110例の開心術数のうち1/4~1/3は大動脈疾患や虚血性心疾患関連に対する 緊急もしくは準緊急手術となっております。大動脈弁人工弁置換術に関しては2018年9月にTAVI治療を導入し、2018年は6例のTF-TAVIを施行しました。大動脈疾患に対するステントグラフト留置術は2018年に18例 (腹部大動脈瘤 14例、胸部大動脈瘤4例)施行しました。
各症例数の年次変化はグラフを参照してください。

診療と手術実績 2017年度


ハートチーム

当院ではTAVI治療導入のため、2017年にハートチームを設立しました。ハートチームは循環器内科医師、心臓血管外科医師、麻酔科医師、看護師(一般病棟、集中治療室、手術室)、医療技術士、理学療法士、心エコー技師、放射線技師、薬剤師、栄養士、また事務部の多職種メンバーで構成されています。ハートチームカンファレンスはひと月に2回開催し、現在は主に大動脈弁狭窄症症例の治療方針について多職種間で活発な議論が行われています。今後は超高齢者さんやFrailtyの高い患者さんなど、より総合的な治療介入が必要な患者様について話し合ってゆく方針です。これからもより質の高い、幅広い循環器治療を提供できる体制づくりを目標として日々精進してゆく所存です。

薬剤師の病棟常駐業務

心臓血管外科病棟では薬剤師が病棟常駐業務を行っています。 周術期に管理が必要な坑血小板薬に関しては外来診察室と連携し術前中止期間の確認、また術後には再開の有無を確認し抗血小板薬によるリスクをなくすように務めています。 大動脈弁狭窄症への新しい治療法として導入されたTAVIにおいてはハートチームの一員としてカンファレンスに参加し、様々な文献をもとに患者様の状態に最適な投与方法を医師と検討し周術期の経過向上をめざしています。 心臓血管外科の手術後は生涯にわたって継続が必要となる薬が多いため、患者様の退院時には飲み忘れ防止の為に一包化を検討したり服薬指導を行うことで、退院後の副作用の早期発見に務めています。

スタッフ

氏名職位卒年専門領域・認定医・専門医
浅野 満部長1997年心臓血管外科専門医/指導医/責任者
日本外科学会外科専門医/指導医
日本循環器学会認定循環器専門医
腹部ステントグラフト指導医/実施医(Endurant・GORE Excluder)
ゴアバイアバーンステントグラフト(SFA・血管損傷適応)ワークショップ修了
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医/指導医
臨床研修指導医養成講習会修了
永峯 洋医長1993年心臓血管外科専門医/指導医
日本外科学会専門医/指導医
宮原 俊介医長2004心臓血管外科専門医
日本外科学会専門医

2019年6月1日現在

学会認定

  • 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構規則に規定する基幹施設
  • 胸部大動脈瘤ステントグラフト実施基準による血管内治療の実施施設
  • 腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準による血管内治療の実施施設
  • 下肢静脈留に対する血管内焼灼術の実施基準による実施施設
  • TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)実施施設(プロクター中)

術前・術後リハビリテーション

手術後のリハビリの目標は入院前の日常生活動作の再獲得です。手術後、ベッド上で動かないでいると、筋力・体力が低下したり、肺炎など合併症を発症する危険がありますが、できるだけ早期からリハビリを開始することで、合併症が少なく回復も早いと言われています。手術後のリハビリは、理学療法士と看護師がお手伝いします。
また、手術後リハビリを継続することで、バイパス手術後の血管の開存率が良くなる,心臓のポンプ機能が改善するなどの効果があるといわれており、退院後の運動に対するアドバイスも行います。

手術前
手術前に理学療法士が訪問します。
手術前のリハビリは、パンフレットを用いて
  1. 手術後のリハビリの流れを説明します。
  2. 傷を守るために咳や起き上がりの動作を練習します。
  3. 手術後、うまく痰を出し肺炎を予防するために呼吸の練習をします。

手術後
医師の許可のもと、早ければ手術翌日からリハビリが開始されます。
リハビリは、体調、心電図、心拍数、血圧、呼吸状態などが安定しているか、動いたときにそれらの数値や自覚症状の変化に問題がないかを確認しながら進めて行きます。順調に経過すれば手術後1週間ほどで病棟内を一人で歩けるようになります。
リハビリは、以下のように段階的に行います。日にちは順調に経過した場合の目安です。
  1. ベッドに腰掛けます。座ることで,呼吸がしやすくなったり,血圧の調整や座るバランスの機能の改善も期待できます。(術後1~2日)
  2. 立ちます。(術後1~2日)
  3. 歩きます。歩く距離は、まずはトイレまで程度から、徐々に50m、100mと、症状にあわせ延長していきます。(術後1~2日)
  4. その後はリハビリ訓練室で階段や自転車などのリハビリを行なっていきます.同時に再発予防の為の教育や指導も行ないます.お仕事や家事に特有の動作がある方は、そういった動作の練習も行ないます。心臓血管手術後のリハビリは重要ですが、やみくもに運動を行うと逆に心臓への負担が増え、悪化させてしまう恐れがあります。当院では心臓リハビリテーション指導士の資格を有するスタッフが在籍しており、安全にリハビリが行えるようにアドバイス致します。

パンフレットの一部です

パンフレットの一部です

リハビリの様子

リハビリの様子

PDFファイルをご覧になるためには、AdobeReader® が必要です。
パソコンにインストールされていない方は右のアイコンをクリックしてダウンロードしてください。