グローバルナビゲーションを飛ばして本文へ

グローバルナビゲーションを飛ばしてローカルナビゲーションへ

グローバルナビゲーションを飛ばしてフッターナビゲーションへ


聖隷三方原病院は、地域医療支援病院として、質の高い地域完結型医療を目指しています。
ホーム > 当院について  >  聖隷福祉事業団創立80周年記念  >  「思わず口にしたことが現実になることは稀ではない」 F3病棟 看護師 吉田光徳氏

「思わず口にしたことが現実になることは稀ではない」 F3病棟 看護師 吉田光徳氏

「思わず口にしたことが現実になることは稀ではない」
   F3病棟 看護師 吉田光徳氏


 「例えば1時間に100mlの速さで点滴したことが死亡原因だとして、遺族が病院を訴える時代が今後来るかもね。」
 これは1990年代前半、私が聖隷を一時離れ某大学病院の救命救急センターに勤めていた頃の上司との会話である。確か、熱傷患者を担当した時に上司が口にした言葉だった。熱傷患者の場合、受傷してから急性期の数日間は体液が体外へ漏出してしまい血圧や尿量が低下する。そこで漏出した体液を補い血圧を維持するために大量輸液を行う。この輸液量は熱傷の程度と受傷面積を基にした公式で決定される。『今後、たとえ病院がルールに沿い治療に最善を尽くしたとしても、患者が負の転帰をたどればペナルティを課せられるようになる。医療訴訟の時代が来る。』と上司は言いたかったのかもしれない。

 当時、医療事故について報道されることは少なく、ましてや医療訴訟まで進んだ話は大学病院内でも聞いたことがなかった。実は氷山の一角すら海面に現れていなかっただけであった。それから1999年の横浜市立大学病院患者取り違え事故が発端となり、一気に医療事故についての報道されるようになった。2010年代となり、この15年前の会話を振り返る。輸液量の調整不足が原因として医療訴訟した例は聞いたことがないが、医療訴訟の増加という予測は現実となっている。

 私は以前、聖隷以外の病院や大学に籍を置いていた時期がある。その私が持つ聖隷のイメージは、よく言えば『新しい事を柔軟に取り入れる』わるく言えば『新しい事にすぐ飛びつく』である。どちらにしても聖隷は新しいことを取り入れるだけでなく、決まったら行動が迅速である。これは他の病院機構に比べて圧倒的に強い所であり、聖隷福祉事業団としての経営が維持できている所以だと思う。どの病院のホームページでも地域に貢献すると記載されている。しかし本当の貢献とは何だろうか。赤字経営による病院の統廃合や閉鎖も珍しくない時代である。経営難で閉鎖に追い込まれた結果、地域にいる患者がかかりつけ先を失うことの無いよう、末永く病院を開いていくことが地域貢献の根本ではないだろうか。創立80周年を迎えた聖隷福祉事業団はそういう意味でも地域に根を張っている。

 では聖隷の記念すべき年に、改めて思わず口にしてみたい。
「セイレイブランドが街のどこにもある時代が来るかもね。」

 聖隷福祉事業団が新しいステップに進むとすれば『研究そして開発』であろう。別に新たに工場を誘致して製造販売したらという話ではない。『もっと患者さんに使いやすいものはないの?』という臨床でのアイデアを集約して企業とコラボレーションし製品をデザインするのである。80年という蓄積や数千人規模の事業団であるゆえ、経験をアイデアとして発言したい個人もいるのではないだろうか。幸いにも当事業団にも病院施設だけでなく、聖隷クリストファー大学という教育研究機関まである。アイデアの種を持って研究機関とコラボレーションして具体化させ実用化できるか検討していけば、企業に種を蒔くことが可能となる。そして聖隷発祥の地である浜松には『やらまいか』気質があり、自動車企業生誕の地でもあり多くの企業が存在する。必要な条件は、周囲を見渡したところ備わっている。こうなったら、やらないというのも損な話である。

 億単位に研究開発費のかかる医薬品開発は、既存の大企業にしかできない。企業の大きさに関わらず、安価で研究開発可能な製品の代表格として福祉機器がある。看護でいえば検温に使いやすいモバイル機器・電子カルテから便器や患者移動用具、学術的なところでは看護システム理論までとアイデア次第で手を出せそうなところは見つけられる。近年、高齢者の自動車運転による事故が時折報道されている。東京などの都市部は自動車運転しなくとも発達した公共交通機関を利用することができる。しかし地方では高齢者自ら運転しなければ買い物にもいけず生活に支障をきたす現状もある。高齢者が安全に自動車運転できるようなシステム製作が急務だろう。それには『運転する高齢者の身体機能を個別に評価するシステム』、そして『個人に合わせて、視力や反射速度など身体機能の低下した部分を自動運転で補うシステム』の2つが必要となる。前者の『高齢者の身体機能』に関しては、自動車企業よりも常に高齢者に関わってきた私達聖隷福祉事業団のほうがよく知っているはずである。

 ということで、2020年に『H』の隣に『Seirei』というエンブレムがついた高齢者用自動車が街中を走っていてもおかしくはない。意外にも、組織の上層部よりも現場にいる者のほうが、自らが感じた状況から判断した予想が当たることも少なくはない。今後も現場にいる私達のような臨床家を支援してくれる聖隷福祉事業団であってほしい。


当サイトに関するみなさまのご意見をお聞かせください

質問1:このページの情報は役に立ちましたか?

質問2:このページは見つけやすかったですか?